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61 勇者の剣と魔王の剣2
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「騎士様、こんなにすばらしい鉄の鋼石をいただきありがとうございます。きっと、この世界に2本とないすばらしい剣を打つことができます。今、お礼を差し上げますので、しばらくお待ちください。」
コンラートはそう言ったが、騎士はお礼を受け取ろうとはしなかった。
「ゾイゼン一族の若き鍛冶師様、お礼はいりません。というよりも、あなたが一番尊敬される騎士が背負う重い義務を果たすことができるよう、すばらしい剣を打ってあげてください。その騎士が重い義務を果たす姿を見ることができれば、それが私へのすばらしいお礼になるのです。」
「わかりました。全力を尽くします。あの……せめて、お名前だけでもお聞かせください。」
「恩着せがましくなってしまうのはきらいなので、名前を名乗ることはお許しください。しかし、必ず私の名前はわかるはずです。」
そう言うと、不思議なその騎士は工房を出ていった。
コンラートが見送ろうと鉄鉱石を丁寧に鍛冶場において、騎士の後を追いかけて工房の外に出たが、不思議なことに周辺にその騎士の姿は見えなかった。
魔王宮の最下層の地下に魔王ゲールの妻でザラの母親、最高位の魔女であるサバトの工房があった。
魔女が特殊な金属で作った物は、生き物のように動き、ほぼ剣の姿に見えるようになっていた。
「感じます。あなたはたくさんの魔族の怒りの火を身にまとう、業火という名にふさわしい剣だわ。世界中に広がり、自分達の思いのままのことを行い、他の生物や植物、魔族を虐げる人間達をこらしめる私の娘の味方ですね。」
サバトの精神は、業火の影響を受けておかしくなっていた。
「ほーほほほ――長い歴史の中で最も美しい魔王が最も強い魔王になり、人間の世界に大侵攻して殺戮の限りが尽くされるのです。業火は血の赤にきれいに染まるわ! ほーほほほ――」
魔王ゲールの元に、竜人ドランが人間界で済ました任務について復命に来ていた。
魔王は、1000年魔王になるザラの覚醒が近づくにつれて、だんだん体の調子が悪くなっていた。
王座に腰かけ、伏せた顔を両手で支えながら、ドランの話を聞いていた。
「ドランよ。ランスロ君はなんと答えたのか。」
「『お任せください。絶対にやり遂げます。』とお答えになりました。」
「そうか。これで安心して死ねるな。」
そう言った後、魔王は王座から転げ落ちそうになった。
側近があわてて両側を支えに入った。
「すまん。ドラン。見苦しい姿を見せてしまったな。それで、鉄鉱石のことはどうなったのだ。ずいぶん苦労をかけてしまったと思うが。」
「はい。御意のままに。高熱に強いドラゴンの姿になって、地中をできる限り深く進み、最も質が良く純度が高い鉄の鉱石を掘り出しました。それをあのゾイゼン一族の工房で、『勇者の剣』希望を作り出せる才能をもつ若い鍛冶師に渡して参りました。」
「そうか、後はその鍛冶師に任せるしかないな。私の体の調子から推定すると、『魔王の剣』業火はもうすぐザラの元に完全な姿を現わすはずだ。人間界に侵攻する魔王となるザラの力は、業火を使うことで何倍にもなる。『勇者の剣』希望を持たないランスロ君では絶対に勝てない。」
魔族の大侵攻について緊急の報告をするため、トランスファー城のホーク司令官と騎士ランスロが、王宮を訪れヘンリー国王に謁見していた
そこには、グネビア王女も同席していた。
「ほんとうにランスロは、魔王ゲールからそのような内容の手紙を受け取ったのだな。ランスロは将来を託されたということか。」
「はい。魔王ゲールは、人間と魔族のすばらしい未来のために、両者が戦い殺し合うことを避けようと、できる限りのことをしてくれました。魔王はまだ人間界にいた時から、僕のことを高く評価してくれていたみたいです。」
「後90日ほどで、ザラさんが『魔王の剣』業火をその手に持ち、1000年魔王として人間界への大侵攻を行うということですね。魔王の強さを何倍のする剣なのですね。ランスロの新しい剣を打ってもらうようゾイゼンのコンラードに依頼をしていますが…………」
「王女様の方からコンラード君に、そのような依頼をしていただいたのですか。彼の打つ剣が『勇者の剣』希望にならなかったとしても、僕は彼の力を信じ彼の最高の剣を持って戦うつもりです。ただ、ザラさんとは戦わないつもりです。」
「ランスロよ。1000年魔王とは戦わないとはどういうことか。」
ヘンリー国王が声を強くして聞いた。
「ザラさんは『魔王の剣』業火に心を操られているはずです。ほんとうは戦いなどを望んでいないはずです。業火をなんとしてでも砕いてみせます。父親の魔王ゲールに約束しました。長い歴史の中で繰り返し戦いを起そうとする『魔王の剣』をなんとしてでも砕きます。」
グネビア王女はランスロの決心をとても真剣に聞いていた。
そして、凜とした声で言った。
「ランスロ。あなたはもう勇者と名乗ってください。たとえ、『勇者の剣』希望を持つことができなくても――多くの人の希望にあなたがなるのです。長い歴史の中で初めて、魔王と戦わず、『魔王の剣』業火と戦う勇者になるのです。必ずチャンスはあります。」
