私の勇者ならワンチャンあれば十分です!全く問題ありません!!

ゆきちゃん

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48 植物系魔族5

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「魔界からでも、ヒーリング魔術をかけられることができるな。なにしろ、ランスロとマリはボロボロの状態だからな。」



 ザラは連結空間を通じて、魔界から城門の前で意識を失って倒れているランスロとマリに向けてヒーリング魔術をかけた。

 温かい黄色の光りが2人を包んだ。



「終わった。2人ともしばらく休めば元通りになれるな。ところで、叔父様、この連結空間を通ってお帰りになるのか。」



「そうさせていただきます。今日はここ数千年間で最も強い人間と会うことができました。自分のことだけではなく、他人も守り他人の幸せを願う。魔王様やザラ様から聞いていたとおりの勇者候補でした。彼が勇者になったら、魔王になった方と絶対戦ってはいけませんね。」



 そう言った炎人バーンは瞬間的に飛んで、倒れているランスロそばに近づいた。

 それを城門の中で見ていた城のみんなは、彼が殺されてしまうと思い大変驚いたが、それは全く違った。



 炎人は倒れている彼に向かって、深々とおじぎをして尊敬の心を示した。

 その後、炎人バーンは空に開いていた魔界との連結空間の穴に飛び込もうとしたが、ふと気がついた。

「これには何か特別な力を感じる。魔界で育ててみよう。」



……近くの川辺に四葉のクローバーが1本生えていた。炎人はそれを丁寧に掘り出し持って帰った。







 気がつくとランスロは、城の中にある救護室のベッドに横たわっていた。

 彼は様子を見ていた介護兵に聞いた。



「僕は気を失ってしまいましたが生きています。城門の外には僕の他に若い娘さんも倒れていたと思いますが、娘さんはどうなりましたか。無事ですか。まさか炎人に殺されてしまったのですか! 」



「ランスロさん、大丈夫ですよ。あの娘さんも無事で別の病室で休んでいます。」

 それから看護兵は、城門の外で起きたことを全て話した。



「空の黒い穴から現れた氷球が炎球を消滅させたのですか。そして、そこから黄色い光りが僕とマリさんを包んだ。炎人は黒い穴の奥の誰かと話して、その後倒れている僕に向かって深々と頭を下げた。そして、何か川辺に生えていた草を掘り起こして、それを持って黒い穴の中に消えたと……。」



「炎人バーンの立ち振る舞いは見事でした。ランスロさんに対して深い尊敬の気持ちを表しているようでした。」



「あれだけ強い実力の持ち主であれば、マリさんや僕を簡単に殺害することができたのに。結局、掟を破ることを認めてくれたんだ。それから、負けた僕がよく戦ったことに対して尊敬の気持ちを示すなんて…………」



(魔族であろうが人間であろうが関係ない。炎人バーン様も暗黒騎士ゴルバ様と同じように、強さと気高さをもった尊敬すべきべき武人だ。)







 数日後、マリ達植物系魔族はヘンリー国王と謁見することになった。

 護衛と説明役はランスロがを行うことになった。

 王都イスタンに向かう馬車の中で、マリが彼に言った。



「大丈夫でしょうか。魔族を人間界に迎え入れることは過去に例がないことだと思います。国王様は了承してくださるでしょうか。」



「必ずうまくいくよう、僕も一生懸命に説明します。それに謁見にはグネビア王女様も同席していただけるそうですから、マリさん達の移住に賛成して国王様を説得してくださるでしょう。」



 馬車の走る速さが遅くなって止った。

 王都イスタンに入る城門で調べを受けた後、馬車は王都の中に入った。

 初めて見る王都の繁栄に、植物系魔族の若い娘達ははしゃいでいた。



「うぁ。すごい人ね。」

「みんな明るく生き生きと歩いているわ。」

「あっ、こっちを向いて笑ってくれたわ。」



 馬車は王宮に着いて、休む間もなく国王との謁見が開始された。







 ヘンリー国王から話し始めた。

「ランスロよ、久し振りだな。それにしても背が高くなったものだ。ところで、今日、申し出でいることは、魔族がゴード王国に移住することを許してほしいということだったな。」



「はい。ここに控えておりますマリさん他の植物系魔族のみなさんです。魔族といっても、元々はるか昔には人間と暮らしをともにしていた植物の化身です。彼女達が花々であった時、美しく咲いている姿を見て人間はどれほどいやされたかわかりません。」



「ランスロ。植物系魔族のみなさまはなぜ人間と別離し、魔界に住む魔族にならなければいけなかったのでしょう。」

 心の奥底までの優しさを秘めた、きれいな青い瞳の輝くように美しい王女が聞いた。



「はい、王女様。非常に残念なことですが、文明が発展するにつれて人間が彼女達が咲く場所を奪い人間界から追い出したのです。」



「ま――っ、そうでしたか! 」

「うん――」

 国王が咳払いをした。そして強い口調で言った。



「過去のいろいろな経緯はわかる。申し訳なかったと私も思う。しかし、現在の状況はとても厳しい。人間の心の根本には、魔族は敵で恐怖とともにやって来るものという感情が強くある。私が国王として彼女達の移住を認めたら、私に対して大反乱が起こる可能性が十分にある。」



「国王様。彼女達は確かに魔族ですが、私達よりも、もっともっと人間らしいのです。僕は彼女達が演じた歌劇を見ましたが、心を打たれたとてもすばらしい舞台でした。」



「確かランスロはまだ16歳になったばかりだから、舞台を見たのも初めてだったのだろう。だから、どんな舞台を見たとしても感動したのに違いないな。」



「お父様! 極めて失礼です! 」

 普段は優しさにあふれているグネビア王女の美しい青い瞳が、怒りの感情に満ちあふれた。
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