結婚式から異世界転生~運命に抗う

ゆきちゃん

文字の大きさ
6 / 40
2 色属性の魔女との戦い

6 緑の魔女の呪いをとく

しおりを挟む
 数日後、

騎士カイロスが緑の魔女のそばに、転移しようとする日がきた。



 王宮の前、大広場に、大魔法師マーリンが既に魔法陣を構築していた。



「緑の魔女は、元魔女の国のへき地、かなり遠方の山岳地帯にいます。だから、魔法陣を大きくしてパワーを高めなければなりませんでした」



「マーリンさん。この聖剣クトネリシカの力で、物を焼き払うことができるのでしょうか」



「はい。聖剣を振う者が集中して意識を伝えれば、可能です。あなたと緑の魔女との前の戦いの時に、あなたがその力を使って、魔女の武器となった木や草を燃やしましたね」



「正々堂々とした戦いなのに、なぜ、緑の魔女が激怒して、この国に呪いをかけたのでしょうか? 」



「何かあったに違いありません。今回の戦いで、その理由を知らなければ、仮にカイロスさんが勝利したとしても、魔女に呪いを解かせることはできないでしょう」



「その点に注意して戦うことにします。それでは転移をお願いします」



「わかりました」



 騎士カイロスは魔法陣の中に入ろうとして、入る前にあいさつした。



「国王様と王女様、言って参ります」



 国王が彼に告げた。



「大変な戦いになると思うが、よろしく頼む」



 次にソーニャ王女が言った。



「木や草が育たない国はやがて滅ぶしかありません。人間にとって緑は必要不可欠な存在なのです。緑は人間の敵ではありません。難しいと思うけど、そう思って戦ってくださいね」



(悟‥‥ )



 ‥‥‥‥



 その時、騎士カイロスは転生前の、神宮悟じんぐうさとるとしての記憶を想い出した。



 それは松浜市の繁華街、雑踏の中だった。



 会社の友人達と飲み会に行くために、先を急いで友人と並んで歩いている時だった。



 彼は不思議な光景に気を取られて、思わず立ち止まった。



「ちょっと、先に行ってて」



 友人達が彼をせかした。



「悟、何やってんだ。早く行かないと、割引タイムが終了してしまうだろう。早く着いて、飲み屋さんに入店しなければならないんだから」



 若い女の子が、タイル張りの歩道にしゃがみ込んでいた。



 最初、彼はその子が体調悪くてうずくまっているのかと思った。



 しかし、そうでもなさそうだった。



 彼女は生き生きとして何かをじっと見ていた。



「あの―― すいません。何をなさっているのでしょうか? 」



 彼がそう聞くと、しゃがみ込んでいた彼女は彼を見上げた。



 背の高い彼を、切れ長の彼女の目が見上げた。



 その瞳は温かく光り、彼はひと目でひきつけられた。



(あっ、優しさがにじみででいる。素敵な人だ)



 彼女は立ち上がった。



(けっこう背が高いな、それにロングヘアーがさらさらしている)



「ごめんなさい。この子のことが心配で、この場所を離れることができませんでした」



「この子、ですか? どこにいますか? 」



 彼女は笑いながら、少し恥ずかしそうに歩道のタイルの一画を指差した。



 彼は最初、指差されたものが何かわからなかったが、やがて、おぼろげにわかった。



「白い花? でもよく見たことがある。これはシロツメグサ‥‥ 」



「そうです。こんな人間の往来が激しい雑踏の中で、たった1株だけコンクリートのすき間から茎をだし花を咲かせています。だから、この子を応援していたのです」



「応援ですか? 」



「ふふふふ 変でしょう。がんばって、がんばって―― 」



 彼と彼女は最初の出会いの時から、心がしっかりと通った。



「きっと、『大丈夫だよ。しっかりと生きていけるから。花も咲かせることができてうれしい』と返事をしたのでしょうね」



「えっ、えっ、えっ、えっ びっくりした―――― そのとおりです」

 2人は最高の笑顔になった。



「私、北川風香きたがわふうかです。」



《よく見ると、さらにびっくりするわ。私と調度良いほど背が高い。巻き毛が大きい瞳のそばまで伸びていてアニメの主人公みたい。だからきっと、性格なおおらかな彼は優しく、明るい楽天家)



「僕は神宮悟じんぐうさとるです。あの―― この子が大丈夫と言っているから、ここを離れて、僕とコーヒーを飲みに行きませんか。コーヒーはきらいですか」



「またまた、うれしいことがわかりました。私はコーヒーが大好きです。一緒ですね」



「あ――――っ 北川さん。今、気が付きました。この子に教えてもらいました。この子は四葉のクローバみたいです」



「ここに1株だけ生えて、しかも幸運のシンボル‥‥ 」



 ‥‥‥‥



 騎士カイロスは我に帰った。



「マーリン様。それでは」



「わかりました」



 マーリンはそう言うと、魔法の杖で魔法陣の端に触れた。



 すると、カイロスはその場から転移した。








 回りは木々が生い茂ったような森林だった。



 緑がとても濃かった。



 息を吸うだけで元気が出て、元気がみなぎった。



「とても良い環境、心も体も洗われる。そうか、転生前に結婚してから少し疲れていたのかな」



 やがて、驚くべきことが起きた。



 無数の緑色の粒子が彼の回りに集まってきた。



「えっ、なんだろう」



 よく見るとわかった。



 無数の緑色の粒子はたくさんの妖精達だった。



 緑の妖精の1人が彼に話しかけてきた。



「人間さん。あなたはとても優しい愛に満ちたオーラをまとっているのね。僕達は、あなたのオーラにさわるだけでエネルギーをもらい、元気がでます。もっと、もっと、たくさんの仲間達が集まってくるよ」



「かまわないよ。さわるだけなら」



「ごめんね。たくさんの緑の妖精に触られると、うっとうしいですよね。でも、この頃、ずっと僕達にエネルギーをくれていた人が、病気で寝込んで、外に出られないから」



「大変だね。その病気で寝込んでいる人はどうしたの? 」



「もう何年も前、戦争で戦った時、相手の騎士に自分が使役する木や草を燃やし尽くされたんだよ。『木や草なんてすぐ生えてくるからゴミ同然』なんて、ひどいことを言ったんだ」



「う――――ん 聞くのも恐いな―――― その病気で寝込んでいる人って? 」



「緑の魔女様さ」



「もう一つ聞くよ。戦争で緑の魔女と戦った人って? 」



「ロメル王国の騎士カイロスさ。世界最強の騎士だそうだけれど、心は邪悪で世界最悪さ。そのオーラは僕達にとって猛毒なんだ」



「顔や背格好を覚えている? 」



「うん。あなたとそっくり、うり2つさ」



「緑の妖精さん達は恐くないの。もし、僕がその騎士カイロスだったら」



「はははははは それは完全に無い。僕達は外見で人間を判断しないよ。その人の心や現わすオーラを感じるんだ。あなたは、絶対に別人! 」









しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

竜皇女と呼ばれた娘

Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ 国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

処理中です...