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90 妹は特別な国を目指した4
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クラリスもアーサーと同じように、にぎやかで華やかな場所がきらいだった。
そのため、外国から多数訪れた賓客をもてなすため王宮で開かれた舞踏会に出たくはなかった。
ところが、ランカスター公爵家はゴード王国の筆頭貴族で、3人の娘が欠席するのは許されなかった。
クラリスは細心の注意を払って、目立たないような服装と髪型をして大広間に入室した。
反対に2人の姉は、何時間もかけてお洒落をしてきた。
しかし、2人の姉が出席者から注目されることはなかった。
一方、クラリスには最大限の注目が集まった。
彼女が大広間に入ると、大きな歓声が上がった。
「おお! なんてお美しい! あれはどなただ! 」
「たぶん、王女のうちのお一人だろう。」
「いやいや。王女ではなくランカスター公爵家の娘だよ。」
「それにしても。なんて美しく輝く黒髪だ。そして青い瞳には吸い込まれるそうになる。」
「うわさだと。姉2人とは母親が違い、魔女だそうだ。」
「うん。知っている。魔女の国の女王。真実に至る魔女が母親だそうだ。」
「だから、人間離れした美しさなんだ。」
そうこうして間、舞踏会の会場に集められた楽団が音楽をかなで始めた。
あちこちで、相手を誘い、2人一組のダンスが始まった。
その中でクラリスは誘いを全て断わり、舞踏会の会場の壁にへばりついていた。
ところが、
彼女の前にいつまで留まり、話し続ける参加者がいた。
「魅惑的です。私はあなたのそばを離れることができません。」
「御冗談を‥‥私は今日の出席者の中で最も地味で魅力のない者です。他にたくさんきれいな方々がいらっしゃいます。早くいかれた方がいいですよ。」
「自分のことを誇らない。なんて奥ゆかしい、心根の美しい方だ。」
「‥‥ 」
「どうですか。私と1曲で良いので踊っていただけますか。」
「実は今日、体の調子がとても悪いのです。今も壁によりかからなければ立っていられません。」
「それでは、それでは、これだけはせめてお約束ください。今度、舞踏会でお会いした時は私と1番に踊っていただけますか。」
「今日、私は決心したのです。もう2度とこのような舞踏会に出席させていただくことはないでしょう。」
「おう! それはゴード王国最大の損失だ。私はジョージ大公、ジョージ公国の領主です。」
その時、クラリスはとても小さな声で詠唱していた。
(空間の神よ。美しき心を映す世界の守護者、真実に至る魔女を継ぐ者が切に依頼する。我が前にいる者と最大の空間を隔てよ。)
王宮の広間のごくごく限定的な空間に風が吹いた。
そしてジョージ大公は最大の風力で吹き飛ばされた。
世界中の主な国々を全て結び、人や物が流れている世界街道があった。
ジョージ公国はその世界街道のほぼ真ん中、重要な位置を領土としていた。
その城は世界最高の財力を背景に、壮大で巨大なものだった。
大公の謁見の間の前にある領主の席に、ザラが座っていた。
その前にはジョージ大公とその家臣達がひざまずいていた。
ジョージ大公がザラに聞いた。
「ザラ様。お姉様の御一行は今、どうされているのでしょうか。」
「このジョージ公国のさまざまなものを楽しんで視察されていますよ。そうそう、姉様と久し振りに遊びました。とても楽しかったです。」
「世界最高に美しい方とその次に美しい方が、どのように遊ばれたのでしょうか。」
「もちろん。これです。」
そう言った後、ザラはさやから剣を抜き、さやの中に落した。
鋼の剣は大きな音を立てた。
「ところで大公様。先ほど言われた、『世界最高に美しい方』とは誰のことなのでしょうか? 」
「もちろん、クラリス―― 」
ジョージ大公がそう言いかけた瞬間、ザラの青い瞳が強く光った。
そして、怒りの覇気が大公に浴びせられた。
大公はおもわず後ろに倒された。
体制を整えた後、ジョージ大公は言い直した。
