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12 王女との婚約2
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「災厄の海流ですか? 」
「そうです。八島の神々から、最も恐るべきものと言われています。海の中の流れなのですが、単に海水が流れているだけではなく、遠い国々からいろいろな悪いことも運んで来るのです」
「悪いこと‥‥ですか‥‥ 」
「はい。一番大きなものは石の国、帝国の侵略ですが、そこまでいかなくても人や物が運ばれて来ます」
「八島の神々はそのように言っているのですか。今の僕達の知識からすると、外国との交流ということですね。ところが、今日本の国はこの星のいろいろな国々や文化と交流しています」
「そうなのですね‥‥‥‥‥‥ 」
その時、登与はとても寂しそうだなと八広は感じた。
朝食の後、登与が自分の世界に帰る時がきた。
334段目まで降りて、333段目を踏もうとした時、登与は山頂を見た。
山頂では、八広、風香そして八広の父親の総記が見守っていた。
やがて、333段目あたりが光り輝いたかと思うと、登与がそこに降りて踏んだ。
すると、登与の姿はあっという間に消えた。
「八広の言っていたことは、ほんとうだったのね」
風香が改めて言った後、さらに聞いた。
「八広は彼女の世界にいつ転移するの? 」
「帝国の侵略は撃退できましたが、きっと第2の侵略が開始されるでしょう。僕も、出切る限り早く彼女の世界に転移して、邪馬台国の防衛戦に協力したいと思います。なにせ、勇者ですから」
その頃、登与が戻った異世界、邪馬台国から大海原を越えた石の国では――
大帝国の王都にある銀河宮で、大将軍アテルイが皇帝に報告していた。
「陛下、鬼道を受け継ぐ者が女王登与の他にもう1人おりました」
「ほう おもしろそうな話しだな」
「はい。その者が持つのはかなり強力です。鬼道の大嵐の中、神剣を使い雷光を私に向かって放ちました」
「そうか。我の神々もこの世の中で最高の力とおっしゃられていた雷光か」
「はい、そうです」
「だけど、我が長男にして帝国第1位の剣士アテルイはここにいる。雷光をみごと防いだのか―― 」
「なんとか防ぐことはできましたが幸運でした。たぶん、あの剣士は雷光の最高の力を出し切ってはいませんでしょう」
「剣士の名前は? 」
「確か不思議な名前です。初めて聞いたような響きでした。入江八広(いりえやひろ)と! 」
「いりえやひろ‥‥‥‥か、会ってみたいな」
「はい。必ず捕らえてこの場に連れて参りましょう」
その時、その場に控えていた皇帝の長女、アテルイの妹であるザラが発言した。
「お父様、次の邪馬台国への遠征はお兄様ではなく私が参ります。相手はお兄様とほぼ互角に戦った強者、再度お兄様が行かれるよりも、女の私が行った方が隙を見つけ勝利しやすいでしょう」
「そうだな。アテルイはこの頃、我が帝国のためにさまざまな場所への遠征を立て続けに行ったから、このへんで少し休息をとったらどうかな」
皇帝のその言葉にアテルイは断固として反対しようとした。
しかし、ザラが、それをさえぎるかのように口を出した。
「お兄様も納得されているようです。ですから、今度の邪馬台国への遠征は私ザラを総司令官として、私の軍団が参りましょう」
そう言い終えると、そこで話しを完全に打ち切ってしまおうとザラは靴音高く謁見の間を出て行った。
「アテルイよ。ここはザラに任せないか。雷光を使い、お前と互角に戦うことができた戦士との再戦で、お前にもしものことがあったら、私は最高の宝物・跡継ぎを失うことになる」
「ザラもお前に負けず劣らず強い。なんとかしてくれるだろう」
「御意」
アテルイはしぶしぶ認めて、皇帝の謁見の間を出た。
すると、何時ぞやと同じように出口の柱の影でザラが待っていた。
「ザラか、邪馬台国の遠征、私の代わりに出てくれてありがとう」
「お兄様の力になれてほんとうにうれしく思います」
「お前、何かたくらんでいるな! 」
「そうですね。その八広とかいうものを私の夫のしようなどと思ってはおりませんよ」
「それが心の中で、たくらんでいることか」
登与が自分の世界に転移して帰ってから、しばらくして八広も異世界に転移した。
