71 / 71
72 テイク・ラスト・ワンチャンス
しおりを挟む
勇者ランスロと1000年魔王ザラは、空中で間合いをとって静止した。
「すっかり勇者になったのだな。その手に持っているのは『勇者の剣』希望か。」
「そうです。僕はザラさんを止めて、ザラさんをとり返します。」
「どちらかか、それともどちらとも命を落すまで、魔王と勇者は戦うのが宿命だ。それに私は1000年魔王、魔族の宿敵である人間の血をできるだけ多く、この『魔王の剣』業火に吸わせなければならない。」
「業火は1000年魔王の心と完全に一体になって、支配すると聞いています。僕にはそれがよくわかります。士官学校での記憶があるから。あのザラさんがそんなことをいうはずがありません。」
「おかしいな。勇者であるランスロと同じ学校で学んだ記憶は全くないのだが。それでもかまわないぞ。今から私には、勇者を殺した記憶と人間を大殺戮した記憶が残るのだから。」
ザラを包む赤い光りが、最高に輝いた。
そして、人の目には全く見えない速さで、ランスロに業火の一撃が加えられた。
一方、ランスロを包む緑の光りも輝きをました。
ただ、自らだけで輝く赤い光りとは違うのが、緑の光りは周辺から全ての世界から、エネルギーを取り込んでいた。
ランスロはザラが打ち込む「魔王の剣」業火の軌跡を感じ、反対方向から正確に「勇者の剣」希望を打ち返した。
2つの剣がぶつかった時、巨大なエネルギーが爆発した音がした。
緑の光りと赤い光りとの衝突は何回も何回も繰り返された。
1回衝突すると、その反動で2つの光りの間にはかなりの距離ができた。
そして新たな場所を選んでさらに衝突した。
2人の戦いは、ゴード王国ほとんど全ての上空で行われた。
100回くらいの衝突が過ぎた後、勇者ランスロは自分の体に異変を感じた。
(体中が痛い。手首、腕……胸も痛い、心臓がどくどくする。でも、もう少し)
ランスロは次に剣がぶつかった瞬間、ザラの様子をしっかり確認した。
(僕と同じように、いやそれ以上にザラさんの体は痛みを感じている。ただ、本人には認識させないように『魔王の剣』業火が神経を麻痺させている。もうすぐ彼女に限界がくる。)
勇者ランスロは、ほんのわずかな一瞬で、とても大切なことを決心した。
そして空中を全力で蹴り後ろにさがり、ザラとの距離を最大限に広げた。
「はあはあ……おや、おや、勇者様はおじけづいて逃げたのですか……はあはあ…… 」
ザラの体は悲鳴を上げていた。
ランスロはザラに向かって、最大限の力を込めて空間を蹴った。
希望の剣を自分の頭上に構え、ザラが持つ業火だけに集中した。
緑の光りはビームのように空に輝き、ほとんど止っていた赤い光りに衝突した。
ランスロは構えていた希望を全力で業火に向かって振り下ろした。
「ラ ン ス ロ 」
ザラは心の中で精一杯『魔王の剣』業火に抗あらがった。
業火は留まった位置で、ザラに全力の力で固定された。
2つの剣がぶつかった瞬間、大きな音がした。
爆発のような音ではなく、鐘の音のようなきれいな音だった。
魔王の剣「業火」は真っ二つに折れていた。
勇者の剣「希望」を全力で振ったランスロは、自分の力の余波で、その場からはるか遠方に吹き飛ばされた。
折れた「業火」はザラの手から離れ落下した。
遅れてザラも意識を失い、かなりの高度の空中から落下し始めた。
王都イスタンにある王宮の一番高い塔の上で、グネビア王女は上空を見上げていた。
かなりの高度でランスロとザラの戦いは行われており、緑の光りと赤い光りもはっきりとは見えなかった。
そのうち、王女の耳にきれいな鐘の音が聞こえた。
王女はしっかりと上空を見上げた。
「あっ、あれは、何か落ちてくる。」
上空から何かが落ちてきた。
最初は少し離れた場所に落ちそうだったが、突風が吹き塔のそばに流されてきた。
落下のスピードは弱まり、王女の目でもそれが何かはっきりとわかった。
「人だわ――――――ザラさん!!! 」
ザラは突風にさらに流され、王女が見ている塔の外壁のそのすぐそばに近づいて落ちてきた。
王女はなんでそうしたかわからない。
塔のへりのすぐそばにザラが落ちてきた時、両手でつかまえようとした。
王女は一瞬、ザラをつかまえることはできたが、落下の力に耐えられず一緒に落ち始めた。
そしてすぐに王女は意識を失った。
グネビア王女が意識を失うとは反対に、ザラは意識を取り戻した。
そして、状況をすぐに理解した。
「美しい王女様。人のことを思う気高い強さをお持ちですね。完全に負けました。側室でいいからランスロのお嫁さんになりたかったな……………………」
2人の真下には、王城の固そうな石畳が近づいてきた。
ザラは少しでもグネビアを守ろうと、その体を自分の体で包んだ。
……………………
公園のそばの噴水の前のベンチで、2人の幼い女の子が座っていた。
1人は雪のように色白で、美しい心が現われた大きな青い瞳をしている美少女だった。
もう1人は長いきれいな長髪で、赤い瞳をした完璧な美しさをもつ少女だった。
青い瞳の少女が、赤い瞳の少女に言った。
「おねえさん。おとうさんが焼いたパンを早く食べよう。」
「うん。おかあさんが作った飲みものを、ポットに入れて持ってきたわ。」
噴水の近くの石畳から、四葉のクローバーが一生懸命に生えていた。♡♡
「すっかり勇者になったのだな。その手に持っているのは『勇者の剣』希望か。」
「そうです。僕はザラさんを止めて、ザラさんをとり返します。」
「どちらかか、それともどちらとも命を落すまで、魔王と勇者は戦うのが宿命だ。それに私は1000年魔王、魔族の宿敵である人間の血をできるだけ多く、この『魔王の剣』業火に吸わせなければならない。」
