結婚式から異世界転生~運命に抗う

ゆきちゃん

文字の大きさ
7 / 40
2 色属性の魔女との戦い

7 緑の魔女の呪いを解く2

しおりを挟む
騎士カイロスが、緑の妖精に聞いた。



「緑の妖精さん。お願いごとがあります。僕を緑の魔女の元に連れていってください。もう御存知ですが、僕は魔女と戦った時の騎士カイロスとは違います」



「別人だからね、いいですよ。御案内します。ついてきてください」



 それから、騎士カイロスは1人の妖精の後に続き、森林地帯に深く入っていった。



 彼のオーラ-を慕う、その他の多くの妖精達も後に続いた。



 やがて、完全に蔦草におおわれた石の家が現われた。



「騎士カイロス、あそこです」



 やがて、木製の扉の前まで来た。



「どうぞ、お入りください。緑の魔女がお待ちしています」



「僕が来るのをわかっていたのですか」



「はい。あなたがこの近辺に転移した時、緑の魔女は聖剣クトネリシカの力を感じました。しかし、前に経験したものとは全く違う力になっていました。だから安心して迎えに行くようにと、僕達に―― 」



 妖精は木製のドアに2階体当たりした。



 すると



「どうぞ、中にお入りください」



 年配の女性の声がした。



「失礼します」



 騎士カイロスは中に入った。



 すると、年配の女性が杖をつき、正面に立ち待っていた。



 よく見ると、杖を両腕で持ち床に立てていたが、両腕はブルブル震えていた。



 驚いて、カイロスは言った。



「さっき妖精さんから、あなたが病気で寝込まれていると聞きました。無理はなさらずに、ベッドで寝ていてください。私は前にあなたが戦った騎士カイロスと中身は別人ですから、絶対攻撃しません」



 すると、緑の魔女は微笑んで、ベッドに腰かけた。



「わかっていますよ。あなたは前の騎士カイロスとは正反対ですね。今日は、私に解呪を依頼に来られたのでしょう。もちろん、あなたの御依頼どおり解呪します」



 あまりにもあっけなくそう言われ、彼は大変戸惑った。



「どうして、そんなにすぐに‥‥ 」



「あなたは異世界転生されたでしょう。実はあなたが転生する前の世界で、あなたと、そしてあなたの愛する方と既にお会いしたものがいるのです」



「えっ!! 僕達と同じように異世界転生したのですか? 」



「いえ。実は緑の妖精のこの子です。妖精は霊的な存在。霊的な存在は複数の異世界に同時存在したとしても、意識は共有しているのです」



 カイロスはこの家まで自分を案内してくれた緑の妖精を見た。



 すると



「あっ!! 」



 彼はあることに気づき大変驚いた。



 妖精の羽は、四葉のクローバーだった。



 そして妖精はニコニコ笑いながら言った。



「大丈夫だよ。しっかりと生きていけるから。花も咲かせることができてうれしい」



「なんと、僕と彼女とのキューピット役をしてくれたのですよね」



「すばらしい2人を結びつけることができて、あの世界の僕は、喜びとうれしさに包まれていました。でも、それから大変なことが2人に起こってしまいましたね」



「‥‥ そうです。僕は風香さんの命を救うために、この世界のソーニャ王女が聖女として守るロメル王国にかけられた呪いを解かなければなりません」



「緑の魔女様。この騎士カイロスの願いをお聞きください。お願い致します」



「わかりました。でも、その前に騎士カイロスに問います。人間にとって、木や草はどのような存在なのでしょうか」



「とても大切な存在だと思います。木や草は、人間の心を浄化し癒し暖かく包んでくれます。もし、人間の回りに緑が無くなってしまったら、人間は生きてはいけません」



「ふふふふ 思ったとおりの方ですね。さらに聞きます。あなたは異世界転生の前、野菜料理は好きでしたか、きらいでしたか」



「微妙な御質問ですね。でも正直に申し上げます。野菜料理は大好きでした。野菜達の葉っぱや実を食べてしまうのですが、野菜に感謝し、その命をしっかり引き継いでいましたのでお許しください」



「気になされることはありません。野菜に感謝していただいたのですね。今、私の心は救われました。神に感謝しなければなりません。邪悪な騎士が聖なる騎士に生まれ変わって」



 その後、緑の騎士はその右手で自分の紋章を空間に描き詠唱した。



「我が呪いを解き、聖なる騎士の願いをかなえん―― 」



「ほんとうにありがとうございます」



「いえいえ、私の方こそ。緑を愛する優しいあなたの心に触れて、緑を守る私の心は癒いやされました。久し振りに、ゆっくりと深く眠ることができます。失礼します」



 その後、緑の魔女は横たわり、静かな寝息をたてて眠ってしまった。



 騎士カイロスは静かな小さな声で言った。



「妖精さん。僕は失礼します」



「カイロスさん。いや悟さんと呼ばせてください。この世界でのあなたの戦いが実を結び、風香さんの命を守ることができるよう、心の底から祈っています。」

「ありがとうございます」



 騎士カイロスはベッドに横たわっている緑の魔女と妖精に深く頭を下げて、その家を出た。



 緑の魔女の家を出てしばらく歩くと、大魔法師マーリンの声がした。



「騎士カイロス様。見事に緑の魔女の呪いを解呪されましたね。今、こちらの方へ」



 彼はマーリンの魔術で、すぐに、ロメル王国、王宮の前の広場に転移して戻った。







 王宮の謁見の間で、騎士カイロスは国王に報告していた。



 もちろん異世界転生前、悟カイロスと風香ソーニャが初めて会った時の話しはしなかったが。



「国王陛下。人間が緑の大切さを忘れず、いつも感謝して共存していくことが大切だと感じました」



「そうか、それならば、国王として我が国全土・全国民におふれをだそう。それにしても、木や草のことをゴミ同然だと言っていたカイロスがそのようなことを言うとはな」



「陛下、騎士カイロス様の中の人は別人かもしれませんよ」



 大魔法師マーリンが冗談っぽく言った。



 そして、すぐにマーリンは真剣な顔になり話し始めた。



「さて、これでロメル国内の草や木は新たな目を出し、生き続けることでしょう。しかし、一つ問題があります。それは水と光の呪いです」



「水と光呪いですか」



「雨がほとんど降らない干ばつと、豪雨の期間が交互にやってきています。それに、天候不順でどんよりとした曇りや雨の日が多いのです。これは水の魔女の呪いです」



「大変な呪いですね」



「はい。せっかく緑が芽を出しても育つことができません。さらに、このような天候では国民の心や毎日の暮らしに悪い影響があります」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした

藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると 土地を蝕む邪気となって現れる。 それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。 派手な奇跡は起こらない。 けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。 ――その役目を、誰一人として理解しないまま。 奇跡が少なくなった。 役に立たない聖女はいらない。 そう言われ、私は静かに国を追放された。 もう、祈る理由はない。 邪気を生み出す原因に目を向けず、 後始末だけを押し付ける国を守る理由も。 聖女がいなくなった国で、 少しずつ異変が起こり始める。 けれど彼らは、最後まで気づかなかった。 私がなぜ祈らなくなったのかを。

処理中です...