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1 王女の猛抗議
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雲の上に道があった。
それは天上界への門に続き、既に亡くなった人々が長い列を作っていた。
精一杯幸せに生きた人々はその道を進み、1人1人順調に天上界の中に入っていた。
ところがある時、その順調な動きに異変が起きた。
長い列が全く動かなくなり、天上界に入る動きが全く止った。
門の前で全く動かない若い女性がいたからだ。
色白で魅力的な大きな目、美しい青色の瞳だった。
「一生のうち誰もが平等にチャンスが与えられるはずです。しかし、ノーチャンスだった人がいるのですよ。おかしいです!!! 最高神様はいったい何をしていたのですか!!! 」
猛抗議だった。
それに対して、門の前でチェックしていた検査神がたずねた。
「それはあなたのことですか? 」
「いいえ、私のことではありません。私は王女として生まれ、多くのチャンスが与えられました。」
「それでは、誰のことですか? 」
「私の国に生まれた真の勇者がいます。彼の人生は、亡くなるまで完全なノーチャンスでした。」
「……上に報告します。詳しく教えてください。」
天上界の最も高い場所に座っていた最高神に、報告がされていた。
その回りを多くの神々が取り囲んでいた。
裁定神が言った。
「最高神様、天上界に入る人の動きが全く止ってしまいました。」
「どうしてですか? 」
「滅亡したゴード王国のグネビア王女が猛抗議をして、1歩も動きません。」
人間が天上界に入る順番は決まっており、前に並んだ人を抜かすことはできなかった。
「何を猛抗議しているのですか? 」
「魔族の中に最強の魔王が誕生し、それと均衡を保つため真の勇者も誕生しました。」
「ところが、大きな誤りが発生していました……」
「大きな誤りを天上界がしてしまったのですか。」
「はい初歩的な誤りです。あり得ないことです。」
「正直に説明しなさい。それは、どういうことですか? 」
「魔族の完全勝利は最初から決まっていました。真の勇者に問題が……」
「実力が足りなかったのですか。」
「内に秘めた実力は十分ありました。最強の魔王にも勝てたでしょう。ただ……」
「ただ……」
「しっかりと説明しなさい! 」
裁定神は極めて小さな声で言った。
「はい、彼の人生はノーチャンスだったのです。」
「声が小さくて聞こえません。大きな声で言いなさい。」
「勇者の一生はノーチャンスでした。パーフェクトノーチャンスです。」
「どんなに努力しても結果がでず。報われない人生だったということですか」
「はい、そうです。」
「彼は今どこにいますか。」
「勇者ランスロは、天上界の門へ続く列の中で王女より3千人後にいます。」
「映して見せてください。運命~最高神の私をさぞ呪っているのでしょうね――」
最高神達の前にスクリーンのように、列の中にいるボロボロの服を着た若い男性の姿が映し出された。
「お――っ」
神々から、驚きの歓声が上がった。
凜々りりしい彼の顔はすがすがしく、終わった人生に十分に満足していることが明らかだった。
それを見て最高神が微笑みながら言った。
「我々天上界は、大きな誤りを犯してしまいましたが救われましたね――」
その後、裁定神が最高神から指示を受けた。
天上界の門の前でグネビア王女の猛抗議を受けていた検査神に、最高神の指示が伝えられた。
「王女よ。今最高神様から御指示がありました。本人達の承認が必要だそうです。特例ですが勇者をここに呼びます。」
検査神が列の後ろを右手で指さした。
すると、勇者ランスロの姿が現れた。
勇者は王女の姿を見ると涙を流し、その場にひざまずいた。
「王女様、死して再び会えるとは……」
「ランスロ、今から検査神様がおっしゃることを私と一緒に聞いてください。
王女は検査神にたずねた。
「どのような御指示でしょうか。」
「王女グネビアと勇者ランスロに『生き返り』が認められました。ただし、極めて異例な措置であるので2つの条件が課せられるそうです。」
「どのような条件でしょうか。」
「生き返った2人は、生まれてからの人生を再度繰り返すことになります。第1の条件は、繰り返しだということを認識するため、どちらか1人には元の記憶を残すことです。」
「わかりました。私に元の記憶を残してください。」
「子供の頃から人生を繰り返すのです。大人の記憶をもちながら過ごす子供の毎日は、ある意味では大変辛いことですよ。」
「かまいません。」
「自分の国が滅亡し、魔族に殺された時の悲しい記憶も残るのですよ。」
「かまいません。」
勇者があわてて言った。
「王女様。その条件は私が受けます。」
「いいのよ。大丈夫だから。」
検査神が続けた。
「第2の条件はもっと厳しいです。1回目の人生でノーチャンスだった勇者ランスロに与えられるのはワンチャンスだけです。」
2人が同時に言った。
「問題ありません。」
「問題ありません。」
「ほんとうに良いのですか。わずかワンチャンスだけですよ。1回目とほとんど変わらないではないですか。」
2人は目を合わせた後、グネビア王女が言った。
「私の勇者ならワンチャンあれば十分です~全く問題ありません! 」
それは天上界への門に続き、既に亡くなった人々が長い列を作っていた。
精一杯幸せに生きた人々はその道を進み、1人1人順調に天上界の中に入っていた。
ところがある時、その順調な動きに異変が起きた。
長い列が全く動かなくなり、天上界に入る動きが全く止った。
門の前で全く動かない若い女性がいたからだ。
色白で魅力的な大きな目、美しい青色の瞳だった。
「一生のうち誰もが平等にチャンスが与えられるはずです。しかし、ノーチャンスだった人がいるのですよ。おかしいです!!! 最高神様はいったい何をしていたのですか!!! 」
猛抗議だった。
それに対して、門の前でチェックしていた検査神がたずねた。
「それはあなたのことですか? 」
「いいえ、私のことではありません。私は王女として生まれ、多くのチャンスが与えられました。」
「それでは、誰のことですか? 」
「私の国に生まれた真の勇者がいます。彼の人生は、亡くなるまで完全なノーチャンスでした。」
「……上に報告します。詳しく教えてください。」
天上界の最も高い場所に座っていた最高神に、報告がされていた。
その回りを多くの神々が取り囲んでいた。
裁定神が言った。
「最高神様、天上界に入る人の動きが全く止ってしまいました。」
「どうしてですか? 」
「滅亡したゴード王国のグネビア王女が猛抗議をして、1歩も動きません。」
人間が天上界に入る順番は決まっており、前に並んだ人を抜かすことはできなかった。
「何を猛抗議しているのですか? 」
「魔族の中に最強の魔王が誕生し、それと均衡を保つため真の勇者も誕生しました。」
「ところが、大きな誤りが発生していました……」
「大きな誤りを天上界がしてしまったのですか。」
「はい初歩的な誤りです。あり得ないことです。」
「正直に説明しなさい。それは、どういうことですか? 」
「魔族の完全勝利は最初から決まっていました。真の勇者に問題が……」
「実力が足りなかったのですか。」
「内に秘めた実力は十分ありました。最強の魔王にも勝てたでしょう。ただ……」
「ただ……」
「しっかりと説明しなさい! 」
裁定神は極めて小さな声で言った。
「はい、彼の人生はノーチャンスだったのです。」
「声が小さくて聞こえません。大きな声で言いなさい。」
「勇者の一生はノーチャンスでした。パーフェクトノーチャンスです。」
「どんなに努力しても結果がでず。報われない人生だったということですか」
「はい、そうです。」
「彼は今どこにいますか。」
「勇者ランスロは、天上界の門へ続く列の中で王女より3千人後にいます。」
「映して見せてください。運命~最高神の私をさぞ呪っているのでしょうね――」
最高神達の前にスクリーンのように、列の中にいるボロボロの服を着た若い男性の姿が映し出された。
「お――っ」
神々から、驚きの歓声が上がった。
凜々りりしい彼の顔はすがすがしく、終わった人生に十分に満足していることが明らかだった。
それを見て最高神が微笑みながら言った。
「我々天上界は、大きな誤りを犯してしまいましたが救われましたね――」
その後、裁定神が最高神から指示を受けた。
天上界の門の前でグネビア王女の猛抗議を受けていた検査神に、最高神の指示が伝えられた。
「王女よ。今最高神様から御指示がありました。本人達の承認が必要だそうです。特例ですが勇者をここに呼びます。」
検査神が列の後ろを右手で指さした。
すると、勇者ランスロの姿が現れた。
勇者は王女の姿を見ると涙を流し、その場にひざまずいた。
「王女様、死して再び会えるとは……」
「ランスロ、今から検査神様がおっしゃることを私と一緒に聞いてください。
王女は検査神にたずねた。
「どのような御指示でしょうか。」
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「どのような条件でしょうか。」
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「わかりました。私に元の記憶を残してください。」
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「かまいません。」
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「かまいません。」
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「いいのよ。大丈夫だから。」
検査神が続けた。
「第2の条件はもっと厳しいです。1回目の人生でノーチャンスだった勇者ランスロに与えられるのはワンチャンスだけです。」
2人が同時に言った。
「問題ありません。」
「問題ありません。」
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「私の勇者ならワンチャンあれば十分です~全く問題ありません! 」
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