「業火は1000年魔王の心と完全に一体になって、支配すると聞いています。僕にはそれがよくわかります。士官学校での記憶があるから。あのザラさんがそんなことをいうはずがありません。」
「おかしいな。勇者であるランスロと同じ学校で学んだ記憶は全くないのだが。それでもかまわないぞ。今から私には、勇者を殺した記憶と人間を大殺戮した記憶が残るのだから。」
ザラを包む赤い光りが、最高に輝いた。
そして、人の目には全く見えない速さで、ランスロに業火の一撃が加えられた。
一方、ランスロを包む緑の光りも輝きをました。
ただ、自らだけで輝く赤い光りとは違うのが、緑の光りは周辺から全ての世界から、エネルギーを取り込んでいた。
ランスロはザラが打ち込む「魔王の剣」業火の軌跡を感じ、反対方向から正確に「勇者の剣」希望を打ち返した。
2つの剣がぶつかった時、巨大なエネルギーが爆発した音がした。
緑の光りと赤い光りとの衝突は何回も何回も繰り返された。
1回衝突すると、その反動で2つの光りの間にはかなりの距離ができた。
そして新たな場所を選んでさらに衝突した。
2人の戦いは、ゴード王国ほとんど全ての上空で行われた。
100回くらいの衝突が過ぎた後、勇者ランスロは自分の体に異変を感じた。
(体中が痛い。手首、腕……胸も痛い、心臓がどくどくする。でも、もう少し)
ランスロは次に剣がぶつかった瞬間、ザラの様子をしっかり確認した。
(僕と同じように、いやそれ以上にザラさんの体は痛みを感じている。ただ、本人には認識させないように『魔王の剣』業火が神経を麻痺させている。もうすぐ彼女に限界がくる。)
勇者ランスロは、ほんのわずかな一瞬で、とても大切なことを決心した。
そして空中を全力で蹴り後ろにさがり、ザラとの距離を最大限に広げた。
「はあはあ……おや、おや、勇者様はおじけづいて逃げたのですか……はあはあ…… 」
ザラの体は悲鳴を上げていた。
ランスロはザラに向かって、最大限の力を込めて空間を蹴った。
希望の剣を自分の頭上に構え、ザラが持つ業火だけに集中した。
緑の光りはビームのように空に輝き、ほとんど止っていた赤い光りに衝突した。
ランスロは構えていた希望を全力で業火に向かって振り下ろした。
「ラ ン ス ロ 」
ザラは心の中で精一杯『魔王の剣』業火に抗あらがった。
業火は留まった位置で、ザラに全力の力で固定された。
2つの剣がぶつかった瞬間、大きな音がした。
爆発のような音ではなく、鐘の音のようなきれいな音だった。
魔王の剣「業火」は真っ二つに折れていた。
勇者の剣「希望」を全力で振ったランスロは、自分の力の余波で、その場からはるか遠方に吹き飛ばされた。
折れた「業火」はザラの手から離れ落下した。
遅れてザラも意識を失い、かなりの高度の空中から落下し始めた。
王都イスタンにある王宮の一番高い塔の上で、グネビア王女は上空を見上げていた。
かなりの高度でランスロとザラの戦いは行われており、緑の光りと赤い光りもはっきりとは見えなかった。
そのうち、王女の耳にきれいな鐘の音が聞こえた。
王女はしっかりと上空を見上げた。
「あっ、あれは、何か落ちてくる。」
上空から何かが落ちてきた。
最初は少し離れた場所に落ちそうだったが、突風が吹き塔のそばに流されてきた。
落下のスピードは弱まり、王女の目でもそれが何かはっきりとわかった。
「人だわ――――――ザラさん!!! 」
ザラは突風にさらに流され、王女が見ている塔の外壁のそのすぐそばに近づいて落ちてきた。
王女はなんでそうしたかわからない。
塔のへりのすぐそばにザラが落ちてきた時、両手でつかまえようとした。
王女は一瞬、ザラをつかまえることはできたが、落下の力に耐えられず一緒に落ち始めた。
そしてすぐに王女は意識を失った。
グネビア王女が意識を失うとは反対に、ザラは意識を取り戻した。
そして、状況をすぐに理解した。
「美しい王女様。人のことを思う気高い強さをお持ちですね。完全に負けました。側室でいいからランスロのお嫁さんになりたかったな……………………」
2人の真下には、王城の固そうな石畳が近づいてきた。
ザラは少しでもグネビアを守ろうと、その体を自分の体で包んだ。
……………………
公園のそばの噴水の前のベンチで、2人の幼い女の子が座っていた。
1人は雪のように色白で、美しい心が現われた大きな青い瞳をしている美少女だった。
もう1人は長いきれいな長髪で、赤い瞳をした完璧な美しさをもつ少女だった。
青い瞳の少女が、赤い瞳の少女に言った。
「おねえさん。おとうさんが焼いたパンを早く食べよう。」
「うん。おかあさんが作った飲みものを、ポットに入れて持ってきたわ。」
噴水の近くの石畳から、四葉のクローバーが一生懸命に生えていた。♡♡
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~
たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。
たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。
薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。
仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。
剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。
ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる