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6 石の国の侵略2
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その日がやって来た。
石の国の大艦隊が、ぞくぞく入り江の中に近づいてきた。
事前に計画したとおり、入り江の入口を鉄の鎖で何重にも封鎖していた。
それでも無理矢理、石の国の大艦隊は入り江に侵入してきた。
「なんで、無理矢理入って来るのだろう? 」
敵の様子を海見山の頂上で監視していた八広は疑問に思った。
やがて、その理由がわかることが起きた。
ドボーン、ドボーン
入り江に侵入した船の上に、騎馬が現われ騎士が乗っていた。
その騎士達は、馬に乗ったまま海の中に入っていった。
この入り江の水深は浅く、入り江の場所さえ選べば2メートルいかない場所もあった。
既に浅い場所の調査は完了しているようで、騎馬達は1列で陸に近づいた。
陸に近づくと、八広の発案で水際に作られた水城からたくさんの矢が放たれた。
しかし、騎士や馬はフル装備の鉄の甲冑に守られており、矢の効果はほとんどなかった。
「あれ――そうなんだ。モンゴル帝国のことばかり勉強してきたけど、中世ヨーロッパの要素が入っていたのか、全くノーマークだった!!! 仕方がないや!!! 」
彼は急いで、海見山を降り始め、海岸を防衛している水城に駆けつけた。
水城に駆けつけて見ると、既に騎士達は陸地に上がっていた。
そして、どこからか運んできた楯を使って、矢避けを作っていた。
彼は水城を防衛している司令官に聞いた。
「長い槍はありますか? 」
「はい。勇者様、お望みの、とても長い槍がありますよ。 でも不便ではありませんか」
「いえ。使い方にはコツがあるのです」
八広は長い槍を持って、海から上がってくる騎士達に近づいた。
異様な武器を持っていた八広に騎士達は一瞬ためらったが、やがて剣を振り上げて迫ってきた。
彼は人馬一体で動く彼らの動きを正確に見極めた。
そして、彼のそばに騎馬が近づくより前に、長槍を上からたたき落した。
たたき落された槍は、調度、馬の頭を強烈に直撃した。
ほとんどの馬はその衝撃で、脳しんとうを起こし横倒しに倒れた。
騎士達は地面に叩きつけられ、強烈なダメージを受けた。
しかし、歴戦の強者らしい彼らはすぐに起き上がり、八広に向かって剣を振り走り寄ってきた。
八広は思った。
(なんという闘志だろうか。もうかなり消耗しておりダメージを受けているはずなのに―― )
いつものとおり、八広は騎士達を冷静にしっかりと見た。
すると思った。
(全身鉄で守られている。しかし、彼らの動きはそのせいで非常に、にぶい。たぶん、砂の上を歩くことにも慣れていない。甲冑のつなぎ目に剣の刃やいばを深く当てることは容易たやすいだろう。)
それから、彼は正確に騎士達の鉄の甲冑のつなぎ目をねらい1人1人倒していった。
それを水城の後ろで見ていた邪馬台国の兵士達は歓声を上げて讃たたえた。
体中鉄に覆われている化け物を勇者である八広が退治しているように見えた。
彼は一端、水城まで下がった。
そこで、新たな情報があった。
「勇者様。登与様からの御伝言です。今から鬼道を使い、この入り江全体に大嵐を起すそうです。」
「わかりました。いよいよ、あのアテルイとの対決が始まるのですね。僕は戦いの舞台で待っていましょう。」
アテルイが乗船した石の国の大艦隊の旗艦は、既に入り江の中に侵入していた。
彼は、西方の国との戦いで獲得した望遠鏡を使い、八広の戦いを監視していた。
「うむ。我と互角の戦いをした西方の騎士達の多くを、あんなに簡単に片付けるとは大したやつだな。さすがに、卑弥呼が命を落してまで自らの全ての力を分け与えた者だ。」
「アテルイ様。出られますか? 」
副官のミリが聞いた。
「うん。我自らが出よう。たぶん、あの若者もそれを望んでいるに違いないだろう。前回と同じように、山の上にある神殿まで歩いていく間で待っているに違いあるまい。」
外では、すこしづつ風が強くなっていった。
そして、大粒の雨が滝のように落ち始めた。
だんだん風はさらに強くなり、入り江の船は入り江だというのに外洋のような大波に襲われた。
