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40 勇者になりたくない2
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王女は続けた。
「人が少ない辺境デザートに引きこもれば、魔族の大侵攻のルートには当たらず、勇者になって戦うことから逃げることはできます。しかし、あなたは勇者になるべき人、魔王になるべき大切な友人と最後には対峙しなければなりません。逃げずに、悲しい結末にならないよう、運命に精一杯抗うのです。」
「わかりました。王女様。逃げることは止めます。勇者として戦います。」
「ありがとうございます。あなたは、ゴード王国全ての人々を救うでしょう。そしてもちろん、あなたの大切な友人のことも救うことができるでしょう。」
……2人は気がつかなかったが、近くの川辺に四葉のクローバーが1本生えていた。
士官学校の卒業時に、ランスロは騎士に任命された。
ほとんどの卒業生は騎士見習に任命された中で、彼の実力と将来への期待が込められていた。
ランスロは卒業後の任地の希望を、辺境デザートから変更していた。
彼が希望したのは、魔族の大侵攻があった時、最初に最前線でそれを食い止める城だった。
それは、ゴード王国の東部にあるトランスファー城だった。
この地方は過去何百年もの間、何回も繰り返して行われた魔族の大侵攻が開始された場所だった。
さまざまな力が交差するパワースポットが数多く存在し、次元が不安定だった。
それで、魔界との大きな連結空間を造りやすかった。
ランスロは城に着いた早々、この城を守る司令官に着任報告に行った。
司令官室の扉をノックした。
「どうぞ。」
彼は一礼して中に入った。
「やあランスロ、背が高くなったなあ。」
「マスター、なぜここに。」
「私も1週間前に着任したばかりなんだ。」
司令官だったのは、最強の騎士と呼ばれたホークだった。
士官学校の5年次までランスロに剣技を教えていたが、その後、予想される魔族の大侵攻に備えて、国軍の司令官の1人となり各地を転々としていた。
「この城には、国軍の魔法師も着任しており、次元のひずみを毎日測定している。今日もさっき報告があったのだが、ひずみに少しずつ強い力がかかっている。まるで、大きな穴を開けようとしているかようだ。」
「司令官、それはほんとうですか。」
「ほんとうのことだよ。そして時々、少数の魔族の侵入が始まっている。」
「既に戦いが始まっているのですか。」
「いやいやまだだ。侵入した魔族はしばらくすると魔界に戻っている。」
「索敵さくてきして、こちらの防御態勢を調べているのですね。」
「今のところはせいぜい中級魔族だけど、やがては上級魔族がくる。」
「2百年前の前回の大侵攻でもありましたね。騎士の品定めですね。」
「そう、そして誰が勇者がなのか特定するだろう。」
「ランスロ、まだ『勇者の剣』聖剣『希望』は手に入れていないのだね。」
「残念ながら、まだ手に入れていません。」
「問題ないよ。たぶん魔王も『魔王の剣』である『業火』を手に入れていないから。」
「それでは騎士ランスロ、下がってよろしい。」
「失礼します。司令官。」
「ランスロに司令官と呼ばれると照れくさいな。ほんとうはマスターと呼んでほしいのだけど仕方が無い。今日は自由にしたまえ。この地域は、魔族の大侵攻の開始地点と予想される以外はとても良い地域だ。自然はとても美しく、見ているだけで気が休まる。」
「はい。それではお言葉に甘えて休ませていただきます。」
ランスロは司令官室から出て行った。
その後、ホーク司令官は優しい言葉でひとり言を話した。
「大変だったな。ランスロが任地の希望を辺境デザートにしたという噂が流れた時、私はなんとなく理由がわかったんだ。ロスチャイルド家のあの娘、確かザラという名前で親しい友達だったな。忽然と姿を消したロスチャイルド家は魔界の王族だったという噂も流れている。あの娘が魔王になるのか。」
ランスロは馬に乗って城を抜け出し、とても幅が広い川沿いに進んでいた。
川の水はとても透明で美しく、さまざまな魚が泳いでいるのがはっきり見えた。
川の両側には針葉樹の森林が続いていたが、濃い緑を見ると心が安らいだ。
しばらくすると、とても心地よい風が吹いてきた。
心地よすぎて眠くなってきそうだった。
しかし、彼は気づいた。
「これは風ではない。歌声だ。しかも歌っているのは人間ではない。」
川の流れてくる先に歌声が聞こえたので、馬を置いて彼はその方向に走った。
すると、ちょうど川の真ん中に大岩が水面に出ていてその上に何かがいた。
「あんな所に人間の女の子が。いや違う、あれは魔族だ。」
彼は警戒して、神聖の力で自分の回りを囲んだ。
魔族の方もランスロに気がつき、話しかけてきた。
「15歳くらいの男の子、くせっ毛で大きな目。教えていただいたよりも背がかなり高いみたいですが、ゾイゼンの一族が打った最高の剣を差していることでわかりました。あなたは、ランスロ様ですね。」
「なぜ、魔族のあなたが僕のことを知っているのですか。」
「当然のことです。あなたは魔界でも有名人なんですよ。私がお仕えする世界最高の美しさと強さをもつ方が、毎日あなたのことをいろいろ話すのです。」
「まさかそれはザラさん。」
「そうです。我が魔王候補ザラ様です。ザラ様の婚約者のランスロ様! 」
「人が少ない辺境デザートに引きこもれば、魔族の大侵攻のルートには当たらず、勇者になって戦うことから逃げることはできます。しかし、あなたは勇者になるべき人、魔王になるべき大切な友人と最後には対峙しなければなりません。逃げずに、悲しい結末にならないよう、運命に精一杯抗うのです。」
「わかりました。王女様。逃げることは止めます。勇者として戦います。」
「ありがとうございます。あなたは、ゴード王国全ての人々を救うでしょう。そしてもちろん、あなたの大切な友人のことも救うことができるでしょう。」
……2人は気がつかなかったが、近くの川辺に四葉のクローバーが1本生えていた。
士官学校の卒業時に、ランスロは騎士に任命された。
ほとんどの卒業生は騎士見習に任命された中で、彼の実力と将来への期待が込められていた。
ランスロは卒業後の任地の希望を、辺境デザートから変更していた。
彼が希望したのは、魔族の大侵攻があった時、最初に最前線でそれを食い止める城だった。
それは、ゴード王国の東部にあるトランスファー城だった。
この地方は過去何百年もの間、何回も繰り返して行われた魔族の大侵攻が開始された場所だった。
さまざまな力が交差するパワースポットが数多く存在し、次元が不安定だった。
それで、魔界との大きな連結空間を造りやすかった。
ランスロは城に着いた早々、この城を守る司令官に着任報告に行った。
司令官室の扉をノックした。
「どうぞ。」
彼は一礼して中に入った。
「やあランスロ、背が高くなったなあ。」
「マスター、なぜここに。」
「私も1週間前に着任したばかりなんだ。」
司令官だったのは、最強の騎士と呼ばれたホークだった。
士官学校の5年次までランスロに剣技を教えていたが、その後、予想される魔族の大侵攻に備えて、国軍の司令官の1人となり各地を転々としていた。
「この城には、国軍の魔法師も着任しており、次元のひずみを毎日測定している。今日もさっき報告があったのだが、ひずみに少しずつ強い力がかかっている。まるで、大きな穴を開けようとしているかようだ。」
「司令官、それはほんとうですか。」
「ほんとうのことだよ。そして時々、少数の魔族の侵入が始まっている。」
「既に戦いが始まっているのですか。」
「いやいやまだだ。侵入した魔族はしばらくすると魔界に戻っている。」
「索敵さくてきして、こちらの防御態勢を調べているのですね。」
「今のところはせいぜい中級魔族だけど、やがては上級魔族がくる。」
「2百年前の前回の大侵攻でもありましたね。騎士の品定めですね。」
「そう、そして誰が勇者がなのか特定するだろう。」
「ランスロ、まだ『勇者の剣』聖剣『希望』は手に入れていないのだね。」
「残念ながら、まだ手に入れていません。」
「問題ないよ。たぶん魔王も『魔王の剣』である『業火』を手に入れていないから。」
「それでは騎士ランスロ、下がってよろしい。」
「失礼します。司令官。」
「ランスロに司令官と呼ばれると照れくさいな。ほんとうはマスターと呼んでほしいのだけど仕方が無い。今日は自由にしたまえ。この地域は、魔族の大侵攻の開始地点と予想される以外はとても良い地域だ。自然はとても美しく、見ているだけで気が休まる。」
「はい。それではお言葉に甘えて休ませていただきます。」
ランスロは司令官室から出て行った。
その後、ホーク司令官は優しい言葉でひとり言を話した。
「大変だったな。ランスロが任地の希望を辺境デザートにしたという噂が流れた時、私はなんとなく理由がわかったんだ。ロスチャイルド家のあの娘、確かザラという名前で親しい友達だったな。忽然と姿を消したロスチャイルド家は魔界の王族だったという噂も流れている。あの娘が魔王になるのか。」
ランスロは馬に乗って城を抜け出し、とても幅が広い川沿いに進んでいた。
川の水はとても透明で美しく、さまざまな魚が泳いでいるのがはっきり見えた。
川の両側には針葉樹の森林が続いていたが、濃い緑を見ると心が安らいだ。
しばらくすると、とても心地よい風が吹いてきた。
心地よすぎて眠くなってきそうだった。
しかし、彼は気づいた。
「これは風ではない。歌声だ。しかも歌っているのは人間ではない。」
川の流れてくる先に歌声が聞こえたので、馬を置いて彼はその方向に走った。
すると、ちょうど川の真ん中に大岩が水面に出ていてその上に何かがいた。
「あんな所に人間の女の子が。いや違う、あれは魔族だ。」
彼は警戒して、神聖の力で自分の回りを囲んだ。
魔族の方もランスロに気がつき、話しかけてきた。
「15歳くらいの男の子、くせっ毛で大きな目。教えていただいたよりも背がかなり高いみたいですが、ゾイゼンの一族が打った最高の剣を差していることでわかりました。あなたは、ランスロ様ですね。」
「なぜ、魔族のあなたが僕のことを知っているのですか。」
「当然のことです。あなたは魔界でも有名人なんですよ。私がお仕えする世界最高の美しさと強さをもつ方が、毎日あなたのことをいろいろ話すのです。」
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「そうです。我が魔王候補ザラ様です。ザラ様の婚約者のランスロ様! 」
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