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35 聖女は皇帝を拒否する
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「カタリナさん。終わりましたね。謁見の間の大広間に戻りましょう。最後にもう一つ、整理しなければならないことが残っていますね」
「そうですね。もう心の中は整理されています」
やがて、聖女カタリナ、守護騎士神宮悟は王宮の中、謁見の間である大広間に戻った。
2人が大広間に戻り、赤絨毯の中を進むと、ロメル帝国の家臣団から大きな盛大な拍手が起きた。
やがて2人は、マクミラン皇帝の前に進み出た。
皇帝はさすがに、自らのことを恥じてばつの悪そうな顔をしていた。
「カタリナよ。聖女として見事な働きだったな。最大の魔力を秘めた最強の白魔女だな。それに、お前を守る守護騎士も強い。魔王に勝つとは―― 」
カタリナは厳しい口調で言った。
「皇帝陛下。私がいない間、この国はかなり疲弊してしまいました。国民は魔族の奴隷とされ、毎日毎日働かされています。悲惨な苦しい生活なのです」
「それについては、もう止めようと思っている。我が国はもう、魔族の兵士を必要とはしない。我は騙された。最強の聖女、守護騎士、わが国のために働いてくれぬか」
切実な顔でマクミラン皇帝は言った。
それを聞いた聖女カタリナはちらっと横を向き、悟と一瞬、目が合った。
何も言わなくても、2人の気持ちはしっかりと通じていた。
「わかりました。皇帝陛下のお申し出を受けましょう。が!!!! 1つ条件がございます」
「条件だと。なんだ? 」
「皇帝陛下の退任です。あなたは大きな失政をして国民を苦しめた。だから、当然、責任をとって皇帝の座から降りるべきです」
「カタリナよ。それだけはいやだ。お願いする。皇帝の座に留まらせてくれ。それに皇帝の座に留まることができたら、お前を王妃にしたい。婚約破棄を撤回する」
カタリナは一瞬、下を向いた。
そしてその後、顔を上げて皇帝をにらんだ。
彼女の大きな灰色の瞳には大粒の涙がたまっていた。
「‥‥よく、そのような冷酷なことをおっしゃることができますね。あなたが2年前、私と私の両親に何をされたのですか。覚えていないのですか!!!! 」
彼女はこらえきれなくなり、彼女の瞳から大粒の涙が流れた。
「お断りします。あなたのようなクズを夫おっとにする女性は絶対にいません。もっと、人の気持ちを思いやったらどうですか」
「我はクズか‥‥‥‥ 仕方がないな‥‥‥‥
‥‥‥‥わかった。皇帝を退任しよう。ただ、後を継ぐのは我が弟にしてくれ」
カタリナは言った。
「私に悲しくて辛い悲劇が起こったあの瞬間、弟君はとても悲しそうな顔をして私を見ていらっしゃいました。思いやりのある方です。了解します‥‥
‥‥それにしても、あなたに婚約破棄されてほんとうによかった」
その後、マクミラン皇帝はよろよろと玉座をはずし立ち上がった。
そして、カタリナに向かって深々と頭を下げた。
「ほんとうに申し訳なかった‥‥‥‥ 」
数時間後、カタリナ、神宮悟、そして月夜見は、マルク侯爵城の前にいた。
あの事件依頼、城はうち捨てられ、かなり荒れていた。
月夜見が言った。
「わあ―― カタリナ。これが、あなたの実家の城なの。大きて広いわね」
「確かに大きくと広いのですが、荒れ果ててもう誰もいません。多い時には5千人くらいの人々がいました。誰も彼も素敵な人ばかりで、私には楽しい場所でした」
「そう、それが心配なの。でも、すぐに、解決されそうよ」
月夜見はそう言うと、城につながっている道のはるか向こうを指さした。
それに連れて、カタリナもその方向を見た。
すると、多くの人々の集団がこちらに向かっているのが見えた。
「あれは、もしかしたら‥‥ 」
やがて、多くの人々の集団が近づいてきた。
その先頭にいたのは――
「サーシャ!! 」
かって、メイド頭をしていたサーシャだった。
「お嬢様。おめでとうございます。王城でのこと、国民はよく知っています。マクミラン皇帝に人間を奴隷にする制度を止めさせ、それに退任させたのですね」
