67 / 71
68 テイク・ラスト・ワンチャンス3
しおりを挟む
「王女様、どうして司令官室にいらっしゃるのですか。」
「ホーク司令官から、話したいことがあると……」
「僕も同じことを言われたのですが……」
「まあ、司令官が来るまで待ちましょう。調子はどうですか。」
「問題ありません。」
「魔族の大侵攻まで、どのくらいの期間があるのでしょう。
「後、2~3週間くらいでしょうか。国家魔法師達がここ人間界と魔界との空間の状況を監視しています。さすがに大きな連結空間を魔界側から作るためには時間がかかるそうです。」
「ザラさんは、ほんとうに1000年魔王になってしまったのですね。」
「『魔王の剣』業火が覚醒して、その影響を受けるのは仕方がありません。」
「あなたは、彼女と戦い、業火を折らなければならないのですね。」
「はい。ぎりぎりの戦いの中で、彼女が振るう剣を折ることを目的にするのは、大変困難だと思います。でも僕は必ずやり遂げてみせます。王女様――良いこともあったのですよ。ゾイゼン一族のコンラート君が打ってくれた剣が業火の熱を受けて冷やされた時、覚醒して『勇者の剣』希望になりました。」
「まあ。ほんとうによかったですね。あなたの進む道にはこれまでも今からも、とても少ないチャンスしかありません。過酷な運命しか待っていなくて、ほんとうにほんとうにごめんなさい。気休めにしかならないかもしれませんが、必ず道は開けるはずです。『幸運は勇者に味方する』のです。」
「僕の運命ですので、グネビア王女様の責任では決してありません。でも、ワンチャンあれば大丈夫です。全く問題ありません。」
「ほほほほほほほほ――」
王女が突然笑い出したので、ランスロはとても驚いた。
「王女様、僕は不自然に楽観的すぎるでしょうか。」
「いえいえ、そういうことでおかしかったのではありません。正直言いますと、あなたの言ったことが私がいつも自分に言い聞かせているフレーズと全く同じだったのです。ほんとうは今とても厳しい情勢なのに、2人とも空元気を出すのがうまいですね。」
ドアの前にはホーク司令官が部屋に帰ってきて、自分の不注意で、グネビア王女との約束とランスロとの約束をバッティングさせてしまったことに気づき、大変あせっていた。
しかし、その後司令官は思い直し、そおっとドアから遠ざかった。
(わざとやったわけではないけれど、とても過酷な事態の中で、婚約者の2人が話すことができてほんとうによかった。もう少し2人が話す時間を作ってあげよう…………)
トランスファー城の軍議、グネビア王女と歌劇団の慰問が終わってから3週間が過ぎた。
魔界と人間界との境がとても薄くなり、ほとんどつながりかけている場所を、ゴード王国の魔法師達が既に特定していた。
その場所は城の近く、王都イスタンにつながる街道が始まる平原の中にあった。
その日の正午、最後の壁は崩れ、魔界と人間界との大きな連結空間が開いた。
そこから、魔族の大侵攻の先方を任せられている上級魔族序列第5位の獣人レオとその眷属達10万が現れた。
獣人達は自分達の勝利を確信したこのように、一斉に咆哮した。
たくさんの鳴き声はハーモニーのようになって、離れた場所にある王都イスタンの住民達にも聞こえて恐怖を増長させた。
彼らが連結空間から出て人間界に踏み出すと、その抑撃のためそこにいたのは、竜人ドランと騎士長ボーンだけだった。
それを見た獣人レオは大変腹を立てた。
「俺と俺の軍団を待っていたのは、たった2人の戦士か! ドランの実力は知っているが、それにしても獣人10万にもう一人の人間だけか。」
剣術を極め、今や人類史上最強といわれているゴード王国騎士長ボーンは中肉中背だったが、体中に鍛え込んだ筋肉をまとっていた。
そして、レオと対照的に極めて穏やかで冷静な表情をしていた。
ボーンは一言だけ口を開いた。
「獣人の頭目様、冷静に考えて自分の一族を減らさないでください。」
しかし、その言葉はレオを冷静にさせるどころか、さらに激怒させた。
「生意気な人間ごときめ、俺が直々手をくだすまでもない。やれ! 」
獣人レオは自分の眷属達に命令した。
すると、獣人達が一斉にボーンに襲いかかった。
しかし、ボーンの動体視力は獣人達が自分に向かって動いてくる軌跡を全て把握し、その少し未来までも見えるくらいだった。
ボーンは、できる限り体力を消耗しないように動き剣を振った。
あっという間に、そこに獣人達の死体の高い山ができ、獣人達に恐怖が広がりおびえていた。
獣人達はその場で立ち止まり、動けなくなっていた。
「獣人の頭目様、もう1万くらいの命を奪ってしまった。これ以上無益な戦いは止めてくれませんか。」
「人間ごときが私に指図するな。俺の眷属達よ、自分の命を捨てても戦え! 」
レオのその言葉を聞いて、穏やかなボーンの顔が怒りの顔に変わった。
そして、その場で立ち止まっている獣人達に向かって大きな声で叫んだ。
「争いをこのまず、人間と平和に暮らせるものは、命を捨てても私と戦えという命令を無視しなさい! そして、人間の味方になりなさい! 」
獣人達は即座に動き出し、ボーンの前に整然と並んでひざまづいた。
「ホーク司令官から、話したいことがあると……」
「僕も同じことを言われたのですが……」
「まあ、司令官が来るまで待ちましょう。調子はどうですか。」
「問題ありません。」
「魔族の大侵攻まで、どのくらいの期間があるのでしょう。
「後、2~3週間くらいでしょうか。国家魔法師達がここ人間界と魔界との空間の状況を監視しています。さすがに大きな連結空間を魔界側から作るためには時間がかかるそうです。」
