21 / 71
21 決闘2
しおりを挟む
学校内であった決闘さわぎのことで、ランスロは校長室に呼ばれていた。
正面には校長のロダンが座っていた。
そこには、最強の騎士ホークも同席していた。
「ランスロ君。今日、君を呼んだのは罰するためではない。今回の喧嘩さわぎについては、もう関係者からの聞き取りが済んでおり、君とコンラート君には全く非がないことはわかっている。今日は、君の力について聞きたい。」
「僕の力とおっしゃいますと……」
「君は相手をにらみつけただけで、気絶させてしまった。その様子を多くの学生達が見ている。それはたぶん、どれだけ剣術を修業したとしても使うことが難しい覇気はきの放出だ。まだ2年次生に過ぎない君が、なぜ使うことができるのだろうか? 」
「僕にもわかりません。あの時、戦う気持ちで身構えたら自然に相手が倒れていました。それに、毎日行っている剣術の修業の時、覇気はきのことを意識したことは1回もありません。」
「なるほど、そうするとその力は、元々君の中に備わっていたものが覚醒したと考えるのが自然ですね。たぶん、それは生まれた時に君に与えられた神のギフトです。」
「神からギフトをいただいていたのですか。」
「はい。そして、神のギフトを与えられた者は勇者になり得る者です。できる限り強い勇者になって、人間を守るため、魔王と戦う運命をもちます。ただし勝敗はわかりません。勇者と魔王は均衡した実力を持ちますから、ほんのわずかしかない勝利のチャンスをつかむ必要があります。」
「負ける可能性もあるのですね。勇者が負けてしまったら、いったいどうなるのでしょう。」
「人間は魔王に支配されます。魔族に隷属れいぞくして暮らすのです。きっと、それは人間にとって極めて悲惨な毎日になるでしょう。」
「僕は大変な宿命をもっているのですね。これから少しでも魔王を上回る実力になるように、毎日精進しようと思います。」
「私も決断しました。今日、最強の騎士ホークに来てもらったのは、これから剣術や戦闘術をランスロ君に教えてもらおうと思ったからです。ホーク、お願いです。是非受けてください。」
「もちろん、二つ返事で引き受けるよ。私もだいぶ年老いた。世の中ではだんだん『最強の騎士』の称号をボーンに付けるようになってきている。これから私がやるべきことは、もっている知識、技術、経験を次世代に引き継ぐことだ。是非、ランスロ君に全て伝えてあげたい。」
「ホーク様、よろしくお願いします。」
「ホークありがとう。これから荒海に乗り出すランスロ君の良い羅針盤になってあげてほしい。」
「失礼します。」
深く一礼してランスロは校長室から退出した。
その後で、校長はホークに険しい顔をして言った。
「実は、今日ホークに相談したいことがもう一つあるんだ。今話した喧嘩さわぎの後、ランスロ君の覇気で意識を失っていた学生の1人が覚醒して、介抱していた職員から剣を取り上げてランスロ君に襲いかかってしまったんだ。」
「えっ、まだ子供だから衝動的にやってしまったことだとは思うけれど、結局どうなったんだ。」
「実は、その学生は再びその場に倒れてしまったんだ。そして、その学生は3日間、意識が戻らず寝込んでしまった。」
「原因を調べたのか。」
「はっきりした原因はわからなくて、あくまで推測した理由しか思い当たらない。私の中に半分流れているエルフの血がとても強く訴えかけてくるんだ。」
「エルフが大変憎むものなのか。」
「そのとおりだ。闇の精霊の力だ。そして闇の精霊を自由に使役する能力をもつのは……」
「ランスロ君と正反対の存在がいるということか。」
「そうだ。しかも、この士官学校の中に、学生の中に。」
ロスチャイルド家の当主、ザラの父親の名前はゲールといった。
食事をしていた時、父親がザラにたずねた。
「ザラ、学校で闇の力を使っただろう。」
「使ったぞ。卑怯な学生がランスロを後ろから剣で不意打ちしようとしたんだ。」
「それならば仕方がないな。ランスロ君に何かあったのかい。」
「理不尽な因縁をつけられた下級生を助けるため、5人と決闘をしたんだ。まあ、すぐにランスロが勝ったがな。1にらみするだけで相手を気絶させてしまったんだ。私にはわかったぞ。たぶんあれば、神聖の力をまとった彼の覇気だ。」
「そうか、彼ももうそこまで覚醒しているのか、これからの成長がほんとうに楽しみだ。アスタルトよ、これから時々、士官学校を刺激してあげなさい。」
「だんな様、刺激と申されますと、どれくらいのレベルでよろしいでしょうか。」
「そうだな。あまり弱すぎても、ランスロ君の成長につながらないな。中級程度の刺激を士官学校に与えれば、きっと、ランスロ君が中心になって対応するだろう。」
「はい、御意のままに。」
「父様。ランスロの学校生活をあまりかき乱してはだめだぞ。私とつき合う時間が少なくなるからな。アスタルトよ、わかったな。」
「アスタルトよ。ザラの気持ちを十分にくみ取って、最適な方法を考えてくれ。」
「わかりました。」
正面には校長のロダンが座っていた。
そこには、最強の騎士ホークも同席していた。
「ランスロ君。今日、君を呼んだのは罰するためではない。今回の喧嘩さわぎについては、もう関係者からの聞き取りが済んでおり、君とコンラート君には全く非がないことはわかっている。今日は、君の力について聞きたい。」
「僕の力とおっしゃいますと……」
「君は相手をにらみつけただけで、気絶させてしまった。その様子を多くの学生達が見ている。それはたぶん、どれだけ剣術を修業したとしても使うことが難しい覇気はきの放出だ。まだ2年次生に過ぎない君が、なぜ使うことができるのだろうか? 」
「僕にもわかりません。あの時、戦う気持ちで身構えたら自然に相手が倒れていました。それに、毎日行っている剣術の修業の時、覇気はきのことを意識したことは1回もありません。」
「なるほど、そうするとその力は、元々君の中に備わっていたものが覚醒したと考えるのが自然ですね。たぶん、それは生まれた時に君に与えられた神のギフトです。」
「神からギフトをいただいていたのですか。」
「はい。そして、神のギフトを与えられた者は勇者になり得る者です。できる限り強い勇者になって、人間を守るため、魔王と戦う運命をもちます。ただし勝敗はわかりません。勇者と魔王は均衡した実力を持ちますから、ほんのわずかしかない勝利のチャンスをつかむ必要があります。」
「負ける可能性もあるのですね。勇者が負けてしまったら、いったいどうなるのでしょう。」
「人間は魔王に支配されます。魔族に隷属れいぞくして暮らすのです。きっと、それは人間にとって極めて悲惨な毎日になるでしょう。」
「僕は大変な宿命をもっているのですね。これから少しでも魔王を上回る実力になるように、毎日精進しようと思います。」
「私も決断しました。今日、最強の騎士ホークに来てもらったのは、これから剣術や戦闘術をランスロ君に教えてもらおうと思ったからです。ホーク、お願いです。是非受けてください。」
「もちろん、二つ返事で引き受けるよ。私もだいぶ年老いた。世の中ではだんだん『最強の騎士』の称号をボーンに付けるようになってきている。これから私がやるべきことは、もっている知識、技術、経験を次世代に引き継ぐことだ。是非、ランスロ君に全て伝えてあげたい。」
「ホーク様、よろしくお願いします。」
「ホークありがとう。これから荒海に乗り出すランスロ君の良い羅針盤になってあげてほしい。」
「失礼します。」
深く一礼してランスロは校長室から退出した。
その後で、校長はホークに険しい顔をして言った。
「実は、今日ホークに相談したいことがもう一つあるんだ。今話した喧嘩さわぎの後、ランスロ君の覇気で意識を失っていた学生の1人が覚醒して、介抱していた職員から剣を取り上げてランスロ君に襲いかかってしまったんだ。」
「えっ、まだ子供だから衝動的にやってしまったことだとは思うけれど、結局どうなったんだ。」
「実は、その学生は再びその場に倒れてしまったんだ。そして、その学生は3日間、意識が戻らず寝込んでしまった。」
「原因を調べたのか。」
「はっきりした原因はわからなくて、あくまで推測した理由しか思い当たらない。私の中に半分流れているエルフの血がとても強く訴えかけてくるんだ。」
「エルフが大変憎むものなのか。」
「そのとおりだ。闇の精霊の力だ。そして闇の精霊を自由に使役する能力をもつのは……」
「ランスロ君と正反対の存在がいるということか。」
「そうだ。しかも、この士官学校の中に、学生の中に。」
ロスチャイルド家の当主、ザラの父親の名前はゲールといった。
食事をしていた時、父親がザラにたずねた。
「ザラ、学校で闇の力を使っただろう。」
「使ったぞ。卑怯な学生がランスロを後ろから剣で不意打ちしようとしたんだ。」
「それならば仕方がないな。ランスロ君に何かあったのかい。」
「理不尽な因縁をつけられた下級生を助けるため、5人と決闘をしたんだ。まあ、すぐにランスロが勝ったがな。1にらみするだけで相手を気絶させてしまったんだ。私にはわかったぞ。たぶんあれば、神聖の力をまとった彼の覇気だ。」
「そうか、彼ももうそこまで覚醒しているのか、これからの成長がほんとうに楽しみだ。アスタルトよ、これから時々、士官学校を刺激してあげなさい。」
「だんな様、刺激と申されますと、どれくらいのレベルでよろしいでしょうか。」
「そうだな。あまり弱すぎても、ランスロ君の成長につながらないな。中級程度の刺激を士官学校に与えれば、きっと、ランスロ君が中心になって対応するだろう。」
「はい、御意のままに。」
「父様。ランスロの学校生活をあまりかき乱してはだめだぞ。私とつき合う時間が少なくなるからな。アスタルトよ、わかったな。」
「アスタルトよ。ザラの気持ちを十分にくみ取って、最適な方法を考えてくれ。」
「わかりました。」
0
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~
たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。
たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。
薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。
仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。
剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。
ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる