W転生してあなたを必ず助けます!悲劇のヒロインには絶対なりません!~私のハートは重いのです~

ゆきちゃん

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80 糸使いの女王

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 北川風香が夜見とともに、前に、過酷な運命と戦った異世界に瞬間移動する時がきた。移動先のポイントは、フランツ王国の王都イスタンと決めた。

「夜見さん、私と手をつないでください。」
 夜見は彼女の手をしっかりと握った。
「さあ、行きます………」

 ………

 2人は、大勢が行き交う王都イスタンのメイン通りに瞬間移動した。前にこの世界で暮らしたことがある彼女の記憶は、2人の服装をこの世界でもおかしくない姿にコーディネートしていた。

「姫様、人がこんなに歩いていて大変にぎやかですね。」
「はい、人の多さは前にこの世界にいた時と変わらないのですが、何かおかしいです。」
「どこがおかしいのですか。」

 夜見に聞かれて、彼女は魔力をさらに高めて目の前の情景を観察した。
「わかりました。歩いている人々の動きがみんな同じなのです。まるで何かに操られているようです。そうですね………わかりました。糸です。全ての人々に魔法で編んだ糸が絡まっています。」

 そのうち、2人の目の前を、歩いて通り過ぎようとしていた小さな男の子が大声を上げた。
「もう、いやだ。自分の思いどおりに動きたいんだ。」
 そうして、動くのを止めてその場に留まろうとした。

 すると、男の子はとても苦しそうになった。
「苦しい、息ができないよ。苦しい、死んでしまう。」
 彼女が魔力でその子を見ると、無数の魔法の糸が顔をぐるぐる巻きにしていた。

 彼女は急いで魔術を行使した。
「糸よちぎれよ、粉々になり亡くなれ。」
 強い魔力が男の子の顔を覆っていた魔法の糸を消滅させた。

「この子を連れて逃げましょう。夜見さん、この子を運んでください。」
「わかりました。姫様。」
「王都から離れて、昔、私が辺境伯だった時の城へ。今どうなっているかわかりませんが。」

 ………

 空中を飛び続け、異世界に転生した最後の期間、北川風香が辺境伯として治めた領地に帰ってきた。
 城の様子は以前と全く変わっていないようだったが、念には念を入れて一旦見えない防壁の上に停まり、しばらく調査した。

 そのうち、彼女が言った。
「大丈夫です。夜見さん、城の中に入りましょう。」
「ほんとうに大丈夫ですか。」

 彼女が心の底から笑ったのを見て、夜見は安心した。よく知っている空間を通り、辺境伯だった頃の自分の居室に入った。懐かしい部屋だった。

 あの日、フーカ辺境伯は全てを決意してナオト国王との一騎討ちのためこの部屋を出たのだった。

(また、戻ってこれるとは思えなかったわ。でも、とても安心したわ。)
 彼女は窓際の花瓶に飾られている四葉のクローバを見た。

 突然、ドアが開いた。
「誰かいるの。この部屋はフーカ様がお帰りになるまで、誰も入ってはだめよ。」

 目の青い、小さなかわいらしい女の子が部屋に帰ってきた。
 その女の子は中に入るなり、そこに立っている彼女を見て、何が起こったのかわからないというような表情でしばらく凍りついて固まっていた。

「ブルー、会いたかったわ!!!」
 彼女が思わず、信じられないほどの大きな声で言った。

「フーカ様!!!」
 ブルーは素早い動きで彼女に抱きついて、それから子猫の姿に変わった。子猫の姿になったブルーを彼女は優しく抱いてなで始めた。

「ブルー、私が好きな四葉のクローバをずっと飾ってくれたの。」
「はい、そうすれば、いつかフーカ様に会えることができるような気がしました。」
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