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20 決闘
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ランスロは士官学校の2年次生になった。
厳しい進級試験のせいで2年次生は約100人、新入生の時の半数になっていた。
教えられる内容は基本的なことばかりで、ほとんど変わりがない毎日が続いていた。
ただ大きく変わったのが、下級生ができたことだった。
ある日、ランスロが校庭内を歩いていると、言い争っている声がした。
「おい平民、そんなにどうどうと歩いていると目障めざわりなんだよ。俺たち貴族が歩く、視線の先に入ってくるんじゃないよ。」
新入生どおしのけんかのようだった。
気になって彼が様子を見ると、気の弱そうな1人の学生を、反対側から並んできた5人の学生が通路をふさいで因縁をつけていたのだった。
「ここは誰もが歩いていい通路ですよね。あなた達の方が幅一杯に並んで歩いて来たんじゃないですか。それに、士官学校では身分は関係ありません。」
彼は驚いた。
(見かけは気が弱そうだけど、正々堂々としっかりしたことを言う。)
完全に言い負かされそうになった貴族出身の5人の学生は、卑怯な最終手段に出た。
「こういうような場合、名誉を汚された我々貴族が使っていい正当な手段がある。それは決闘だ。人数差があるのは平等ではない。ここで待ってやるから今から平民出身の4人を呼んで来い。」
平民出身のその学生は大変動揺した。
ゴード王国全域の多くの希望者からほんの数人選抜される平民出身者は、入学早々お互いにほとんど知らず、助けを呼ぶことは無理だったからだ。
「どうした早く行け。もっとも、生まれた時から家々どおし固く結びついている我々と違って、アリのような平民の中ではお互いに助け合うことなんてしないからな。――無理ならば、慈悲深い貴族としては許してやらないこともない。ここで土下座して我々5人の履をなめろ。」
それを聞いてその学生ははっとするような顔になり、しばらくその場で固まっていた。
「どうした。早くやるんだ。慈悲を示す時間は長くないぞ。」
やむを得ないと思った学生が決意して、地面に膝をつこうとわずかに動き出した一瞬。
「やあ――ごめんなさい。遅れてしまって、上級生だけど平民出身の僕が助けるよ! 1人だけど結構自信があるんだ。君達! 2対5で決闘しよう。」
ランスロがその場に割って入った。
貴族出身者の新入生の1人が言った。
「まあいいや。平民出身者のあなたは上級生でも、気を使う必要がありませんから。100%の力を使ってください。私達は30%くらいしか力を使いませんから、それで平等でしょう。」
「ふ――ん。そういうふうに考えるんだ。それでは、許してもらったから僕は100%でいくよ。」
そう言った後、彼はそばにいた平民出身の下級生に言った。
「僕1人で十分だから、君は下がって。」
「先輩、それでは申し訳ありません。私も一緒に――」
「僕を信じて、今はそれがベストの選択だから。」
「はい。」
回りには既にたくさん学生達が見物に集まっていた。
「決闘を始めよう。僕の実力の100%……」
ランスロは5人を厳しい顔でにらみつけた。
その瞬間、彼の体から神聖の力をまとった覇気が放出された。
5人にとって何が起きたのかわからなかったが、体中がぶるぶる震えだしてその場に倒れた。
見物者の1人が平民出身の学生に近づいて聞いた。
「君の名前は? 」
「コンラートです。」
「私はグロスター公爵家のフィリップだ。この決闘はランスロとコンラートの勝利であることを宣言する。そしてこれ以降、この5人がコンラートに危害を加えることを固く禁じる。もし破った場合は、貴族序列第1位のグロスター公爵家が5人の家をたたきつぶす。」
「フリップ、ありがとう。でもおおげさではありませんか。」
「貴族の世界では、このくらい徹底的に決めるのが常識なんだ。」
ランスロがコンラートに優しい顔で話しかけた。
「コンラート、気にしないでください。フィリップが宣言してくれたから、これから5人は君に手出しできません。安心してください。」
「ありがとうございました。最強の騎士、不敗の将軍になるランスロさん。」
「えっ、その呼び方は何ですか。」
「平民出身者の新入生は全員あなたをそう呼びます。」
たくさんの新入生が集まってきた。
「コンラート、あの人達の行ったことを許してね。僕は貴族出身者だけど身分のことなど全く考えていないから、仲良くやっていこう。」
「君は、ゴード王国最高の鍛冶屋、ゾイゼンの一族だよね。何も作れない僕達貴族から見ればあごがれてしまうな。」
その後、コンラートはランスロに向かって深く一礼して、多くの新入生達と一緒に去って行った。
「よかった。ランスロ、早く帰ろう。」
「わかりました。フィリップ。」
2人は並んで歩き始めた。
その時、ランスロ達に負けてその場に倒れていた貴族出身者の1人の学生が、そばで介抱していた学校の職員が腰に差していた刀をつかみ、後ろからランスロに斬りかかろうとした。
女性の声がした。
「闇の精霊達、倒してしまいなさい。」
その学生は再びその場に静かに倒れた。
「ランスロ! 私を置いて行くのか。フリップとばかり仲良くするなよ。」
ザラはものすごい勢いで、後ろからランスロに飛びついた。
厳しい進級試験のせいで2年次生は約100人、新入生の時の半数になっていた。
教えられる内容は基本的なことばかりで、ほとんど変わりがない毎日が続いていた。
ただ大きく変わったのが、下級生ができたことだった。
ある日、ランスロが校庭内を歩いていると、言い争っている声がした。
「おい平民、そんなにどうどうと歩いていると目障めざわりなんだよ。俺たち貴族が歩く、視線の先に入ってくるんじゃないよ。」
新入生どおしのけんかのようだった。
気になって彼が様子を見ると、気の弱そうな1人の学生を、反対側から並んできた5人の学生が通路をふさいで因縁をつけていたのだった。
「ここは誰もが歩いていい通路ですよね。あなた達の方が幅一杯に並んで歩いて来たんじゃないですか。それに、士官学校では身分は関係ありません。」
彼は驚いた。
(見かけは気が弱そうだけど、正々堂々としっかりしたことを言う。)
完全に言い負かされそうになった貴族出身の5人の学生は、卑怯な最終手段に出た。
「こういうような場合、名誉を汚された我々貴族が使っていい正当な手段がある。それは決闘だ。人数差があるのは平等ではない。ここで待ってやるから今から平民出身の4人を呼んで来い。」
平民出身のその学生は大変動揺した。
ゴード王国全域の多くの希望者からほんの数人選抜される平民出身者は、入学早々お互いにほとんど知らず、助けを呼ぶことは無理だったからだ。
「どうした早く行け。もっとも、生まれた時から家々どおし固く結びついている我々と違って、アリのような平民の中ではお互いに助け合うことなんてしないからな。――無理ならば、慈悲深い貴族としては許してやらないこともない。ここで土下座して我々5人の履をなめろ。」
それを聞いてその学生ははっとするような顔になり、しばらくその場で固まっていた。
「どうした。早くやるんだ。慈悲を示す時間は長くないぞ。」
やむを得ないと思った学生が決意して、地面に膝をつこうとわずかに動き出した一瞬。
「やあ――ごめんなさい。遅れてしまって、上級生だけど平民出身の僕が助けるよ! 1人だけど結構自信があるんだ。君達! 2対5で決闘しよう。」
ランスロがその場に割って入った。
貴族出身者の新入生の1人が言った。
「まあいいや。平民出身者のあなたは上級生でも、気を使う必要がありませんから。100%の力を使ってください。私達は30%くらいしか力を使いませんから、それで平等でしょう。」
「ふ――ん。そういうふうに考えるんだ。それでは、許してもらったから僕は100%でいくよ。」
そう言った後、彼はそばにいた平民出身の下級生に言った。
「僕1人で十分だから、君は下がって。」
「先輩、それでは申し訳ありません。私も一緒に――」
「僕を信じて、今はそれがベストの選択だから。」
「はい。」
回りには既にたくさん学生達が見物に集まっていた。
「決闘を始めよう。僕の実力の100%……」
ランスロは5人を厳しい顔でにらみつけた。
その瞬間、彼の体から神聖の力をまとった覇気が放出された。
5人にとって何が起きたのかわからなかったが、体中がぶるぶる震えだしてその場に倒れた。
見物者の1人が平民出身の学生に近づいて聞いた。
「君の名前は? 」
「コンラートです。」
「私はグロスター公爵家のフィリップだ。この決闘はランスロとコンラートの勝利であることを宣言する。そしてこれ以降、この5人がコンラートに危害を加えることを固く禁じる。もし破った場合は、貴族序列第1位のグロスター公爵家が5人の家をたたきつぶす。」
「フリップ、ありがとう。でもおおげさではありませんか。」
「貴族の世界では、このくらい徹底的に決めるのが常識なんだ。」
ランスロがコンラートに優しい顔で話しかけた。
「コンラート、気にしないでください。フィリップが宣言してくれたから、これから5人は君に手出しできません。安心してください。」
「ありがとうございました。最強の騎士、不敗の将軍になるランスロさん。」
「えっ、その呼び方は何ですか。」
「平民出身者の新入生は全員あなたをそう呼びます。」
たくさんの新入生が集まってきた。
「コンラート、あの人達の行ったことを許してね。僕は貴族出身者だけど身分のことなど全く考えていないから、仲良くやっていこう。」
「君は、ゴード王国最高の鍛冶屋、ゾイゼンの一族だよね。何も作れない僕達貴族から見ればあごがれてしまうな。」
その後、コンラートはランスロに向かって深く一礼して、多くの新入生達と一緒に去って行った。
「よかった。ランスロ、早く帰ろう。」
「わかりました。フィリップ。」
2人は並んで歩き始めた。
その時、ランスロ達に負けてその場に倒れていた貴族出身者の1人の学生が、そばで介抱していた学校の職員が腰に差していた刀をつかみ、後ろからランスロに斬りかかろうとした。
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「闇の精霊達、倒してしまいなさい。」
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