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128 アデライン視点⑯
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私が最初に家出をした時、納得出来てはいなかったけれど本邸に帰った。
このまま電話でやり取りした所でいつまで経っても話合いにはならない―― そう思ったから。
でも電話でやり取りしたいたほうがマシだった気がする。
少なくとも彼は、自分の意見を口で伝えていたから。
邸に帰ったあとステファンは中々目を合わせてくれなくて、話し合おうと提案しても黙ってしまう事を繰り返したから。
果たしてそれが彼の後悔から来るモノなのか、それとも私を避けたいからなのかが私には判断ができずに戸惑った。
――それと同時に実は私自身も彼に面と向かて意見を言い難くなっていた。
それは彼が電話で帰って来て欲しいという懇願をしながらではあったが、私がエイダンに頼った事を責められたのが原因。
電話口でステファンは私がエイダンに惹かれていると言ったのだ。
そしてそれは確かに図星で、私自身が彼の存在を心の拠り所にしていたのは否めなかったから。
エイダンと私は何処か惹かれ合っていたけれど男女の色めいた触れ合いは実際無かったし、ステファン自身もそれは知っていた筈だった。
けれども彼と結婚し、ひとつ屋根の下で暮らしていた間の3年間で知ったエイダン・オルコットという男性とステファンの事をいつしか心の中で比べてしまっていたのだ。
ステファンと結婚後も私自身は不貞をした事は全く無い。
ただ、心は別だったかもしれない。
エイダンの誠実さ。
ステファンの愛想の良さ。
相反する彼らを比べた所でどうにもならないし、過ぎた事だと自分に言い聞かせていた事を口に出さなくてもステファンは感じ取っていたからこそ、電話口で私を詰ったのだろうと思う。
帰ってからは互いにその事には極力触れずに表面上は取り繕って生活を続けようとした。
白い結婚だったとはいえ2回も結婚をした身なのだから、再度離婚等という事になれば社交界で爪弾きになりかねないという事が頭を過ったのは否めない。
それもあってだろうか。
わだかまりは、お互いに簡単に無くなりそうに思えなかった。
このまま電話でやり取りした所でいつまで経っても話合いにはならない―― そう思ったから。
でも電話でやり取りしたいたほうがマシだった気がする。
少なくとも彼は、自分の意見を口で伝えていたから。
邸に帰ったあとステファンは中々目を合わせてくれなくて、話し合おうと提案しても黙ってしまう事を繰り返したから。
果たしてそれが彼の後悔から来るモノなのか、それとも私を避けたいからなのかが私には判断ができずに戸惑った。
――それと同時に実は私自身も彼に面と向かて意見を言い難くなっていた。
それは彼が電話で帰って来て欲しいという懇願をしながらではあったが、私がエイダンに頼った事を責められたのが原因。
電話口でステファンは私がエイダンに惹かれていると言ったのだ。
そしてそれは確かに図星で、私自身が彼の存在を心の拠り所にしていたのは否めなかったから。
エイダンと私は何処か惹かれ合っていたけれど男女の色めいた触れ合いは実際無かったし、ステファン自身もそれは知っていた筈だった。
けれども彼と結婚し、ひとつ屋根の下で暮らしていた間の3年間で知ったエイダン・オルコットという男性とステファンの事をいつしか心の中で比べてしまっていたのだ。
ステファンと結婚後も私自身は不貞をした事は全く無い。
ただ、心は別だったかもしれない。
エイダンの誠実さ。
ステファンの愛想の良さ。
相反する彼らを比べた所でどうにもならないし、過ぎた事だと自分に言い聞かせていた事を口に出さなくてもステファンは感じ取っていたからこそ、電話口で私を詰ったのだろうと思う。
帰ってからは互いにその事には極力触れずに表面上は取り繕って生活を続けようとした。
白い結婚だったとはいえ2回も結婚をした身なのだから、再度離婚等という事になれば社交界で爪弾きになりかねないという事が頭を過ったのは否めない。
それもあってだろうか。
わだかまりは、お互いに簡単に無くなりそうに思えなかった。
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