「ザラ様が世界最高に美しい方。その次に美しい方がお姉様のクラリス様です。」
ザラの機嫌はたちどころに回復した。微笑みさえ浮かべていた。
「ところで、公国内への魔族の移住は進んでいますか。」
「はい、多くの魔族が移住を完了しています。全て美しく穏やかな性格の植物系の魔族ばかりですね。」
「人間の住民との関係は大丈夫ですか。何かトラブルが起きていませんか。」
「いえ。互いに助け合って暮らし始めているようです。そもそも、私のジョージ公国は公国といっても大きな国並の領土があるにもかかわらず、人口が非常に少なかったのです。」
「魔族と人間が共存するための領土の広さは十分なのですが、一番心配なのが水ですね。植物系の魔族にとっ、水は死活問題になりますから。」
「水量が多いをウォーター川からの取水だけが頼りです。大丈夫だとは思いますが‥‥‥‥ 」
クラリス達4人はジョージ公国で最も栄えている都市マーゴの中を歩いていた。
メイが言った。
「半分くらいが植物系の魔族ですね。人間と仲良く暮らしています。お互いに支え合うこの姿はとてもすばらいいと思います。」
クラリスが大きくうなずいた。
「ザラはほんとうに心の優しい素敵な子です。植物系の魔族は弱く、悪しき心を映す世界では虐しいたげられています。この国に移住して人間と仲良く暮らせるのなら最高です。」
アーサーが素朴な疑問を投げかけた。
「このような不吉なことを言ってはいけないのかもしれませんが。人間が魔族に変ってしまう災厄がこの国にほんとうに起こるのでしょうか。」
「必ず起きることは確かです。最後の3つの災厄は、強力でとても恐ろしいものであるはずです。」
悪しき心を映す世界の魔王城で、魔王アスモデウスが遠視の力で人間世界を見ていた。
正確には人間世界のはるか上空を見ていた。
魔王はこの異世界の太陽をその瞳に映し、しっかりと見ることができた。
「これは強力な災厄だ。あの魔女や英雄達といえども絶対に克服することはできないだろう。」
その後、魔王はテーブルの上に置いたグラスに血のように赤いワインを注いだ。
そしてグラスをつかみ、あたかも勝利が確定したかのようにワインをいっきに飲み干した。
そのため、外国から多数訪れた賓客をもてなすため王宮で開かれた舞踏会に出たくはなかった。
ところが、ランカスター公爵家はゴード王国の筆頭貴族で、3人の娘が欠席するのは許されなかった。
クラリスは細心の注意を払って、目立たないような服装と髪型をして大広間に入室した。
反対に2人の姉は、何時間もかけてお洒落をしてきた。
しかし、2人の姉が出席者から注目されることはなかった。
一方、クラリスには最大限の注目が集まった。
彼女が大広間に入ると、大きな歓声が上がった。
「おお! なんてお美しい! あれはどなただ! 」
「たぶん、王女のうちのお一人だろう。」
「いやいや。王女ではなくランカスター公爵家の娘だよ。」
「それにしても。なんて美しく輝く黒髪だ。そして青い瞳には吸い込まれるそうになる。」
「うわさだと。姉2人とは母親が違い、魔女だそうだ。」
「うん。知っている。魔女の国の女王。真実に至る魔女が母親だそうだ。」
「だから、人間離れした美しさなんだ。」
そうこうして間、舞踏会の会場に集められた楽団が音楽をかなで始めた。
あちこちで、相手を誘い、2人一組のダンスが始まった。
その中でクラリスは誘いを全て断わり、舞踏会の会場の壁にへばりついていた。
ところが、
彼女の前にいつまで留まり、話し続ける参加者がいた。
「魅惑的です。私はあなたのそばを離れることができません。」
「御冗談を‥‥私は今日の出席者の中で最も地味で魅力のない者です。他にたくさんきれいな方々がいらっしゃいます。早くいかれた方がいいですよ。」
「自分のことを誇らない。なんて奥ゆかしい、心根の美しい方だ。」
「‥‥ 」
「どうですか。私と1曲で良いので踊っていただけますか。」
「実は今日、体の調子がとても悪いのです。今も壁によりかからなければ立っていられません。」
「それでは、それでは、これだけはせめてお約束ください。今度、舞踏会でお会いした時は私と1番に踊っていただけますか。」
