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17* 夜会2
しおりを挟むそれに気がついたのはホール端、入口の近くだった。
大勢の令嬢が振り返る中、アイツが此方に向かって歩いてきた。
領地を自分の努力で繁栄させて今日の夜会で陛下から陞爵されることが決まった男だ。
「よう」
相変わらず、周りの女性から熱視線を向けられるアイツは颯爽と現れた。
「おう、久しぶり」
迎えに来たんだな――
そう思って、何だかホッとした。
結局、卒業後は領地経営にだけ力を入れコイツは未だに独身だ。
最も自分達は、まだ23歳だから若いけれど。
それでもアイツに集まってくる釣書は大量だったと聞いている。
それを全て突っぱねて、強い後ろ盾がなくても立派な後継として周りに認めさせるために努力した。
彼は目の前にやって来て、いきなり俺の肩を抱いた。
「スマン。時間が掛かった」
「知ってる。情報は集めてた。未だに独身を貫いてる事もな。彼女も来てるよ」
「ああ。さっきダンスを踊ってたのを見たよ。美男美女でクラっと来たぞ」
「・・・ 俺は約束は守ったぞ。彼女に謝れよ」
「・・・スマン」
「俺は蛇の生殺しだったよ」
肩を竦める俺を睨むアイツ。
「彼女、魅力的になったろ?」
「ああ。昔から綺麗だったがな」
「自分で自分を磨いたんだよ。今や侯爵家の商会の商会長だ。モデル業も続けてる。お前に靡くかな?」
アイツの呆けたような顔を見て少しだけ溜飲が下がった。
「お前には迷惑ばっかり掛けたこれからは・・・」
「贔屓にしてくれるんだろ?」
「「・・・」」
お互いに拳を合わせてニヤッと笑った。
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