結婚式から異世界転生~運命に抗う

ゆきちゃん

文字の大きさ
5 / 40
2 色属性の魔女との戦い

5 緑の魔女の呪い

しおりを挟む
「ほんとうによかった」



 騎士カイロスはソーニャ王女を抱きしめた。



 今、部屋には、王女の父親であるロメル国王他、多く人々が集まっていた。



「これで13の呪いのうち、1つの呪いが解けたことはわかりました。その他の12の呪いって、いったい、どういうものなのでしょう」



 カイロスの疑問の言葉を聞いた時、専属メイドのカノンが言った。



「あの―― 大変恐れ多いことなのですが、王女様、服の袖をまくっていただけないでしょう」



「えっ、カノン。別に問題ありません。それでは」



 王女は服の袖をまくった。



 お――う



 すると、部屋の中にいた人々から驚きの声が上がった。



 右腕の色は緑、左腕は橙色



 くっきりと、あざやかな原色に染まっていた。



「なんで?? 」



 その時



「御説明しましょう」



 よく通る声が聞こえ、部屋の中に髪も髭も長く魔法の杖をもった中年の男が転移した。



 それは、大魔法師マーリンだった。



「ソーニャ王女様は、このロメル王国の国民と土地を守る聖女様です。戦争に負けた魔女達は、氷と炎の魔女は王女様個人に呪いをかけ、それによって、ロメル王国の国民と土地に呪いをかけたのです。王女様の腕の色は両魔女の刻印です。」



「う――ん そうか、この頃、我が国ではさまざまな災害などさまざまな問題が起きている。それらは、魔女達の呪いということだな」



 大魔法師マーリンが応えた。



「はい。そうでございます。残り12の呪いですが、それぞれが、ロメル王国を破滅させるほどの呪いです。そしてさらに、ロメル王国が破滅すれば、ソーニャ王女様の命も絶えます」



「まだ12もあるのか!! それぞれが強烈に強い魔力をもつ魔女達だ。全てに勝ち、魔法を解かせるのは至難のわざだな」



 国王のその言葉を聞いた後、騎士カイロスが間髪を入れず宣言した。



「私、騎士カイロスにお任せください。魔女達がどんなに強烈で、どんな困難や苦労が待受けていたとしても、必ず全ての呪いを解きてみせます。王女様にお誓い申し上げます」



 カイロスはソーニャ王女のベッドのそばにひざまずき、心から宣言した。



 大魔法師マーリンが重々しい落ち着いた声で言った。



「神は乗り越えられない試練は与えません。カイロス様、希望を捨てなければ必ずやり遂げることができるでしょう」



 大魔法師マーリンはそう言った時、心の中でこっそり考えていた。

(‥‥転生前でも、あなたは愛する人のため、希望を捨てなかった。だから、あなたは今からの試練の前でも決して希望を捨てず、やり抜くことでしょう‥‥ )


 国王が聞いた。

「ところで聞くが、ソーニャの腕はなんで緑色なんだ? 」



「国王様。色が示すとおりです。緑の農産物に呪いをかけたということです。今、このロメル王国では、農産物の収穫が無く飢饉発生の寸前でございましょう」



「農業大臣から収穫量が減っているという報告は受けているが、それが飢饉にまでつながるほどとは、申し訳ない、我は毎日、豪華な食事をしているものだからな」







「それではまず、緑の魔女と戦い、呪いを解かせなければなりませんね。」



「カイロス様、緑の魔女の居場所は既に突き止めています。転移魔法陣も構築済です。行かれますか? 」



 大魔法師マーリンの問いに、カイロスは大きくうなずいた。



「ソーニャ様、騎士カイロスは参ります。(風香さん、悟は行ってきます)」



 カイロスは原色の緑色になっているソーニャ王女の手をしっかりと握りおじぎした。



「出発は? 」



「いま直ぐにでもかまいません」



「いま直ぐにですか。氷の魔女との戦いで大変お疲れでしょう。日を改められたらどうでしょうか」



 そう言った大魔法師マーリンを見つめて、カイロスは大きく首を振った。



「時間の大切さはよく知っています。ある人が余命1年以内なんです。それに、飢饉をできる限り早く止めなければ、多くの国民が苦しみ、命を落す人もいるでしょう」



 大魔法師マーリンはそう言ったカイロスを見て思った。



(ああ、なんて立派な心の持ち主なんだ。だから、神が御業みわざを示され、この世界に転生してきたのだな)



「ただ、カイロス様。あなたは、強力な魔力を持つ氷の魔女との激烈な戦いをしてきたばかりです。2、3日だけでもお休みになられたらどうですか。疲れ切った心と体では、緑の魔女には勝てません」



「‥‥‥‥ 」



「マーリンの言うとおりじゃ、ソーニャの父親としてお願いする。せっかくソーニャの意識が回復したのじゃ。2、3日、休息ついでに娘をたずねて、おしゃべりしてくれ。」



「‥‥‥‥ 」



 ソーニャ王女が最後に口を開いた。



「あなたは責任感の強い方。でも私のために休んでください。私のことをほんとうに愛してくれるあなたを。私は心の底から愛しています。意識を取り戻した私との時間を作ってください。」



「はい。わかりました。2、3日の休みをとった後、緑の魔女がいる場所に転移します。大魔法師様、よろしくお願い致します。」







 カイロスは2、3日、休みをとることにした。

 医師にみせると、やはり凍傷が完治していない箇所が体のあちこちにあった。



 そしてそれらは、宮廷魔法師が治癒魔法で直した。



 治療は王宮の中にある病院で行われた。



「騎士カイロス様。これで治癒魔法は完了です」



「ありがとうございます。体のあちこちにあった痛い箇所が無くなりました」



 治療の後、カイロスはソーニャ王女と謁見するために、王宮の通路を歩いていた。



 歩きながら外を見ると、遠くの山々が見えた。



 彼は大きな違和感を感じた。



 それで、調度通りかかった役人に聞いた。



「お聞きします。この王宮からはるか遠くの山々が見えるのですが、すべて茶色ですね。木や草が生えていない、はげ山ばかりなのですが? 」



「魔女の国との戦争の前までは緑が栄える山々でした。お忘れですか、緑の魔女とあなた様との戦いで、緑の魔女は木や草を生き物の武器のように操って攻撃してきました。それで騎士様が―― 」



「私がどうしたのでしょうか? 」



「聖剣クトネリシカの力で、生き物のように動く木や草を全て焼き払われました」



「戦争の後、木や草が再び生えてこないのですか? 」



「はい。それが緑の魔女の呪いなのです。『ロメル王国の土からは、木や草の種は永遠に芽を出さず、生きている木や草の体は全て死に絶える』」



「えっ、えっ 大変な呪いですね。それでは、今、この国で食べれている農産物は? 」



「‥‥‥‥ あまり大きな声でいえませんが。全て他国から輸入されているものばかりです」

 





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

竜皇女と呼ばれた娘

Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ 国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

処理中です...