「そうよ。クズには退任していただくわ」
「痛快なことをなされましたね!! 」
「痛快なことですか?? 」
「マクミラン皇帝の妃になるのは断固として断られたそうじゃないですか」
「そうよ。なにが婚約破棄の解消よ。あのクズ」
「これで、後は、守護騎士様との御結婚ですか」
「えっえっえっえっ!!!! サーシャ、いきなり何を言うの」
カタリナはとても驚いてどぎまぎしているようだった。
彼女はサーシャが次に何を言い出すか、わかっていた。
「守護騎士様。神宮悟様はどのようにお考えですか? 」
いきなり聞かれて、悟はとても困った。
「サーシャさん。こればっかりは、個人が決めるわけにはいけませんから」
「守護騎士様は、お嬢様と御結婚されることをお望みなのですよね」
(困った。なんて言おうか)
悟はそう思ったが、カタリナが彼を見る真剣な表情を見て決心した。
(今だ。今しか無い。今言わなければもう言えなくなる)
「はい。私は望んでいます」
心の中で決断をしっかりした反動で、悟は大きなはっきりした声で言った。
「お嬢様。ほんとうによかったですね。守護騎士様のお気持ちは、お嬢様と御一緒みたいですよ」
「はい。よかったです。私と同じ気持ちでした」
その瞬間、2人の周囲を取り巻いていた多くの人々から盛大な拍手が起こった。
突然のことだった。
王都の方向から早馬が近づいてきた。
早馬の上に乗っていた騎士は、城に近づき馬を下り、カタリナの方に歩いてきた。
「聖女様。非常事態です。魔族達が暴れ始めました」
「魔族達は魔王が敗れたのを見て、ローザさんの指示で魔界に帰還し始めたのでは」
「ローザ様がなんとか魔族達を制御していたのすが、魔族達はどうも魔界に帰りたくないみたいなのです」
「なぜ、魔族が魔界に帰りたくないのですか?? 」
「ローザ様がおっしゃるには、極めて過酷な環境の魔界から、この人間界に来てしまうと、天国と地獄だということに気が付いてしまうようです」
「天国と地獄ですか」
「魔界は暗く光りが全く無く、灼熱から極寒へ、たびたび気温が激変します。暴風が吹きすさび心を落ち着かせることの瞬間は全くないそうです」
「魔界とはそんなに厳しい環境なのですか。わかりました。今すぐ王都に向かいます。悟さんも御同行いただけますか」
「もちろんです」
「そうですね。もう心の中は整理されています」
やがて、聖女カタリナ、守護騎士神宮悟は王宮の中、謁見の間である大広間に戻った。
2人が大広間に戻り、赤絨毯の中を進むと、ロメル帝国の家臣団から大きな盛大な拍手が起きた。
やがて2人は、マクミラン皇帝の前に進み出た。
皇帝はさすがに、自らのことを恥じてばつの悪そうな顔をしていた。
「カタリナよ。聖女として見事な働きだったな。最大の魔力を秘めた最強の白魔女だな。それに、お前を守る守護騎士も強い。魔王に勝つとは―― 」
カタリナは厳しい口調で言った。
「皇帝陛下。私がいない間、この国はかなり疲弊してしまいました。国民は魔族の奴隷とされ、毎日毎日働かされています。悲惨な苦しい生活なのです」
「それについては、もう止めようと思っている。我が国はもう、魔族の兵士を必要とはしない。我は騙された。最強の聖女、守護騎士、わが国のために働いてくれぬか」
切実な顔でマクミラン皇帝は言った。
それを聞いた聖女カタリナはちらっと横を向き、悟と一瞬、目が合った。
何も言わなくても、2人の気持ちはしっかりと通じていた。
「わかりました。皇帝陛下のお申し出を受けましょう。が!!!! 1つ条件がございます」
「条件だと。なんだ? 」
「皇帝陛下の退任です。あなたは大きな失政をして国民を苦しめた。だから、当然、責任をとって皇帝の座から降りるべきです」
「カタリナよ。それだけはいやだ。お願いする。皇帝の座に留まらせてくれ。それに皇帝の座に留まることができたら、お前を王妃にしたい。婚約破棄を撤回する」
カタリナは一瞬、下を向いた。
そしてその後、顔を上げて皇帝をにらんだ。
彼女の大きな灰色の瞳には大粒の涙がたまっていた。
「‥‥よく、そのような冷酷なことをおっしゃることができますね。あなたが2年前、私と私の両親に何をされたのですか。覚えていないのですか!!!! 」
