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27 みんなを導く勇者
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キラーマンティスの襲撃から1か月が経ち、傷ついた教授達の体が回復してきたので講義が再会された。
ランスロとフィリップは、寄宿舎の部屋から出て講堂へと向かっていた。
「休講中、かなりのんびり過ごしてしまったから、講義が始まると辛いな。ランスロはどう。」
「僕はとてもうれしいです。新しいこと、まだ知らないことをもっともっと吸収したいのです。」
「ふーん。やっぱり君は違うな。僕も見習わなければいけないね。」
講堂に近づくと、その前に多くの学生が集まっていた。
500人くらいの上級生達だった。
2人が近づくと、上級生達が一斉にこちらを見て注目した。
1人の背の高い上級生が歩いてきた。
最上級生らしく、大人と比べても背が高いくらいだった。
上級生は2人の前に立って、軽く会釈した。
「やあ、ランスロ君とは初めて話すね。自己紹介します。私は最上級生で生徒会長のジェイドです。アンハルト公爵家のものだから、グロスター公爵家のフリップ君とは前に何回か会っているけど。」
「我が父上であるグロスター公爵がいつも僕に言います。『アンハルト公爵家のジェイドさんを見習い、ノブレス・オブリージュを果たせるように日々努力しなさい。』と。」
「グロスター公爵様は、私を買いかぶりすぎですね。自分自身、まだまだ努力が足りないと思っています。ノブレス・オブリージュ…私達貴族は、財産、権力、社会的地位を生まれた時から約束されていますが、そのために大変重い義務を果たさなければなりません。」
それから、ジェイドはランスロに向かって言った。
「今日は、ランスロ君に聞きたいことがあります。」
「生徒会長が僕に…… どういうことでしょうか。」
「キラーマンティスの襲撃があった時、君はなんでたった1人で立ち向かうことができたのですか? あの時、私は学校に居なかったのだけど、たとえ居たとしても戦場となった訓練場に立てたかどうかは全く自信がありません。」
「………………僕は貧困の平民として初めて士官学校に入学させていただきました。そして、このごろ強く感じる神のギフトを贈られています。それは、幸せに暮らしている人々の生活を守るためです。あの時には、自然に足が訓練場に向きました。」
「そうですか、自然にそうなったと言うことは、君にとって人々の幸せが最優先ということなんですね。恐くはなかったのですか? たくさんの勇気が必要だったのでは? 」
「たぶん。とても恐かったのだと思います。そして、精一杯の勇気を振り絞ったのだと思います。だけど、気がつかないほどの一瞬で勇気が恐怖を上回り、自然に訓練場に向かったのです。」
「教えてくれてありがとう。実はもう知っていると思いますが、我々上級生は全員逃げてしまったのです。そしてそのことで、大きな罪悪感に包まれています。このことはゴード王国中に知れ渡ってしますから、恥ずかしさのために心が壊れそうになっている上級生がほとんどです。」
「えっ! 」
ランスロはそのことを聞いた後、驚いて上級生達を見渡した。
その後、何かを決心したような表情で、500人の上級生達の真ん中に歩いて行った。
そして9歳の子供とは思えないほどの大きな声で、話し始めた。
「上級生のみなさん。みなさんは少しも恥ずかしくありません。私のマスターである最強の騎士ホークから教わったことがあります。『勇気の炎はすぐに燃えさかるものではない。毎日少しずつ少しずつ努力して、大切な時に勢いよく燃やすことができるようにするしかない。』……
……あの時、私はたまたま恐怖を克服できただけです。少し皆さんと異なり、神のギフトを贈られた勇者の候補として、毎日努力し始めた時期が早かっただけなのです。お願いですから、誇りを失わないでください。そして、僕かどうかはわかりませんが……
……未来の勇者を助けて魔族と戦う強い騎士になってください。そして、未来の勇者が魔王と戦うのを助けてください。相打ちにするのも非常に難しいんです。人間の世界のために!!! 」
一瞬、その場が恐いほどの静寂に包まれた。
拍手がパラパラと起り、それはやがて割れるような拍手喝采になった。
ランスロは深く頭を下げていた。
ちょうどその時、その光景を全て目撃していた2人がいた。
講義を受けるため学校に登校していたザラと付き添いの執事アスタロトだった。
「多くの人々を導いていく能力――あれも大きな神のギフトだ。これで、ランスロは多くの人々に助けられて戦う勇者になることがわかったな。」
「お嬢様。魔族は導かれなくても極めて従順ですので全く問題は起きません。」
「そうだろうか? 魔族は強いものに簡単に従うが、それは表面的な場合が多い。いざという時には自分優先だろう。反対に、人間を導くことはとてもとても難しいが、崇高な目的のために同じ方向に動きだせば、みんなが自分のことを顧みない。そうなった人間達はとても強い――」
