私の勇者ならワンチャンあれば十分です!全く問題ありません!!

ゆきちゃん

文字の大きさ
19 / 71

19 ホーン山3

しおりを挟む
 美しいブルーオパールに見とれている2人に、ザラが注意した。

「この山頂にあるブルーオパールはこんなに光らないぞ。宝石が光るためには、特別な方法で磨く必要がある。宝石の売買を商っている父様が言っていた。岩の中の原石はもっと地味な青色のはずだ。」



 ランスロが言った。

「図書館にあった本で調べました。ブルーオパールは、古代には海の底であった場所が時間をかけて隆起する過程で作られるそうです。だから、はるか昔の貝の化石が目印です。」



 フィリップが提案した。

「3人が自由に探し始めると、同じ場所を2重に探してしまったり、逆に探し漏れてしまうかもしれない。だから、3人で並んで計画的に進んだらどうかな。」



「そのとおりだな。」

「僕も賛成です。」



 その後、3人は一列に並んで頂上を探し始めた。

 時々、土から岩肌が表面に露出していたので、その部分を注意深く探した。

 しかし、その露出している岩の中にブルーオパールの原石はなかなか見つからなかった。



 そのうち、遠くから声が聞こえてきた。

「なんだ、この切り立った岩の断崖は。」

「どうやって登ればいいんだ。」



「他の学生がこの岩の断崖の真下に着いたみたいだ。急ぐ必要があるね。」

「真下から登るルートを見つけてこの頂上に登るまで、どんなに早くいっても半日以上はかかる。あまりあわてないことも必要だ。」



 3人は再び探し始めたが、やはり見つからなかった。

 普通ならばあきらめて、投げ出してしまうくらいの時間が過ぎた。



 しかし、みんな一生懸命に岩肌を見続けた。

 特にランスロは、ブルーオパールの原石が必ず見つかることを疑わなかった。



 ふいに、彼はふところからナイフを取り出した。



 そして、ある箇所の岩肌の回りの土をかき分け、露出している面積を広げ始めた。



「ランソロ。どうしたんだい、何か見つけたの? 」

「この近くにありそうなんです。」

「そうか、みんなで協力しよう。」



 3人がその場所の岩肌を広げていると、ついにランスロが叫んだ。

「ありました! 」

 大きな貝の化石が有り、その化石を青色の固まりが囲んでいた。



 支給された装備品にハンマーがあったので、慎重に岩をたたくと青い固まりは3つに別れて、外にとり出された。

 フィリップが聞いた。



「ランスロ、なんでわかったの。」

「『妖精のつぶやき』です……」

「それはどういう意味? 」



「僕の両親がいつも言っていることです――



――どんなに困難なことでも決して投げ出さず、一生懸命やり遂げようと努力を続けている人を妖精は必ず見ている。そして、もう少しで運命が微笑むことを妖精がつぶやいてその人に知らせる。ただし、そのつぶやきに気がつかないで途中で投げ出してしまう人がとても多い。」



「ランスロは今、妖精がつぶやく声を聞いたの? 」

「具体的な声ではありません。ただ、僕が岩肌の変化を一生懸命見つめていると、少し色が変わったような場所を見つけました。そして僕の目の前で、岩の一部が欠けて転がったのです。」



「そうか、さすがランスロだな。私も『妖精のつぶやき』のことは知っているぞ。父様がいつも言っている。事業に成功するためには、『妖精のつぶやき』に気がつくかどうかが最も大切だと。」







 ブルーオパールの原石を採取することができた3人は、急いで側面の森林を通り岩の断崖を降りた。

 森林を抜けて、3人が岩の断崖の正面に姿を見せると大勢の学生がそこにいた。



「ランスロ、ザラ、フィリップ! まさか、そこから森林に入って迷ったのかい。」

 フィリップが答えた。

「最初は大変だったけど、頂上まで登る道を見つけることができたよ。」



「え――っ。」

「途中で小さな小川にぶつかるから、そこから上がるんだ。小川沿いはとても狭いから注意して。」



「ブルーオパールは見つかったのかい。」

「うん。原石を見つけるのはとても難しいけど必ず見つかるよ。」



「そうか。さあ、みんな時間がもったないから急いで行こう。」

 大勢の学生が、3人が開拓した道を使って頂上を目指した。







 ランスロ、ザラ、フィリップの3人は、帰り道で事故に遭あわないよう慎重に山を下った。

 その結果、わずか2日間でゴールして進級試験を通過した。



 山のふもとでは、士官学校の多くの関係者が待っていた。

 その中に色白銀髪で、落ちついた服を着込んだ若者がいた。

 その人が笑顔で3人に近づいて来た。



「君達は良いチームを作ったんだね、メンバーは? 」

「私ランスロと、ザラ、そしてフィリップです。」



「あっ、大変失礼。自分のことから名乗るべきだったね。」

「私は校長のロダンです。」

「えっ、校長先生って、もっとお年かと。」

「そのとおりですよ、だいぶ長い間、生きています。」

「失礼ですが、どのくらい。」

「150年くらいですか。」

「え――――っ」



「外見ではわかりませんが、私はハーフエルフです。ところで、君達はどれくらいのブルーオパールを採取することができたのですか。」



 校長の質問に答えて、3人は原石を取り出し見せた。

「ほ――かなり大きいですね。これを見つけた時、何か特別なことはありませんでしたか。」



 ランスロが答えた。

「僕には『妖精のつぶやき』がありました。」



「そうですか! ランスロ君、これからも妖精に好かれるよう、未来を切り開いてください。」

「はい。」 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜

丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。 与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。 専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、 失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。 そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、 セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。 「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」 彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、 彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。 嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、 広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、 独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。 栄養と愛情を取り戻したセレナは、 誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、 社交界で注目される存在となる。 一方、セレナを失った伯爵家は、 彼女の能力なしでは立ち行かず、 ゆっくりと没落していくのだった――。 虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます

なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。 過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。 魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。 そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。 これはシナリオなのかバグなのか? その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。 【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】

異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~

たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。 たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。 薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。 仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。 剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。 ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。

処理中です...