私の勇者ならワンチャンあれば十分です!全く問題ありません!!

ゆきちゃん

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2 最後の時の回想

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 グネビア王女がたずねた。
「検査神様、お聞きしたいことがあります。」
「王女よ、なんですか。」
 
「『生き返り』後の人生において、ランスロがワンチャンスをつかむことができるように、昔の記憶を頼りに私が助けてもよいのですか。」
「もちろんです。王女の助けがなければ、勇者がワンチャンスをつかむことはできないでしょう。」

「もしも、もしものことですが、ワンチャンスをつかむことができなければどうなるのでしょうか。」
「第1回目と同じ結末になります。あなたも勇者も魔王に殺されるでしょう。そして、あなたの国であるゴード王国は蹂躙じゅうりんされ、国民達は悲惨な暗黒の毎日を暮らし続けなければなりません。」

「王女様、私にお任せください。あなたの騎士、ゴード王国の勇者として、2度とあのような最後の時がおとずれないよう、全身全霊でやりとげて見せます。」

「ランスロ、あなたはどんな時も逃げることもなく、いつも全力で敵に向かってくれます。自分のことはかえりみず、どんなに傷ついても勇者として進んでくれます。」
 王女は涙ぐんであの最後の時を想い出してした。


 ‥‥‥‥


 平和だったゴード王国の辺境に、ある日、魔族の大軍勢が現れた。
 魔王軍は無慈悲なほど強かった。
 そして、抵抗する者達を容赦なく消していった。
 やがて、王都イスタンに近い所まで進軍すると、ぱったりと動かなくなった。
 しかし、それから真の恐怖が始まった。

 最強と呼ばれる魔王ザラは、イスタンに向けて数万匹の魔界の暗黒蝶を放った。
 暗黒蝶の羽ばたきは、黒い鱗粉りんぷんを大量に落していった。
 鱗粉は人々の日常から光りを奪うとともに、とても強い恐怖を振りまいた。
 そのため、人々の日常は恐怖に支配され、動くことさえできなくなった。
 そして、魔王ザラの言葉が聞こえた。

「王都イスタンの人々よ、恐怖に耐えられないのなら、この世界で最強の私にすがりなさい。ゴード王国を捨てて、私の支配を受け入れなさい。今すぐ王都イスタンを捨てて降参し、こちらに作った魔界への入口を通るのです。魔界の住人になりなさい。」

 その言葉を聞いて、恐怖に絶えきれなくなった王都イスタンの人々の半数、約50万人が降参し魔界への入口を通った。
 彼らには、光りがほとんどない魔界での過酷な生活が待っていた。

 その後、魔王軍の進軍が再び開始され、王都イスタンの攻防戦が始まった。
 ゴード国軍と王都に残った住民は勇敢に戦い、ぎりぎりでなんとか1か月が過ぎた。



 ある日の朝、王都イスタンの大手門の前に1人の背の高い女性戦士が立っていた。
 ぞっとするような完璧な美しさで、額からは2本の角が出ていた。

「私は魔王ザラだ。これからゴードの騎士10人と一騎討ちを行う。そして、その中のたった1人でも私を傷つけることができれば、魔王軍を引き今回の侵攻を終わりにしよう。ただし、誰も傷つけることができなかったのなら、私が先頭に立ち総攻撃を開始する。」

 魔王の申し出は、宮殿にいた国王ヘンリーに伝えられた。
「陛下、魔王ザラが我が方の騎士10人との一騎討ちを申し出ています。そしてその中の1人でも魔王を傷つけることができれば、侵攻を止めると言っています。」

 騎士長ボーンが申し出た。

「陛下、私がまず、相手をしましょう。」

「騎士長ボーンよ。ありがとう。お前の他に我が国の騎士達の中で、上位10人を選んで一騎討ちを挑めば可能性が高まるのだろうか。」

「いいえ、陛下――これまでも時々、魔王ザラが先頭に立ち攻めてきたことがありましたが、魔王は圧倒的な力をもち、魔王1人のために我が軍1万人が犠牲になっています。どんなに強い騎士であっても、誰も傷をつけることなど絶対にできません。」


 国王は、大勢が控えていた身分の高い騎士達に向かって叫んだ。


「おまえ達の中で魔王ザラとの一騎討ちに手を上げる者は、いったい何人いるのだ。無理強いはしないが、魔王に傷をつけて国を救った騎士には、褒美として王女グネビアと結婚し私の後継者とすることをここに約束するぞ。」



 ところが、身分の高い騎士達は、自分の命を惜しんで1人も手をあげようとしなかった。


「ゼロか‥‥ 」

 その時、そばに控えていた王女グネビアが言った。
「お父様、騎士ではありませんが。あそこに、しっかりと手を上げている者がいます。」

 国王がそちらを見ると、はるか末席の一般兵にひざまずきながら確かに手を上げている者がいた。
「手を上げている者よ、身分は問わない。前に出て顔を見せてくれ。」
 国王の承認を受けて、手を上げた一般兵は立ち上がり前に歩いてきた。
 背のとても高い、筋肉質の兵士だった。
 強い意思を秘めた両目と、特徴的なくせ毛が印象的だった。

「勇気を出して手をあげた者よ、名乗るが良い。」
「ランスロ、兵士ランスロでございます。」
 良く通る神秘的な声が宮殿中に響いた。
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