「ザラさんは、ほんとうに1000年魔王になってしまったのですね。」
「『魔王の剣』業火が覚醒して、その影響を受けるのは仕方がありません。」
「あなたは、彼女と戦い、業火を折らなければならないのですね。」
「はい。ぎりぎりの戦いの中で、彼女が振るう剣を折ることを目的にするのは、大変困難だと思います。でも僕は必ずやり遂げてみせます。王女様――良いこともあったのですよ。ゾイゼン一族のコンラート君が打ってくれた剣が業火の熱を受けて冷やされた時、覚醒して『勇者の剣』希望になりました。」
「まあ。ほんとうによかったですね。あなたの進む道にはこれまでも今からも、とても少ないチャンスしかありません。過酷な運命しか待っていなくて、ほんとうにほんとうにごめんなさい。気休めにしかならないかもしれませんが、必ず道は開けるはずです。『幸運は勇者に味方する』のです。」
「僕の運命ですので、グネビア王女様の責任では決してありません。でも、ワンチャンあれば大丈夫です。全く問題ありません。」
「ほほほほほほほほ――」
王女が突然笑い出したので、ランスロはとても驚いた。
「王女様、僕は不自然に楽観的すぎるでしょうか。」
「いえいえ、そういうことでおかしかったのではありません。正直言いますと、あなたの言ったことが私がいつも自分に言い聞かせているフレーズと全く同じだったのです。ほんとうは今とても厳しい情勢なのに、2人とも空元気を出すのがうまいですね。」
ドアの前にはホーク司令官が部屋に帰ってきて、自分の不注意で、グネビア王女との約束とランスロとの約束をバッティングさせてしまったことに気づき、大変あせっていた。
しかし、その後司令官は思い直し、そおっとドアから遠ざかった。
(わざとやったわけではないけれど、とても過酷な事態の中で、婚約者の2人が話すことができてほんとうによかった。もう少し2人が話す時間を作ってあげよう…………)
トランスファー城の軍議、グネビア王女と歌劇団の慰問が終わってから3週間が過ぎた。
魔界と人間界との境がとても薄くなり、ほとんどつながりかけている場所を、ゴード王国の魔法師達が既に特定していた。
その場所は城の近く、王都イスタンにつながる街道が始まる平原の中にあった。
その日の正午、最後の壁は崩れ、魔界と人間界との大きな連結空間が開いた。
そこから、魔族の大侵攻の先方を任せられている上級魔族序列第5位の獣人レオとその眷属達10万が現れた。
獣人達は自分達の勝利を確信したこのように、一斉に咆哮した。
たくさんの鳴き声はハーモニーのようになって、離れた場所にある王都イスタンの住民達にも聞こえて恐怖を増長させた。
彼らが連結空間から出て人間界に踏み出すと、その抑撃のためそこにいたのは、竜人ドランと騎士長ボーンだけだった。
それを見た獣人レオは大変腹を立てた。
「俺と俺の軍団を待っていたのは、たった2人の戦士か! ドランの実力は知っているが、それにしても獣人10万にもう一人の人間だけか。」
剣術を極め、今や人類史上最強といわれているゴード王国騎士長ボーンは中肉中背だったが、体中に鍛え込んだ筋肉をまとっていた。
そして、レオと対照的に極めて穏やかで冷静な表情をしていた。
ボーンは一言だけ口を開いた。
「獣人の頭目様、冷静に考えて自分の一族を減らさないでください。」
しかし、その言葉はレオを冷静にさせるどころか、さらに激怒させた。
「生意気な人間ごときめ、俺が直々手をくだすまでもない。やれ! 」
獣人レオは自分の眷属達に命令した。
すると、獣人達が一斉にボーンに襲いかかった。
しかし、ボーンの動体視力は獣人達が自分に向かって動いてくる軌跡を全て把握し、その少し未来までも見えるくらいだった。
ボーンは、できる限り体力を消耗しないように動き剣を振った。
あっという間に、そこに獣人達の死体の高い山ができ、獣人達に恐怖が広がりおびえていた。
獣人達はその場で立ち止まり、動けなくなっていた。
「獣人の頭目様、もう1万くらいの命を奪ってしまった。これ以上無益な戦いは止めてくれませんか。」
「人間ごときが私に指図するな。俺の眷属達よ、自分の命を捨てても戦え! 」
レオのその言葉を聞いて、穏やかなボーンの顔が怒りの顔に変わった。
そして、その場で立ち止まっている獣人達に向かって大きな声で叫んだ。
「争いをこのまず、人間と平和に暮らせるものは、命を捨てても私と戦えという命令を無視しなさい! そして、人間の味方になりなさい! 」
獣人達は即座に動き出し、ボーンの前に整然と並んでひざまづいた。
0
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~
たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。
たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。
薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。
仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。
剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。
ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる