私の勇者ならワンチャンあれば十分です!全く問題ありません!!

ゆきちゃん

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3 最後の時の回想2

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 身分の高い騎士達は、あざけり笑った。

「王女様との結婚につられ、美しさに目がくらんで命を捨てるんだ。ばかだな。」
「剣を使えるのか。そもそも剣すら持っていないぞ。魔王に瞬殺されるな。」
「たかが一般兵だぞ、汚い姿だな。優美な甲冑かっちゅうを着ろってんだ。」

 国王ヘンリーが心配して聞いた。
「一般兵ランスロよ。確かに私の娘グネビアは美しい。たぶん今日、初めて見たのだろう。だが、自分の命の方が重要だ、今からであれば一騎討ちの辞退を許すぞ。」

 一般兵ランスロは答えた。
「お言葉でございますが。グネビア様のお姿は子供の頃から何回も見て、もう目に焼き付いております。さらに、グネビア様の命も含め、ゴード王国全ての人々の命は自分の命より重要です。」

 王女グネビアが説明した。
「ここに立っているランスロは確かに一般兵ですが、実は子供の頃から何回も私の命を救ってくれた者です。けっして恩賞を求める者ではありません――

――とてもくやしいことですが、私との結婚も求めないでしょう。」

 お―― 
 王女の説明を聞いて、宮殿の大広間の中は騒然とした。
 国王は全てを理解した。

「そうだったのか! 私はこの国の頂点に立つ者として、人を見る目がなかったのだな。もしかしたら、ランスロはこの国に生まれた勇者なのかもしれない。ランスロよ、すまなかった。騎士長ボーンとともに魔王と一騎討ちしてほしい。心の底からお願いする――」

 そう言った国王は玉座から立ち上がり、ランスロに向かって一礼した。
 極めて異例なことであったが、国王はそうすることで彼を心からたたえた。

「騎士長ボーン、そして今、国王ヘンリーが任命した騎士、ランスロよ。魔王ザラと一騎討ちし国民を救ってほしい! 」

 その後、国王は騎士長を自分のそばに呼び寄せて耳元で話した。
「ボーンよ。ランスロに甲冑と剣を渡してあげてほしい。」
「はい陛下、最上級の物を彼に渡します。」



 王都イスタンの宮殿の前、大手門の内と外に3人が対峙していた。
 外には魔王ザラが、内には騎士長ボーンと騎士ランスロが立っていた。

「私は騎士10人を連れて来いといったはずだが。わずか2人だけか。魔王ザラもなめられたものだな。それとも、ゴード王国の騎士達には臆病者が多いということが正解だな。まあいい、どちらが最初に私の相手をしてくれるのだ。」

 騎士長がランスロにささやいた。
「ランスロさん。先に出ます。あなたが剣の達人だということは、王女様から聞いています。先に私の戦いを見て魔王の動きを覚えてください。

「騎士長様、私の方こそ先に出ます。」
「いいのです。若者よ、後をたくします。」
「……わかりました。」

「魔王ザラ様。私とお手合わせをお願いします。」
 騎士長ボーンは前に出た。

「かなり老齢の戦士のようだな。しかし、私と戦う決断をした勇気に答えるのが戦士に対する礼儀だと思う。だから手加減はしないぞ。」
 言い終わった瞬間、魔王は音の速さよりも早く剣を振った。

 これまで魔王と戦った人間は100%、その一撃で体を切断され命を落していた。
 ところが、騎士長の剣は完璧にその一撃に反応して受けた。
 魔王は少し驚いたような顔をして、騎士長から距離をとった。

「よく反応したな。私の渾身の一撃を完全に受けた人間はあなたが最初だ。かなりの戦士のようだ。しかし惜しいな、もう年を取り過ぎている。」

 魔王はそう言い終わった瞬間、今度は連続して剣を振り始めた。
 騎士長は今度も魔王の剣さばきに的確に反応して、何回も繰り出される連撃を受け続けていた。
 それは何百回と続いていた。

 そして、千回目の連撃になろうとした時だった。

 それを受けなければならない、剣を握った騎士長の両腕が動かなかった。

 老齢の筋肉が限界にきたのだった。

 剣を振るっていた魔王ザラは瞬間的にそのことに気がついた。
(見事だった。勇敢な人間の老戦士よ! )
 魔王は剣の軌道を変えた。

 剣は騎士長の心臓の一点を突いた。
 苦痛を全く感じることなく、騎士長は命を落した。

 一騎討ちの様子を後ろで見ていた騎士ランスロが、冷静な口調で魔王に申し出た。
「魔王様、切なる願いでございます。今、勇敢に戦った騎士長ボーンの亡骸なきがらをこの場から丁寧に収容させていただきたいのです。しばしのお時間をいただけますか。」

「問題ない。私はゆっくり待つので、その老戦士に最大限の令を尽くして葬ってほしい。」
「ありがとうございます。」



「お待たせして大変申し訳ありません。」
 背のとても高い騎士ランスロが魔王の前に立った。

「それでは、ゴード王国最後の戦士よ。一騎討ちを始めよう。」
 騎士長ボーンの善戦で、エネルギーを多く使わなければならなった魔王ザラは、いきなり連激を繰り出そうとした。

 ところが、魔王は少しも動かなかった。
 というよりも動けなかったと言うのが正確だった。
 騎士ランスロの構えに全く隙がなかった。
 そして騎士長の時と大きな違いがあった。
 守備だけではなく、騎士は攻撃しようとしていた。
 魔王はその純粋な殺気を感じた。

(この騎士が身にまとう気は、普通の人間がもてるものではないな……そうか……勇者がまとうという神聖のオーラだ! )
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