【完結】ずっと君を愛してる〜心惹かれる想いを君へ〜

１３１ キラキラ王子

　「よう！　エイダン」


　会場に入った途端に陽気な声を掛けられて驚いた。


　「ステファン、それにアデラインも」

　「あ、キラキラ王子・・・」


　思わず肘の先のサーシャ嬢に目を向けた。


　「あ、あれ？　君エイダンの秘書の・・・って、卒業式の時の図書室の君じゃん！？」


　驚くステファンに、半目になるサーシャ嬢。


　「あ、あの時の初等科の卒業生だったのね？」


　ステファンにエスコートされていたアデラインが驚いて口元に手を添える。


　「「「？」」」

　「中庭で３人が喋ってたのを離れた場所から見てたのよ」


　赤い髪の美女が口元を扇子で隠して微笑んだ。


　「そういえば、あの時何て会話してたの？」


　アデラインがサーシャ嬢に向かって問いかけると、ちょっと考えてから


　「え？　え～と・・・　仲直り出来て良かったですね？　っていうのと、男は拳で仲良くなるんでしょ？　だったような・・・」

　「うん、確かにそう言われたよね」

　「そうだったな・・・」

　「え、それって・・・」


　目を倍くらいのサイズにしてアデラインが俺たちの顔を見比べる。


　「アディとエイダンの婚約の事を知って殴った時の事だよ」


　バツの悪そうな顔をしながら告白するステファンに向かって、一瞬悪ガキのような顔でニヤリと笑ったサーシャ嬢の顔を俺は見逃さなかった・・・


　「会長と今後も仲良くしてくださいね。後オルコット商会もご贔屓に～」


　意外に・・・　いや、元々こんな子だったか。

　何だか楽しくなって笑いが込み上げて来て、つい吹き出した。
　前を向くとステファンも同じ様に吹き出していた。

　腹を抱えて笑う俺とステファンを呆れ顔で女性２人が見ていたけれど、何だか笑いが止まらなくなって彼とお互いに思わず肩を組んで２人で笑い続けてしまった――