邪馬台国の女王の神殿の雰囲気はほとんど変わっていないようだった。
しかし、八広が中に入ると、何かバタバタして異常な雰囲気だった。
八広は、登与がいつもいる部屋に入った。
「登与さん。やってきました。何か雰囲気がばたばたしていますね」
登与は八広を見ると、はっとしたような驚きの表情を見せた。
「八広様。お久し振りです。いらっしゃた早々お伝えしなければなりませんね。数日前、石の国のある王族から私宛の手紙が届きました」
「えっ! 王族から登与さんへ―― 」
「はい。皇帝の長女で王位継承権第2位のザラという名前の王女からです」
「どういう内容なのですか。差し支えなければ教えていただけませんか」
「‥‥‥‥‥‥それが、邪馬台国への戦線布告なのです」
「戦線布告ですか!!! 攻めてくるのですね」
「ただ一つ、変な条件がついています」
「それは? 」
「八広様が、そのザラという王女と婚約又は結婚するのなら、邪馬台国を同盟国とし攻めてこないということです」
「え――――っ そのザラという王女もおかしいですね。会ったこともない僕と結婚するとかよく言えるものですね」
「でも、石の国は八広様のことを既にしっかりと知っています」
そう言った登与が、ふところから取り出して八広に見せた。
それは、現代人の八広には写真であることがすぐにわかった。
「石の国の絵師が、このように八広様の詳細な枝をいつの間にか描いているのですね」
「そうですか。かまいません。たとえ口約束でも、僕はそのザラとか言う王女と婚約します」
「え――――っ 八広様、いかに私達邪馬台国のためであっても御自身の婚約をそんなにすぐに了承しない方が良いと思いますが」
「あの、ほんとうに他意はありませんが。たぶん、ザラという王女の詳細な絵も送られてきていませんか」
登与がふところから何かを取り出した。
八広には彼女が出し渋っているようにも見えた。
それは、ザラの似顔絵だった。
ちょうど、同級生の北川風香とそっくりだった。
ただ、背が非常に高く、八広よりほんの少し低いだけでとても大人びていた。
彼がザラの写真に一瞬見とれていると、強い視線を感じた。
登与が少し険しい表情で彼をにらみつけていた。
「そうです。八島の神々から、最も恐るべきものと言われています。海の中の流れなのですが、単に海水が流れているだけではなく、遠い国々からいろいろな悪いことも運んで来るのです」
「悪いこと‥‥ですか‥‥ 」
「はい。一番大きなものは石の国、帝国の侵略ですが、そこまでいかなくても人や物が運ばれて来ます」
「八島の神々はそのように言っているのですか。今の僕達の知識からすると、外国との交流ということですね。ところが、今日本の国はこの星のいろいろな国々や文化と交流しています」
「そうなのですね‥‥‥‥‥‥ 」
その時、登与はとても寂しそうだなと八広は感じた。
朝食の後、登与が自分の世界に帰る時がきた。
334段目まで降りて、333段目を踏もうとした時、登与は山頂を見た。
山頂では、八広、風香そして八広の父親の総記が見守っていた。
やがて、333段目あたりが光り輝いたかと思うと、登与がそこに降りて踏んだ。
すると、登与の姿はあっという間に消えた。
「八広の言っていたことは、ほんとうだったのね」
風香が改めて言った後、さらに聞いた。
「八広は彼女の世界にいつ転移するの? 」
「帝国の侵略は撃退できましたが、きっと第2の侵略が開始されるでしょう。僕も、出切る限り早く彼女の世界に転移して、邪馬台国の防衛戦に協力したいと思います。なにせ、勇者ですから」
その頃、登与が戻った異世界、邪馬台国から大海原を越えた石の国では――
大帝国の王都にある銀河宮で、大将軍アテルイが皇帝に報告していた。
「陛下、鬼道を受け継ぐ者が女王登与の他にもう1人おりました」
「ほう おもしろそうな話しだな」
「はい。その者が持つのはかなり強力です。鬼道の大嵐の中、神剣を使い雷光を私に向かって放ちました」
「そうか。我の神々もこの世の中で最高の力とおっしゃられていた雷光か」
「はい、そうです」
「だけど、我が長男にして帝国第1位の剣士アテルイはここにいる。雷光をみごと防いだのか―― 」
「なんとか防ぐことはできましたが幸運でした。たぶん、あの剣士は雷光の最高の力を出し切ってはいませんでしょう」
