【完結】ずっと君を愛してる〜心惹かれる想いを君へ〜

hazuki.mikado

文字の大きさ
43 / 150

43 アデライン視点①

しおりを挟む

 エイダン・オルコット子爵子息――


 オルコット商会の跡継ぎで1歳年上の商業学科に通う優等生だという。


 「我が家の商会を手助けさせるのに、貴女が嫁ぐことになったわ」


 母が亡くなった後、後妻になったあの女が探してきた私の婚約者だ。

 しかも私の幼馴染で隣の領地の伯爵子息ステファン・バーンスタインと寮で同室だと聞いた。







 バーンスタイン家と我がブルーム家は私が物心つく前から交流があって、私達はよく一緒に遊んだ。

 金髪碧眼で王子様の様な容姿のステファンは領地でのお茶会の度に女の子に囲まれチヤホヤされていた。

 彼女達が彼の取り合いを始め諍いが始まるといつも


 『僕が結婚するのはアデラインだから』


 私にも周りにもそう言う。


 『その割には、他の女の子と仲良しだわ』


 そう言って私が怒る度に


 『拗ねないで、1番はアディだから』


 そう言って宥めるように手を繋いできたり頬にキスしてきたりした。

 私が他の子と仲良くしようとするといつでも飛んできて私から遠ざける。

 だから。

 いつも私の横にはステファンしか居なくて。

 気がついたら好きになってた。






 お母様の体調が悪くなり、急に亡くなったのは私が12歳になる年で初等科の最終学年の時だった。

 あまりにも突然で実感がなくて。

 弟があまりにも泣くものだから、彼に掛かりきりで気がついたらお葬式も終わっていて。

 墓地に埋葬してから1ヶ月した頃になって、もうお母様が居ない事を実感して毎晩泣いた。

 その時にもステファンは毎日会いに来てくれた。


 でも、お父様が親戚の勧めで後妻を迎えてから生活が変わった。昔から勤めていた使用人を次々解雇して、彼女が連れてきた使用人と殆どが入れ替わったしまった。

 昔からいたランドリーメイドと庭師以外は居なくなっちゃって。

 お父様が居ないのを見計らって後妻と使用人達が私を虐げるようになった。

 食事も使用人達より粗末なものにされて、お母様の残してくれた宝飾品も形見のドレスも取り上げられた。


 『逆らったら、弟がどうなるかわかるわよね?』


 彼女はそう言っては意地悪そうな顔で嘲笑うのだ。

 いつか仕返ししてやると思いながらその機会を伺ってた。


しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください

無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――

大人になったオフェーリア。

ぽんぽこ狸
恋愛
 婚約者のジラルドのそばには王女であるベアトリーチェがおり、彼女は慈愛に満ちた表情で下腹部を撫でている。  生まれてくる子供の為にも婚約解消をとオフェーリアは言われるが、納得がいかない。  けれどもそれどころではないだろう、こうなってしまった以上は、婚約解消はやむなしだ。  それ以上に重要なことは、ジラルドの実家であるレピード公爵家とオフェーリアの実家はたくさんの共同事業を行っていて、今それがおじゃんになれば、オフェーリアには補えないほどの損失を生むことになる。  その点についてすぐに確認すると、そういう所がジラルドに見離される原因になったのだとベアトリーチェは怒鳴りだしてオフェーリアに掴みかかってきた。 その尋常では無い様子に泣き寝入りすることになったオフェーリアだったが、父と母が設定したお見合いで彼女の騎士をしていたヴァレントと出会い、とある復讐の方法を思いついたのだった。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

なくなって気付く愛

戒月冷音
恋愛
生まれて死ぬまで…意味があるのかしら?

処理中です...