そう言ったグネビア王女は心の中で思っていた。
(最高神様はワンチャンしかくれなかったけど、私の勇者ならワンチャンあれば絶対に大丈夫です。)
コンラートはそう言ったが、騎士はお礼を受け取ろうとはしなかった。
「ゾイゼン一族の若き鍛冶師様、お礼はいりません。というよりも、あなたが一番尊敬される騎士が背負う重い義務を果たすことができるよう、すばらしい剣を打ってあげてください。その騎士が重い義務を果たす姿を見ることができれば、それが私へのすばらしいお礼になるのです。」
「わかりました。全力を尽くします。あの……せめて、お名前だけでもお聞かせください。」
「恩着せがましくなってしまうのはきらいなので、名前を名乗ることはお許しください。しかし、必ず私の名前はわかるはずです。」
そう言うと、不思議なその騎士は工房を出ていった。
コンラートが見送ろうと鉄鉱石を丁寧に鍛冶場において、騎士の後を追いかけて工房の外に出たが、不思議なことに周辺にその騎士の姿は見えなかった。
魔王宮の最下層の地下に魔王ゲールの妻でザラの母親、最高位の魔女であるサバトの工房があった。
魔女が特殊な金属で作った物は、生き物のように動き、ほぼ剣の姿に見えるようになっていた。
「感じます。あなたはたくさんの魔族の怒りの火を身にまとう、業火という名にふさわしい剣だわ。世界中に広がり、自分達の思いのままのことを行い、他の生物や植物、魔族を虐げる人間達をこらしめる私の娘の味方ですね。」
サバトの精神は、業火の影響を受けておかしくなっていた。
「ほーほほほ――長い歴史の中で最も美しい魔王が最も強い魔王になり、人間の世界に大侵攻して殺戮の限りが尽くされるのです。業火は血の赤にきれいに染まるわ! ほーほほほ――」
魔王ゲールの元に、竜人ドランが人間界で済ました任務について復命に来ていた。
魔王は、1000年魔王になるザラの覚醒が近づくにつれて、だんだん体の調子が悪くなっていた。
王座に腰かけ、伏せた顔を両手で支えながら、ドランの話を聞いていた。
「ドランよ。ランスロ君はなんと答えたのか。」
「『お任せください。絶対にやり遂げます。』とお答えになりました。」
「そうか。これで安心して死ねるな。」
そう言った後、魔王は王座から転げ落ちそうになった。
側近があわてて両側を支えに入った。
「すまん。ドラン。見苦しい姿を見せてしまったな。それで、鉄鉱石のことはどうなったのだ。ずいぶん苦労をかけてしまったと思うが。」
「はい。御意のままに。高熱に強いドラゴンの姿になって、地中をできる限り深く進み、最も質が良く純度が高い鉄の鉱石を掘り出しました。それをあのゾイゼン一族の工房で、『勇者の剣』希望を作り出せる才能をもつ若い鍛冶師に渡して参りました。」
「そうか、後はその鍛冶師に任せるしかないな。私の体の調子から推定すると、『魔王の剣』業火はもうすぐザラの元に完全な姿を現わすはずだ。人間界に侵攻する魔王となるザラの力は、業火を使うことで何倍にもなる。『勇者の剣』希望を持たないランスロ君では絶対に勝てない。」
魔族の大侵攻について緊急の報告をするため、トランスファー城のホーク司令官と騎士ランスロが、王宮を訪れヘンリー国王に謁見していた
そこには、グネビア王女も同席していた。
「ほんとうにランスロは、魔王ゲールからそのような内容の手紙を受け取ったのだな。ランスロは将来を託されたということか。」
「はい。魔王ゲールは、人間と魔族のすばらしい未来のために、両者が戦い殺し合うことを避けようと、できる限りのことをしてくれました。魔王はまだ人間界にいた時から、僕のことを高く評価してくれていたみたいです。」
「後90日ほどで、ザラさんが『魔王の剣』業火をその手に持ち、1000年魔王として人間界への大侵攻を行うということですね。魔王の強さを何倍のする剣なのですね。ランスロの新しい剣を打ってもらうようゾイゼンのコンラードに依頼をしていますが…………」
「王女様の方からコンラード君に、そのような依頼をしていただいたのですか。彼の打つ剣が『勇者の剣』希望にならなかったとしても、僕は彼の力を信じ彼の最高の剣を持って戦うつもりです。ただ、ザラさんとは戦わないつもりです。」
「ランスロよ。1000年魔王とは戦わないとはどういうことか。」
ヘンリー国王が声を強くして聞いた。
「ザラさんは『魔王の剣』業火に心を操られているはずです。ほんとうは戦いなどを望んでいないはずです。業火をなんとしてでも砕いてみせます。父親の魔王ゲールに約束しました。長い歴史の中で繰り返し戦いを起そうとする『魔王の剣』をなんとしてでも砕きます。」
グネビア王女はランスロの決心をとても真剣に聞いていた。
そして、凜とした声で言った。
「ランスロ。あなたはもう勇者と名乗ってください。たとえ、『勇者の剣』希望を持つことができなくても――多くの人の希望にあなたがなるのです。長い歴史の中で初めて、魔王と戦わず、『魔王の剣』業火と戦う勇者になるのです。必ずチャンスはあります。」
そう言ったグネビア王女は心の中で思っていた。
(最高神様はワンチャンしかくれなかったけど、私の勇者ならワンチャンあれば絶対に大丈夫です。)
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