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25 鍛冶師の一族
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「ランスロさん、2~3か月後には真剣をお届けします。お待ちください。ちょうど休講が続いているので、自分の家の工房に戻って打ち続けます。」
「失礼なことを聞いてしまいます――コンラート君はまだ僕と一緒の子供ですが、そんなに短い時間で真剣が打てるのですか。」
「我が家では、当然のことです。ゾイゼンの一族はまだほんとうに幼い子供のうちから、真剣を打つ技術を完全に身につけます。そうでなければ、自分の生涯でさらに技術を高め、次の世代に伝承することができません。技術が停滞することを最も嫌う一族なのです。」
「さすがにゴード王国最高の鍛冶屋、ゾイゼンの一族ですね。」
「勇者になれるかもしれない方に使っていただける剣を作れるなんて、鍛冶屋の最高の喜びです。僕は一族中の鍛冶職人みんなから、うらやましがられるでしょう。」
数日後、真剣を打ってもらうことについて、ランスロはマスターのホークに報告した。
「ランスロ君。それはほんとうに良いことだ。君の実力はもう相当な高さまで到達しているから、いつまでも木剣だけで訓練してはいけないと思っていたんだ。僕が真剣をプレゼントしようと考えていたんだが、ゾイゼンの一族が打ってくれるなんてすごいな。」
「ところで、ゾイゼンの一族の誰がランスロ君の真剣を打ってくれるんだい? 」
「1年生のコンラート君です。」
「えっ! ほんとうかい! 彼はゾイゼンの一族の本家、コンラート・ゾイゼンだ。」
「ゾイゼンの一族の本家って、そんなにすごいのですか。」
「ランスロ君と同じように神のギフトを受けている人々さ。この一族の中で、人間が使うことができる最高の武器を作ることができる才能が代々遺伝される。特に大切なことが、『勇者の剣』だ。名前を『希望』という聖剣を打つことができるのは、この一族の中からでしか現れない。」
「勇者と魔王、人間と魔族との戦いは歴史上何回も繰り返されています。『勇者の剣』はこの世界のどこかにあるに違いませんから、わざわざ打つ必要はないのでは――」
「『勇者の剣』と相対する『魔王の剣』は『業火』という。勇者と魔王が戦い、その決着がつくと『希望』と『業火』はこの世界から消滅してしまうんだ。だから、次の戦いの前まで、勇者と魔王はそれぞれの剣を新たに手に入れなければならない。」
「そのような事情があったのですか。マスター、大切なことをお聞きします。勇者がこの世界に現れたとして、もし、もしもです、その勇者が『希望』を手に入れることができなかったとすると、『業火』を手に入れた魔王に勝てるのでしょうか。」
「絶対に不可能だよ。それぞれの剣は使い手の実力を百倍にするんだ。」
「………………『希望』を手に入れることができなかった勇者は、可哀想ですね。」
「確かに! 魔王に絶対負けて、人間が魔族に支配されることを覚悟しなければならないだろう。幸いに、今までの歴史上、そのような可哀想な勇者は生まれてこなかったといえる。人間が魔族に支配された歴史はないからね。」
「可哀想な勇者は、自分のことをどのように思うのでしょう。」
「空想の話で、全く知るよしもないけれど、一つのことだけは確実に言えるかな。」
「教えてください。マスター」
「聖剣『希望』を持っていなくても、その勇者は最後まで人間を守るため勇敢に戦って死ぬだろう! 」
ランスロは、真剣を打つことにとても興味をもった。
そして、コンラートにお願いしてゾイゼン家の工房を訪ねていた。
工房の入口の前で待っていると、革製の作業着を着たコンラートが出て来た。
「コンラート君。今日はごめんなさい。ほんとうに短い時間でいいです。真剣を打つのを見せてください。」
「喜んで。勇者になれるかもしれないランスロさんが見てくれるだけで、鍛冶職人は自分達の仕事のやりがいを強く感じることができます。さあさあ、中に入ってください。ただし、人間にとって決して居心地が良い場所ではありませんから、御覚悟を――」
それから彼はコンラートに案内されて、工房の中に入った。
ものすごい高温と湿気で、慣れない彼は思わず意識を失いそうになった。
多くの鍛冶職人が一心不乱に剣を打っていて、金属を叩く連続した音が聞こえていた。
いきなりコンラートが大きな声で話した。
普段のしゃべり方とは全く異なり、良く通る大きな声が工房中に響いた。
「みなさん。今日はランスロさんが来られました。勇者になり得る方です。」
鍛冶職人達は一斉に立ち上がり、ランスロの方を見た。
彼らの目には尊敬と期待がこもっていた。
年配の鍛冶職人が一礼して言った。
