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2 天使の助け
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電話がつながった。
「救急管制センターです。」
「救急車での搬送を大至急お願いします。東西線神大駅のそば、セントラルタワーの1階フロアーです。」
「救急搬送が必要な方の状態は。」
「青白い顔をして意識を完全に失っています。かすかに呼吸はしていて、心臓の音は小さく不規則です。」
「心筋梗塞の恐れがありますね。できる限り早く救急車を向かわせますから、その場でお待ちください。」
北川風香の心は、不安で押しつぶされそうだった。佐藤直人の上半身を抱きかかえたまま、彼の顔をじっと見つめていた。
(心や体に大きなストレスが溜まって、もう限界だったのですね。気づいてあげることができなくて、ほんとうにごめんなさい………でも、回りの人に心配させないよう、自分の不調を一生懸命に隠すところが、あなたのほんとうに良い所です。)
なかなか救急車は来なかった。そのうちに、彼女は彼の様子がおかしいことに気がついた。
(えっ。呼吸している!!!)
顔を近づけると、呼吸は止まりそうだった。そして心臓の音を聞いてみると、ほんのわずかな音が数秒の間隔で聞こえるような状態になっていた。
「どうしよう。死んじゃう………」
彼女の目から大粒の涙が流れ出した。
涙はスマホの画面にも落ちた。
………
急に、彼女の耳に救急車の大きなサイレンが聞こえてきた。入口がらストレッチャーを動かして、2人の救急隊員が入ってきた。
「大丈夫ですか。今、患者さんを運びますからね。」
(よかった。これで安心………)
彼女は意識を失った。
………
彼女が意識を取り戻すと、いつの間にか救急車の中に乗っていた。目の前には、ストレッチャーの上で人工呼吸器を付けられている彼が横たわっていた。救急隊員がその様子をモニターしていた。
「佐藤さんは大丈夫でしょか。」
その問い掛けに、救急隊員は彼女の方を見ながら言った。
「なんとか心肺停止になるのを回避しましたが、正直申し上げて、この状態になると非常に厳しいです。」
それを聞いて、彼女の目からまた大粒の涙が流れ始めた。
………
「風香さん。風香さん。」
不思議なことに、初対面だった救急隊員が彼女の名前を呼んだ。
彼女が涙をぬぐって救急隊員の方を見ると~
「ミカちゃん!!!」
救急隊員の顔が、天使に変わっていた。彼女がスマホの待受画面にしている「ミカ」と名付けたかわいらしい天使の顔だった。
「彼に残された命の時間は、後5分しかありません。それは、この世界での時間です。けれど、異世界に転生すれば5分を5年に伸すことができます。」
「異世界に転生ですか?」
「はい。彼だけではなく、彼が今直面している過酷な運命も同時に転生されます。しかし、伸された異世界の時間の中で、運命にあらがい勝つことができれば彼は生き続けることができます。」
「ミカちゃん…失礼しました…天使様の言うとおりにすれば希望はあるのですね。」
「はい。しかし、ただ一つ条件があります。」
「なんですか。」
「今直面している過酷な運命を引き継ぎ、異世界の中で最悪の状態からスタートする彼を、誰かが一緒にW転生して助ける必要があるのです。ただしW転生ですので、その転生者も彼と同じ運命を共有します。」
「私がW転生者になります。」
「過酷な運命に勝てなければ、風香さんの命もそこで終わりになりますよ。」
「そうなったらそうなったで、私には少しも悔いはありません。」
彼女はストレッチャーの上の彼の顔を見ながら、ゆっくり、想いを込めて言った。
「W転生してあなたを必ず助けます!悲劇のヒロインには絶対なりません!」
そう言った瞬間、彼女と彼の姿は救急車の中から消えていた。
「救急管制センターです。」
「救急車での搬送を大至急お願いします。東西線神大駅のそば、セントラルタワーの1階フロアーです。」
「救急搬送が必要な方の状態は。」
「青白い顔をして意識を完全に失っています。かすかに呼吸はしていて、心臓の音は小さく不規則です。」
「心筋梗塞の恐れがありますね。できる限り早く救急車を向かわせますから、その場でお待ちください。」
北川風香の心は、不安で押しつぶされそうだった。佐藤直人の上半身を抱きかかえたまま、彼の顔をじっと見つめていた。
(心や体に大きなストレスが溜まって、もう限界だったのですね。気づいてあげることができなくて、ほんとうにごめんなさい………でも、回りの人に心配させないよう、自分の不調を一生懸命に隠すところが、あなたのほんとうに良い所です。)
なかなか救急車は来なかった。そのうちに、彼女は彼の様子がおかしいことに気がついた。
(えっ。呼吸している!!!)
顔を近づけると、呼吸は止まりそうだった。そして心臓の音を聞いてみると、ほんのわずかな音が数秒の間隔で聞こえるような状態になっていた。
「どうしよう。死んじゃう………」
彼女の目から大粒の涙が流れ出した。
涙はスマホの画面にも落ちた。
………
急に、彼女の耳に救急車の大きなサイレンが聞こえてきた。入口がらストレッチャーを動かして、2人の救急隊員が入ってきた。
「大丈夫ですか。今、患者さんを運びますからね。」
(よかった。これで安心………)
彼女は意識を失った。
………
彼女が意識を取り戻すと、いつの間にか救急車の中に乗っていた。目の前には、ストレッチャーの上で人工呼吸器を付けられている彼が横たわっていた。救急隊員がその様子をモニターしていた。
「佐藤さんは大丈夫でしょか。」
その問い掛けに、救急隊員は彼女の方を見ながら言った。
「なんとか心肺停止になるのを回避しましたが、正直申し上げて、この状態になると非常に厳しいです。」
それを聞いて、彼女の目からまた大粒の涙が流れ始めた。
………
「風香さん。風香さん。」
不思議なことに、初対面だった救急隊員が彼女の名前を呼んだ。
彼女が涙をぬぐって救急隊員の方を見ると~
「ミカちゃん!!!」
救急隊員の顔が、天使に変わっていた。彼女がスマホの待受画面にしている「ミカ」と名付けたかわいらしい天使の顔だった。
「彼に残された命の時間は、後5分しかありません。それは、この世界での時間です。けれど、異世界に転生すれば5分を5年に伸すことができます。」
「異世界に転生ですか?」
「はい。彼だけではなく、彼が今直面している過酷な運命も同時に転生されます。しかし、伸された異世界の時間の中で、運命にあらがい勝つことができれば彼は生き続けることができます。」
「ミカちゃん…失礼しました…天使様の言うとおりにすれば希望はあるのですね。」
「はい。しかし、ただ一つ条件があります。」
「なんですか。」
「今直面している過酷な運命を引き継ぎ、異世界の中で最悪の状態からスタートする彼を、誰かが一緒にW転生して助ける必要があるのです。ただしW転生ですので、その転生者も彼と同じ運命を共有します。」
「私がW転生者になります。」
「過酷な運命に勝てなければ、風香さんの命もそこで終わりになりますよ。」
「そうなったらそうなったで、私には少しも悔いはありません。」
彼女はストレッチャーの上の彼の顔を見ながら、ゆっくり、想いを込めて言った。
「W転生してあなたを必ず助けます!悲劇のヒロインには絶対なりません!」
そう言った瞬間、彼女と彼の姿は救急車の中から消えていた。
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