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132 ステファン視点⑧
しおりを挟む夏の夜会の招待状が届いたとアディに告げられた。
毎年の事だが、暇な貴族達の早い話が納涼祭だ。
我が家は俺の代になってからは今迄1度も参加したことがなかった夜会だ。
1度くらい参加しないと駄目かな?
×××
以前伯爵領だった我が侯爵領は、今でこそ豊かになったけどホンの何年か前迄は貧乏領地で有名だった。
俺が卒業してから領民達と共に汗水垂らして改革して、やっと農産物が確保できるようになった。
何度も何度も国に申請していた街道の整備も用水路に繋がる治水の整備も全て自力でやり遂げた。
そのお陰で銀行からの融資が認められて、銀行から信用を得た領地に商人達が出店をし始めた。
最初は食事や睡眠だってまともに取れる余裕が無かったけれど、何年も積み重なっていた領民の不満が解消されるに従って笑顔も増え、領地は潤っていった。
自信なんかなかった。
でも諦めてしまったら何も変わらないとエイダンに殴られてからやっと気が付いたんだ。
アイツがどうしてあそこまでストイックでいられるのか学生の頃は分からなかった。
いつも自分の限界まで学園で勉強してた。
経済も。
商業も。
工業も。
外国語も。
マナーも。
歴史も。
政治も。
化学も。
土木も。
医学も。
育児まで学んでるのを知った時は顎が外れるくらいには驚いた。
目につくモノ全てを貪欲に学んでいる気がした。
「知識はいつか必ず役に立つ。必要ないとやらないことを選ぶより、いつか必要かもしれないと考えて俺は学ぶことを選んだだけだ」
その頃拗ねたように何もしなかった俺からすれば、気狂いだと思った。
でも結局卒業後に俺がやったことは、アイツがやってた事とほぼ一緒だった。
領地経営に関する勉強は確かに学園で学んだけど、農地改革なんてきれいな言葉じゃ言い足りないくらい現場は土臭かったんだ。
あいつと一緒に土木を勉強しときゃ良かったと何度も本気で思ったよ。
石垣の組み方や水路の引き方なんか学園では教えてくれなかったからね。
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