「剣士の名前は? 」
「確か不思議な名前です。初めて聞いたような響きでした。入江八広(いりえやひろ)と! 」
「いりえやひろ‥‥‥‥か、会ってみたいな」
「はい。必ず捕らえてこの場に連れて参りましょう」
その時、その場に控えていた皇帝の長女、アテルイの妹であるザラが発言した。
「お父様、次の邪馬台国への遠征はお兄様ではなく私が参ります。相手はお兄様とほぼ互角に戦った強者、再度お兄様が行かれるよりも、女の私が行った方が隙を見つけ勝利しやすいでしょう」
「そうだな。アテルイはこの頃、我が帝国のためにさまざまな場所への遠征を立て続けに行ったから、このへんで少し休息をとったらどうかな」
皇帝のその言葉にアテルイは断固として反対しようとした。
しかし、ザラが、それをさえぎるかのように口を出した。
「お兄様も納得されているようです。ですから、今度の邪馬台国への遠征は私ザラを総司令官として、私の軍団が参りましょう」
そう言い終えると、そこで話しを完全に打ち切ってしまおうとザラは靴音高く謁見の間を出て行った。
「アテルイよ。ここはザラに任せないか。雷光を使い、お前と互角に戦うことができた戦士との再戦で、お前にもしものことがあったら、私は最高の宝物・跡継ぎを失うことになる」
「ザラもお前に負けず劣らず強い。なんとかしてくれるだろう」
「御意」
アテルイはしぶしぶ認めて、皇帝の謁見の間を出た。
すると、何時ぞやと同じように出口の柱の影でザラが待っていた。
「ザラか、邪馬台国の遠征、私の代わりに出てくれてありがとう」
「お兄様の力になれてほんとうにうれしく思います」
「お前、何かたくらんでいるな! 」
「そうですね。その八広とかいうものを私の夫のしようなどと思ってはおりませんよ」
「それが心の中で、たくらんでいることか」
登与が自分の世界に転移して帰ってから、しばらくして八広も異世界に転移した。
邪馬台国の女王の神殿の雰囲気はほとんど変わっていないようだった。
しかし、八広が中に入ると、何かバタバタして異常な雰囲気だった。
八広は、登与がいつもいる部屋に入った。
「登与さん。やってきました。何か雰囲気がばたばたしていますね」
登与は八広を見ると、はっとしたような驚きの表情を見せた。
「八広様。お久し振りです。いらっしゃた早々お伝えしなければなりませんね。数日前、石の国のある王族から私宛の手紙が届きました」
「えっ! 王族から登与さんへ―― 」
「はい。皇帝の長女で王位継承権第2位のザラという名前の王女からです」
「どういう内容なのですか。差し支えなければ教えていただけませんか」
「‥‥‥‥‥‥それが、邪馬台国への戦線布告なのです」
「戦線布告ですか!!! 攻めてくるのですね」
「ただ一つ、変な条件がついています」
「それは? 」
「八広様が、そのザラという王女と婚約又は結婚するのなら、邪馬台国を同盟国とし攻めてこないということです」
「え――――っ そのザラという王女もおかしいですね。会ったこともない僕と結婚するとかよく言えるものですね」
「でも、石の国は八広様のことを既にしっかりと知っています」
そう言った登与が、ふところから取り出して八広に見せた。
それは、現代人の八広には写真であることがすぐにわかった。
「石の国の絵師が、このように八広様の詳細な枝をいつの間にか描いているのですね」
「そうですか。かまいません。たとえ口約束でも、僕はそのザラとか言う王女と婚約します」
「え――――っ 八広様、いかに私達邪馬台国のためであっても御自身の婚約をそんなにすぐに了承しない方が良いと思いますが」
「あの、ほんとうに他意はありませんが。たぶん、ザラという王女の詳細な絵も送られてきていませんか」
登与がふところから何かを取り出した。
八広には彼女が出し渋っているようにも見えた。
それは、ザラの似顔絵だった。
ちょうど、同級生の北川風香とそっくりだった。
ただ、背が非常に高く、八広よりほんの少し低いだけでとても大人びていた。
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登与が少し険しい表情で彼をにらみつけていた。
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