……誰も気がつかなかったが、四葉のクローバーが1本近くに生えていた。
ランスロとフィリップは、寄宿舎の部屋から出て講堂へと向かっていた。
「休講中、かなりのんびり過ごしてしまったから、講義が始まると辛いな。ランスロはどう。」
「僕はとてもうれしいです。新しいこと、まだ知らないことをもっともっと吸収したいのです。」
「ふーん。やっぱり君は違うな。僕も見習わなければいけないね。」
講堂に近づくと、その前に多くの学生が集まっていた。
500人くらいの上級生達だった。
2人が近づくと、上級生達が一斉にこちらを見て注目した。
1人の背の高い上級生が歩いてきた。
最上級生らしく、大人と比べても背が高いくらいだった。
上級生は2人の前に立って、軽く会釈した。
「やあ、ランスロ君とは初めて話すね。自己紹介します。私は最上級生で生徒会長のジェイドです。アンハルト公爵家のものだから、グロスター公爵家のフリップ君とは前に何回か会っているけど。」
「我が父上であるグロスター公爵がいつも僕に言います。『アンハルト公爵家のジェイドさんを見習い、ノブレス・オブリージュを果たせるように日々努力しなさい。』と。」
「グロスター公爵様は、私を買いかぶりすぎですね。自分自身、まだまだ努力が足りないと思っています。ノブレス・オブリージュ…私達貴族は、財産、権力、社会的地位を生まれた時から約束されていますが、そのために大変重い義務を果たさなければなりません。」
それから、ジェイドはランスロに向かって言った。
「今日は、ランスロ君に聞きたいことがあります。」
「生徒会長が僕に…… どういうことでしょうか。」
「キラーマンティスの襲撃があった時、君はなんでたった1人で立ち向かうことができたのですか? あの時、私は学校に居なかったのだけど、たとえ居たとしても戦場となった訓練場に立てたかどうかは全く自信がありません。」
「………………僕は貧困の平民として初めて士官学校に入学させていただきました。そして、このごろ強く感じる神のギフトを贈られています。それは、幸せに暮らしている人々の生活を守るためです。あの時には、自然に足が訓練場に向きました。」
「そうですか、自然にそうなったと言うことは、君にとって人々の幸せが最優先ということなんですね。恐くはなかったのですか? たくさんの勇気が必要だったのでは? 」
「たぶん。とても恐かったのだと思います。そして、精一杯の勇気を振り絞ったのだと思います。だけど、気がつかないほどの一瞬で勇気が恐怖を上回り、自然に訓練場に向かったのです。」
「教えてくれてありがとう。実はもう知っていると思いますが、我々上級生は全員逃げてしまったのです。そしてそのことで、大きな罪悪感に包まれています。このことはゴード王国中に知れ渡ってしますから、恥ずかしさのために心が壊れそうになっている上級生がほとんどです。」
「えっ! 」
ランスロはそのことを聞いた後、驚いて上級生達を見渡した。
その後、何かを決心したような表情で、500人の上級生達の真ん中に歩いて行った。
そして9歳の子供とは思えないほどの大きな声で、話し始めた。
「上級生のみなさん。みなさんは少しも恥ずかしくありません。私のマスターである最強の騎士ホークから教わったことがあります。『勇気の炎はすぐに燃えさかるものではない。毎日少しずつ少しずつ努力して、大切な時に勢いよく燃やすことができるようにするしかない。』……
……あの時、私はたまたま恐怖を克服できただけです。少し皆さんと異なり、神のギフトを贈られた勇者の候補として、毎日努力し始めた時期が早かっただけなのです。お願いですから、誇りを失わないでください。そして、僕かどうかはわかりませんが……
……未来の勇者を助けて魔族と戦う強い騎士になってください。そして、未来の勇者が魔王と戦うのを助けてください。相打ちにするのも非常に難しいんです。人間の世界のために!!! 」
一瞬、その場が恐いほどの静寂に包まれた。
拍手がパラパラと起り、それはやがて割れるような拍手喝采になった。
ランスロは深く頭を下げていた。
ちょうどその時、その光景を全て目撃していた2人がいた。
講義を受けるため学校に登校していたザラと付き添いの執事アスタロトだった。
「多くの人々を導いていく能力――あれも大きな神のギフトだ。これで、ランスロは多くの人々に助けられて戦う勇者になることがわかったな。」
「お嬢様。魔族は導かれなくても極めて従順ですので全く問題は起きません。」
「そうだろうか? 魔族は強いものに簡単に従うが、それは表面的な場合が多い。いざという時には自分優先だろう。反対に、人間を導くことはとてもとても難しいが、崇高な目的のために同じ方向に動きだせば、みんなが自分のことを顧みない。そうなった人間達はとても強い――」
……誰も気がつかなかったが、四葉のクローバーが1本近くに生えていた。
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