「ぼっちゃんから聞いています。あなたが1人でキラーマンティスの前に立ちふさがり、アベロン市の多くの住民を救ったのですね。真の勇気をやどし、神のギフトを受けて神聖のオーラをまとう強い力をもつ。勇者になれることができる方だと聞いています。」
働き盛りと思われる青年の鍛冶職人も一礼して言った。
「あなたの真剣をぼっちゃんが打たれるのですね。今回はそれでいいのですが、あなたが勇者になった時に聖剣『希望』を打つのは、私に是非お任せください。」
「抜け駆けはだめですよ――」
工房の中は鍛冶職人達の明るい笑い声に包まれた。
「失礼なことを聞いてしまいます――コンラート君はまだ僕と一緒の子供ですが、そんなに短い時間で真剣が打てるのですか。」
「我が家では、当然のことです。ゾイゼンの一族はまだほんとうに幼い子供のうちから、真剣を打つ技術を完全に身につけます。そうでなければ、自分の生涯でさらに技術を高め、次の世代に伝承することができません。技術が停滞することを最も嫌う一族なのです。」
「さすがにゴード王国最高の鍛冶屋、ゾイゼンの一族ですね。」
「勇者になれるかもしれない方に使っていただける剣を作れるなんて、鍛冶屋の最高の喜びです。僕は一族中の鍛冶職人みんなから、うらやましがられるでしょう。」
数日後、真剣を打ってもらうことについて、ランスロはマスターのホークに報告した。
「ランスロ君。それはほんとうに良いことだ。君の実力はもう相当な高さまで到達しているから、いつまでも木剣だけで訓練してはいけないと思っていたんだ。僕が真剣をプレゼントしようと考えていたんだが、ゾイゼンの一族が打ってくれるなんてすごいな。」
「ところで、ゾイゼンの一族の誰がランスロ君の真剣を打ってくれるんだい? 」
「1年生のコンラート君です。」
「えっ! ほんとうかい! 彼はゾイゼンの一族の本家、コンラート・ゾイゼンだ。」
「ゾイゼンの一族の本家って、そんなにすごいのですか。」
「ランスロ君と同じように神のギフトを受けている人々さ。この一族の中で、人間が使うことができる最高の武器を作ることができる才能が代々遺伝される。特に大切なことが、『勇者の剣』だ。名前を『希望』という聖剣を打つことができるのは、この一族の中からでしか現れない。」
「勇者と魔王、人間と魔族との戦いは歴史上何回も繰り返されています。『勇者の剣』はこの世界のどこかにあるに違いませんから、わざわざ打つ必要はないのでは――」
「『勇者の剣』と相対する『魔王の剣』は『業火』という。勇者と魔王が戦い、その決着がつくと『希望』と『業火』はこの世界から消滅してしまうんだ。だから、次の戦いの前まで、勇者と魔王はそれぞれの剣を新たに手に入れなければならない。」
「そのような事情があったのですか。マスター、大切なことをお聞きします。勇者がこの世界に現れたとして、もし、もしもです、その勇者が『希望』を手に入れることができなかったとすると、『業火』を手に入れた魔王に勝てるのでしょうか。」
「絶対に不可能だよ。それぞれの剣は使い手の実力を百倍にするんだ。」
「………………『希望』を手に入れることができなかった勇者は、可哀想ですね。」
「確かに! 魔王に絶対負けて、人間が魔族に支配されることを覚悟しなければならないだろう。幸いに、今までの歴史上、そのような可哀想な勇者は生まれてこなかったといえる。人間が魔族に支配された歴史はないからね。」
「可哀想な勇者は、自分のことをどのように思うのでしょう。」
「空想の話で、全く知るよしもないけれど、一つのことだけは確実に言えるかな。」
「教えてください。マスター」
「聖剣『希望』を持っていなくても、その勇者は最後まで人間を守るため勇敢に戦って死ぬだろう! 」
ランスロは、真剣を打つことにとても興味をもった。
そして、コンラートにお願いしてゾイゼン家の工房を訪ねていた。
工房の入口の前で待っていると、革製の作業着を着たコンラートが出て来た。
「コンラート君。今日はごめんなさい。ほんとうに短い時間でいいです。真剣を打つのを見せてください。」
「喜んで。勇者になれるかもしれないランスロさんが見てくれるだけで、鍛冶職人は自分達の仕事のやりがいを強く感じることができます。さあさあ、中に入ってください。ただし、人間にとって決して居心地が良い場所ではありませんから、御覚悟を――」
それから彼はコンラートに案内されて、工房の中に入った。
ものすごい高温と湿気で、慣れない彼は思わず意識を失いそうになった。
多くの鍛冶職人が一心不乱に剣を打っていて、金属を叩く連続した音が聞こえていた。
いきなりコンラートが大きな声で話した。
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