大波の海水は多くの帆船の中に流れ込み、沈没する船が多くなった。
ところが、
2メートルを超す、大きなアテルイは大嵐を全く気にせず船首に立った。
「我の前には陸が続く。誰も我の歩みを止めることはできない! 」
その後、海に飛び降りた。
しかし、彼は海の中に飲み込まれなかった。
なんと、海の上に立った。次に、海の上を大股で歩き始めた。
そして最後には岸にたどり着いた。
事前に八広が、アテルイが来たら何もしてはいけないと周知していた。
そのため、水城からの矢は打たれなかった。
アテルイは記憶をたどり、海見山のふもとにたどりついた。
すると、数年前の記憶とは異なり、山道につながる場所に建物ができていた。
「わざわざ、このような場所に闘技場を造り我を出迎えたのか。」
アテルイは直感で、その建物が何を目的として建てられたのかわかった。
大嵐の中、アテルイはその中に入った。
中は薄暗かったが、ろうそくが灯され最低の証明は保たれていた。
そこは、剣道場だった。
そして、そこに静かに座っている影があった。
入江八広はそこで待っていた。
「初めて相まみえるという表現は違っているのかもしれないな。依然、はるかな時間を隔てて、我に挑戦してきた若者だな。もう、我を恐れないようになったか!!! 」
そう言うと、アテルイが背中に担いでいた大剣を抜き、八広に向かって強烈な一撃をぶつけてきた。
当然、八広はやすやすと避けることができたが、その一撃は剣道場の壁に当たった瞬間、全てを破壊した。
壁が破壊されるだけではなく、剣道場全体が見事に吹っ飛んでいた。
アテルイと八広は外の大嵐の強烈な雨風を体に受けていた。
「はははは――
ずいぶん安普請な闘技場だな。建物は木材で造るのではなく石で造るべきだぞ」
アテルイが笑いながら言った。
しかし八広はとても真剣な怖い顔で言い返した。
「戦いは神聖な場で行うべきです。木材にははるかなる時をかけて八島の神々が宿っています。それに比べ、石の中には何も無く長い年月を過ごした死の神々しか宿っていません。」
「おう、なかなか言うな。我もよく知っているぞ。その死の神々だが、人間がこの世界に存在しなかった数憶年以上の昔から存在していた崇高な存在なのだぞ」
石の国の大艦隊が、ぞくぞく入り江の中に近づいてきた。
事前に計画したとおり、入り江の入口を鉄の鎖で何重にも封鎖していた。
それでも無理矢理、石の国の大艦隊は入り江に侵入してきた。
「なんで、無理矢理入って来るのだろう? 」
敵の様子を海見山の頂上で監視していた八広は疑問に思った。
やがて、その理由がわかることが起きた。
ドボーン、ドボーン
入り江に侵入した船の上に、騎馬が現われ騎士が乗っていた。
その騎士達は、馬に乗ったまま海の中に入っていった。
この入り江の水深は浅く、入り江の場所さえ選べば2メートルいかない場所もあった。
既に浅い場所の調査は完了しているようで、騎馬達は1列で陸に近づいた。
陸に近づくと、八広の発案で水際に作られた水城からたくさんの矢が放たれた。
しかし、騎士や馬はフル装備の鉄の甲冑に守られており、矢の効果はほとんどなかった。
「あれ――そうなんだ。モンゴル帝国のことばかり勉強してきたけど、中世ヨーロッパの要素が入っていたのか、全くノーマークだった!!! 仕方がないや!!! 」
彼は急いで、海見山を降り始め、海岸を防衛している水城に駆けつけた。
水城に駆けつけて見ると、既に騎士達は陸地に上がっていた。
そして、どこからか運んできた楯を使って、矢避けを作っていた。
彼は水城を防衛している司令官に聞いた。
「長い槍はありますか? 」
「はい。勇者様、お望みの、とても長い槍がありますよ。 でも不便ではありませんか」
「いえ。使い方にはコツがあるのです」
八広は長い槍を持って、海から上がってくる騎士達に近づいた。
異様な武器を持っていた八広に騎士達は一瞬ためらったが、やがて剣を振り上げて迫ってきた。
彼は人馬一体で動く彼らの動きを正確に見極めた。
そして、彼のそばに騎馬が近づくより前に、長槍を上からたたき落した。
たたき落された槍は、調度、馬の頭を強烈に直撃した。
ほとんどの馬はその衝撃で、脳しんとうを起こし横倒しに倒れた。
騎士達は地面に叩きつけられ、強烈なダメージを受けた。
しかし、歴戦の強者らしい彼らはすぐに起き上がり、八広に向かって剣を振り走り寄ってきた。
八広は思った。
(なんという闘志だろうか。もうかなり消耗しておりダメージを受けているはずなのに―― )
いつものとおり、八広は騎士達を冷静にしっかりと見た。
すると思った。
(全身鉄で守られている。しかし、彼らの動きはそのせいで非常に、にぶい。たぶん、砂の上を歩くことにも慣れていない。甲冑のつなぎ目に剣の刃やいばを深く当てることは容易たやすいだろう。)
それから、彼は正確に騎士達の鉄の甲冑のつなぎ目をねらい1人1人倒していった。
それを水城の後ろで見ていた邪馬台国の兵士達は歓声を上げて讃たたえた。
体中鉄に覆われている化け物を勇者である八広が退治しているように見えた。
彼は一端、水城まで下がった。
そこで、新たな情報があった。
「勇者様。登与様からの御伝言です。今から鬼道を使い、この入り江全体に大嵐を起すそうです。」
「わかりました。いよいよ、あのアテルイとの対決が始まるのですね。僕は戦いの舞台で待っていましょう。」
アテルイが乗船した石の国の大艦隊の旗艦は、既に入り江の中に侵入していた。
彼は、西方の国との戦いで獲得した望遠鏡を使い、八広の戦いを監視していた。
「うむ。我と互角の戦いをした西方の騎士達の多くを、あんなに簡単に片付けるとは大したやつだな。さすがに、卑弥呼が命を落してまで自らの全ての力を分け与えた者だ。」
「アテルイ様。出られますか? 」
副官のミリが聞いた。
「うん。我自らが出よう。たぶん、あの若者もそれを望んでいるに違いないだろう。前回と同じように、山の上にある神殿まで歩いていく間で待っているに違いあるまい。」
外では、すこしづつ風が強くなっていった。
そして、大粒の雨が滝のように落ち始めた。
だんだん風はさらに強くなり、入り江の船は入り江だというのに外洋のような大波に襲われた。
大波の海水は多くの帆船の中に流れ込み、沈没する船が多くなった。
ところが、
2メートルを超す、大きなアテルイは大嵐を全く気にせず船首に立った。
「我の前には陸が続く。誰も我の歩みを止めることはできない! 」
その後、海に飛び降りた。
しかし、彼は海の中に飲み込まれなかった。
なんと、海の上に立った。次に、海の上を大股で歩き始めた。
そして最後には岸にたどり着いた。
事前に八広が、アテルイが来たら何もしてはいけないと周知していた。
そのため、水城からの矢は打たれなかった。
アテルイは記憶をたどり、海見山のふもとにたどりついた。
すると、数年前の記憶とは異なり、山道につながる場所に建物ができていた。
「わざわざ、このような場所に闘技場を造り我を出迎えたのか。」
アテルイは直感で、その建物が何を目的として建てられたのかわかった。
大嵐の中、アテルイはその中に入った。
中は薄暗かったが、ろうそくが灯され最低の証明は保たれていた。
そこは、剣道場だった。
そして、そこに静かに座っている影があった。
入江八広はそこで待っていた。
「初めて相まみえるという表現は違っているのかもしれないな。依然、はるかな時間を隔てて、我に挑戦してきた若者だな。もう、我を恐れないようになったか!!! 」
そう言うと、アテルイが背中に担いでいた大剣を抜き、八広に向かって強烈な一撃をぶつけてきた。
当然、八広はやすやすと避けることができたが、その一撃は剣道場の壁に当たった瞬間、全てを破壊した。
壁が破壊されるだけではなく、剣道場全体が見事に吹っ飛んでいた。
アテルイと八広は外の大嵐の強烈な雨風を体に受けていた。
「はははは――
ずいぶん安普請な闘技場だな。建物は木材で造るのではなく石で造るべきだぞ」
アテルイが笑いながら言った。
しかし八広はとても真剣な怖い顔で言い返した。
「戦いは神聖な場で行うべきです。木材にははるかなる時をかけて八島の神々が宿っています。それに比べ、石の中には何も無く長い年月を過ごした死の神々しか宿っていません。」
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