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1章
9⑤
しおりを挟む王立学園の入試で高得点を獲得した生徒は奨学金の制度が使える。
奨学金の用途は色々選べる事になっているのだが、寮生の場合は寮費と学費が無料になる様に選ぶ者が多い。
王都にタウンハウスを持っていない辺境貴族が寮生の殆どを占めるからだ。
騎士科の入学試験では勿論実技試験があるが、その実力は入試の時点で査定されている。
実力のある生徒を王家にしろ、高位貴族にしろ各騎士団が囲い込みたいという思惑があるらしい。
『学費が払えないからという理由で学園を去られてしまい、優秀な人材を逃すのは惜しいんだ。ここ最近になってからだが、例え自家の子供が学園に通っていなくとも王家も高位貴族も挙って学園に奨学金の為に寄付をするようにやっとなったのだ。もっと前から始めていれば良かったものを・・・』
目の前で繰り広げられる試合を見ながら父上の言葉を思い出した。
貴族の子息子女は学園に入学するのは強制だが、卒業は各貴族家の都合で卒業しない場合もある。
子女の場合は政略婚が多いが、辺境貴族の場合は学費や寮費が続かない事も多いらしい。
「確かに・・・」
同じ顔、同じ身の丈に身体つき。
ミュラー家の双子姉妹が2クラスの勝者同士の最終決定戦を繰り広げているが、もうかれこれ小一時間。
同格の戦いを続けているのを俺を含めた残り58人が二人の目にも止まらない動きを必死になって何とか目視しようと追いかけている。
時折、見えなくなるのは一体何故なのか。
そして何故剣術試合なのに競技場の地面が抉れるのか・・・
「規格外・・・」
誰かがボソリと呟いたのに、周りが同時に頷いてゴクリと生唾を飲み込んだ。
審判のホイッスルが鳴り響き、
「1時間だ! オリビア・ミュラー、ロザリー・ミュラーの両者引き分けとみなすッ!」
教師の声が競技場に大きく響いた。
×××
ここ何年も王都の剣技大会の少年部門で不敗だった俺が、5年の間『万年3位』とミュラー姉妹に呼ばれる様になった幕開けだった――
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