彼女はこらえきれなくなり、彼女の瞳から大粒の涙が流れた。
「お断りします。あなたのようなクズを夫おっとにする女性は絶対にいません。もっと、人の気持ちを思いやったらどうですか」
「我はクズか‥‥‥‥ 仕方がないな‥‥‥‥
‥‥‥‥わかった。皇帝を退任しよう。ただ、後を継ぐのは我が弟にしてくれ」
カタリナは言った。
「私に悲しくて辛い悲劇が起こったあの瞬間、弟君はとても悲しそうな顔をして私を見ていらっしゃいました。思いやりのある方です。了解します‥‥
‥‥それにしても、あなたに婚約破棄されてほんとうによかった」
その後、マクミラン皇帝はよろよろと玉座をはずし立ち上がった。
そして、カタリナに向かって深々と頭を下げた。
「ほんとうに申し訳なかった‥‥‥‥ 」
数時間後、カタリナ、神宮悟、そして月夜見は、マルク侯爵城の前にいた。
あの事件依頼、城はうち捨てられ、かなり荒れていた。
月夜見が言った。
「わあ―― カタリナ。これが、あなたの実家の城なの。大きて広いわね」
「確かに大きくと広いのですが、荒れ果ててもう誰もいません。多い時には5千人くらいの人々がいました。誰も彼も素敵な人ばかりで、私には楽しい場所でした」
「そう、それが心配なの。でも、すぐに、解決されそうよ」
月夜見はそう言うと、城につながっている道のはるか向こうを指さした。
それに連れて、カタリナもその方向を見た。
すると、多くの人々の集団がこちらに向かっているのが見えた。
「あれは、もしかしたら‥‥ 」
やがて、多くの人々の集団が近づいてきた。
その先頭にいたのは――
「サーシャ!! 」
かって、メイド頭をしていたサーシャだった。
「お嬢様。おめでとうございます。王城でのこと、国民はよく知っています。マクミラン皇帝に人間を奴隷にする制度を止めさせ、それに退任させたのですね」
「そうよ。クズには退任していただくわ」
「痛快なことをなされましたね!! 」
「痛快なことですか?? 」
「マクミラン皇帝の妃になるのは断固として断られたそうじゃないですか」
「そうよ。なにが婚約破棄の解消よ。あのクズ」
「これで、後は、守護騎士様との御結婚ですか」
「えっえっえっえっ!!!! サーシャ、いきなり何を言うの」
カタリナはとても驚いてどぎまぎしているようだった。
彼女はサーシャが次に何を言い出すか、わかっていた。
「守護騎士様。神宮悟様はどのようにお考えですか? 」
いきなり聞かれて、悟はとても困った。
「サーシャさん。こればっかりは、個人が決めるわけにはいけませんから」
「守護騎士様は、お嬢様と御結婚されることをお望みなのですよね」
(困った。なんて言おうか)
悟はそう思ったが、カタリナが彼を見る真剣な表情を見て決心した。
(今だ。今しか無い。今言わなければもう言えなくなる)
「はい。私は望んでいます」
心の中で決断をしっかりした反動で、悟は大きなはっきりした声で言った。
「お嬢様。ほんとうによかったですね。守護騎士様のお気持ちは、お嬢様と御一緒みたいですよ」
「はい。よかったです。私と同じ気持ちでした」
その瞬間、2人の周囲を取り巻いていた多くの人々から盛大な拍手が起こった。
突然のことだった。
王都の方向から早馬が近づいてきた。
早馬の上に乗っていた騎士は、城に近づき馬を下り、カタリナの方に歩いてきた。
「聖女様。非常事態です。魔族達が暴れ始めました」
「魔族達は魔王が敗れたのを見て、ローザさんの指示で魔界に帰還し始めたのでは」
「ローザ様がなんとか魔族達を制御していたのすが、魔族達はどうも魔界に帰りたくないみたいなのです」
「なぜ、魔族が魔界に帰りたくないのですか?? 」
「ローザ様がおっしゃるには、極めて過酷な環境の魔界から、この人間界に来てしまうと、天国と地獄だということに気が付いてしまうようです」
「天国と地獄ですか」
「魔界は暗く光りが全く無く、灼熱から極寒へ、たびたび気温が激変します。暴風が吹きすさび心を落ち着かせることの瞬間は全くないそうです」
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