東方のレッセイ・ギルド

すけたか

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第四幕

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「戻ってきたぞ!」

遠くから戦闘の様子を見守っていた人々が騒ぐ。手を叩いて称賛するもの、口笛を吹いて勝利を歓迎するもの。鳥籠を放り出してヴァルルは帰ってきたレッセイ達に近づく。
「お帰りなさいませ! よくぞごぶ……」

――三人? ヴァルルはいぶかしげな顔で六十八の顔をうかがった。

「あの、他の方は」
「死んだ」
そう言って六十八は宿営地へ戻っていった。その後に七十七が続く。
「……」
ヴァルルは返す言葉がない。
「九十九!」
七十七の後ろを歩く九十九は聞きなれた声に振り向いた。アルタだ。こちらに歩いてくる。
右足の動きがぎこちないことにすぐ気づいた。怪我だろうか? アルタの顔は暗い。
「見ていたわ……二人の方は……残念だったわ。私達は守ってもらっているだけで何もできない……ごめんなさい……」
九十九は首を振った。
今はただ休みたい。
いくね、と告げると、
「あの待って、その、こんな時に何なのだけれど……あの砦に今夜きてくれる? どうしても伝えたいことが――あるの。来れないなら……それでもいい、……待ってるわ」
アルタの表情はひどく真摯だ。九十九はなんとなく頷いて、その場を後にした。
「アルタ様」
ヴァルルが泣きそうな顔で、
「レッセイ・ギルドでも敵わない事があるんですね。やっぱりクリスタリスは強すぎる……」
「……次は私たちも加勢しましょう。鳥が効くかはわからないけど、ただ見ているよりかずっとましだわ」
そういってアルタは痛っと片目をつぶった。
「アルタ様! 足を捻っておられるのでしたね、杖を用意しましょう。我々も戻らなくては」
「ええ」
二人と従者たちがロサの内部に戻ると、見張り台からエズが降りてくるところだった。
「エズ様! クリスタリスは消えました。アルタ様の足が痛むのでお部屋までお連れします!」
「うむ」
ぎしぎしと梯子を降りながらエズは地面に足をつけた。神妙な顔で、
「恐ろしいことだ。犠牲者が出たようだな」
「はい……残念ながら」
「遠眼鏡で様子は見ていた。残酷なことだ……相当消耗しておられるはず。栄養のつくものを運ぶようにしてくれ。それと、何人かを鉱床場に行かせて、水晶を掘ってくるように」
「? 構いませんが……水晶など獲ってきてどうするんです? 集落の周りに打ち込んだ分はまだ折れていませんが……」
ロサ・エスファナの集落の周りには大きな水晶の先端ポイントが城壁の代わりに杭のように打ち込まれている。結晶世界ではそこらを掘れば水晶などうんざりするほど出てくるので、貴重な木のかわりによく利用されているのだ。
「考えがある。すぐ指示をとってくれ。アルタ様は私が連れて行こう。テントに用がある」
「わかりました。すぐ行きます」
ヴァルルは急いで人を集める。従者たちに採掘を指示して、レッセイ達に届ける荷物をまとめ始めた。そこへ、

「ヴァルル様」
「レナスか! ちょうどいい、そこの薬酒をとってくれ。貴重な品だが今こそ届けるべきだ」
「ヴァルル様、お話が。妙なことが起きております」
「――何? どうかしたのか」
「ここ最近、集落の中で急に体の不調を訴えて横になるものが増えております。一人一人見て回ったのですが……どうもそのうちの半数が」
そう言ってレナスは声を落とす。

「結晶化の兆候があります」

「――馬鹿な!」
ぼとりとヴァルルは荷物に入れようとしていた果物を落とした。
「結晶化は確かに防ぎがたいものだが……そんなに広まっているのか!?」
「はい……数えたところ、今三十人を超えているかと。兆候があるものがそれですから、……横になっているものはもっと……」
「……結晶化は流行り病とは違う……一気にそこまで患う数が増えるとは……聞いたことがない!」
しかしレナスの言う通りならロサで結晶化が爆発的に広まっていることになる。このまま進めば――
ヴァルルは額を拭って、
「わかった……とにかく冷静に、だ。僕はエズ様にそのことを伝える。レナスたちはもっと詳しく状況を調べてみてくれ。あくまでも目立たないように。そろそろ陽が落ちるころだから、夕食の配布が始まる。それに乗じて……」
「わかりました」
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