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44 アデライン視点②
しおりを挟む学園には寮もあったけど、お金が勿体ないと言われ自邸から通ってた。
父はタウンハウスから王宮に通う武官で滅多に自邸には帰ってこない。
何とか父に頼ろうとして機会を伺っていてもその度に継母と使用人達に邪魔をされ閉じ込められた。
『あの子は学園の勉強が』
『具合が悪いらしいのです』
『年頃の娘だから、難しいのですわ』
そうやって継母が理由をつけて父と弟から引き離された。
後で分かったのだが、弟は弟で私を人質にされていたらしい。
学園でステファンが心配してくれたけれど、弟を人質に取られたみたいになっていて何も言えなかった。
父に手紙を書こうにも、使用人達に全て取り上げられる。
自分で自由にできるお金も私には無かったので八方塞がりだった――
ある日、死んだ母の立ち上げた商会が経営不振だと父が気が付き、継母が慌てて取り繕おうとして考え付いたのが、大手の商会と縁を繋ぐ事だった。
本当は私を何処かの金持ちの後妻にでも売り飛ばしたかったのだろうと思う。
でも父の手前それは出来なかった為、この国でも有数なオルコット商会との縁付けを思いついたようだった。
オルコット子爵は、商売に関しては厳しい人だが離婚した前妻の息子がいて、私の1歳年上だから丁度いいとオルコット氏が乗り気になったという。
所詮政略婚だから、期待はするなと継母に言われたが何処かのヒヒ爺に売られるよりずっといいと思った。
気がかりはステファンの事だったけど、貴族だから政略結婚は仕方ない事だと諦めた。
彼だってきっと政略結婚になるだろう。
だって、学園ではあまり優秀じゃないと聞く。
そのせいで後ろ盾の強い同格の家から許嫁を決めると聞いていたから――
気持ちに蓋をすれば大丈夫。
きっと。
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