「今日、私は決心したのです。もう2度とこのような舞踏会に出席させていただくことはないでしょう。」
「おう! それはゴード王国最大の損失だ。私はジョージ大公、ジョージ公国の領主です。」
その時、クラリスはとても小さな声で詠唱していた。
(空間の神よ。美しき心を映す世界の守護者、真実に至る魔女を継ぐ者が切に依頼する。我が前にいる者と最大の空間を隔てよ。)
王宮の広間のごくごく限定的な空間に風が吹いた。
そしてジョージ大公は最大の風力で吹き飛ばされた。
世界中の主な国々を全て結び、人や物が流れている世界街道があった。
ジョージ公国はその世界街道のほぼ真ん中、重要な位置を領土としていた。
その城は世界最高の財力を背景に、壮大で巨大なものだった。
大公の謁見の間の前にある領主の席に、ザラが座っていた。
その前にはジョージ大公とその家臣達がひざまずいていた。
ジョージ大公がザラに聞いた。
「ザラ様。お姉様の御一行は今、どうされているのでしょうか。」
「このジョージ公国のさまざまなものを楽しんで視察されていますよ。そうそう、姉様と久し振りに遊びました。とても楽しかったです。」
「世界最高に美しい方とその次に美しい方が、どのように遊ばれたのでしょうか。」
「もちろん。これです。」
そう言った後、ザラはさやから剣を抜き、さやの中に落した。
鋼の剣は大きな音を立てた。
「ところで大公様。先ほど言われた、『世界最高に美しい方』とは誰のことなのでしょうか? 」
「もちろん、クラリス―― 」
ジョージ大公がそう言いかけた瞬間、ザラの青い瞳が強く光った。
そして、怒りの覇気が大公に浴びせられた。
大公はおもわず後ろに倒された。
体制を整えた後、ジョージ大公は言い直した。
「ザラ様が世界最高に美しい方。その次に美しい方がお姉様のクラリス様です。」
ザラの機嫌はたちどころに回復した。微笑みさえ浮かべていた。
「ところで、公国内への魔族の移住は進んでいますか。」
「はい、多くの魔族が移住を完了しています。全て美しく穏やかな性格の植物系の魔族ばかりですね。」
「人間の住民との関係は大丈夫ですか。何かトラブルが起きていませんか。」
「いえ。互いに助け合って暮らし始めているようです。そもそも、私のジョージ公国は公国といっても大きな国並の領土があるにもかかわらず、人口が非常に少なかったのです。」
「魔族と人間が共存するための領土の広さは十分なのですが、一番心配なのが水ですね。植物系の魔族にとっ、水は死活問題になりますから。」
「水量が多いをウォーター川からの取水だけが頼りです。大丈夫だとは思いますが‥‥‥‥ 」
クラリス達4人はジョージ公国で最も栄えている都市マーゴの中を歩いていた。
メイが言った。
「半分くらいが植物系の魔族ですね。人間と仲良く暮らしています。お互いに支え合うこの姿はとてもすばらいいと思います。」
クラリスが大きくうなずいた。
「ザラはほんとうに心の優しい素敵な子です。植物系の魔族は弱く、悪しき心を映す世界では虐しいたげられています。この国に移住して人間と仲良く暮らせるのなら最高です。」
アーサーが素朴な疑問を投げかけた。
「このような不吉なことを言ってはいけないのかもしれませんが。人間が魔族に変ってしまう災厄がこの国にほんとうに起こるのでしょうか。」
「必ず起きることは確かです。最後の3つの災厄は、強力でとても恐ろしいものであるはずです。」
悪しき心を映す世界の魔王城で、魔王アスモデウスが遠視の力で人間世界を見ていた。
正確には人間世界のはるか上空を見ていた。
魔王はこの異世界の太陽をその瞳に映し、しっかりと見ることができた。
「これは強力な災厄だ。あの魔女や英雄達といえども絶対に克服することはできないだろう。」
その後、魔王はテーブルの上に置いたグラスに血のように赤いワインを注いだ。
そしてグラスをつかみ、あたかも勝利が確定したかのようにワインをいっきに飲み干した。
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