月の都の花嫁

城咲美月

文字の大きさ
17 / 31

古城アセリアルージュ

しおりを挟む
私は気を取り直して、古城アセリアルージュ行きの切符を買う。

ICチップを埋め込んだカード、こちらでも現金と同じように使えるのだけど
古城アセリアルージュ行きだけは切符を購入する必要がある。



電車乗り場から少し外れた場所にある高台。

2.3人乗りの気球のデザインされた乗り物。
下にレールがあるだけの、トロッコみたいな形。




切符を
乗務員さんに渡すと、カションと音がする。

切れた切符をポケットに仕舞うと、いよいよ
レバーを下ろして出発。


気球が飛んでいるように見えるけど、実際にガスを膨らませアルコールランプを点火する仕組みじゃない。

電車、と言う事から電線と電力とモーターの力で動いているのだろうけど
どちらかと言うと、ジェットコースターの箱形がポツンとたたんずんでいるみたいでちょっぴり怖い。

下がレールだけの不安定感満載はあるけど、造りは

風の抵抗力で壊れないように、時速もゆっくり。
まぁ、中が風の抵抗力で壊れないようではあるけれど。
そうじゃなきゃ未だに観光地として成り立たないじゃない。

レール自体が短いから何だかんだでもう着いた。


浮遊感から地に足をつけた時の安心がまた、ひと息ついてしまう。

早速、古城アセリアルージュ跡へと足を運ぶ。


古城アセリアルージュ跡



跡と言うからには、壊れているイメージだけど
修復と補修を繰り返していて

大切に扱って来たんだなと思わせる。

さすがに、古びて修復が難しい箇所があるらしく
完全な形に近いとは言えないものの

当時を思わせるくらいには、修復が完了しているとの事。

そっと中に入ってみれば、玉座には立ち入り禁止のポールがある。


立ち入り禁止の玉座なのに、威厳を感じるのは
やはりそこに歴代の王達が座ってきていただろうか。


そんな私に後ろから声かけてきた人物がいる。

「君がここに居たなんて」

後ろをパッと振り返る。

「すまない、後ろからぶしつけだったな」
「カイン.ランパドール殿下」

私はカーテシーをする。

「ああ、頭を上げてくれ」

後ろから声が聞こえたのが殿下とは思っていなかったから少しびっくりした。


殿下が私の前まで歩を進め隣に立つ。

私がそうしたように玉座を見上げている。

「今日、なぜかこちらに行こうと思って君が居たのには少々びっくりはしたが」

ふっ、と一呼吸を起き
殿下の言葉の続きを待つ。

「この玉座を見ていると身を引き締まる想いがするな」

目を閉じて、また開く一瞬の瞬きの動作は

窓から洩れる光が

青色の髪の毛に光が降り注いでいるように
周りがキラキラ........

古城アセリアルージュが光って見えてるくらい

この人が玉座に座る瞬間を目にしたいと思ってしまった。


ハッ!エフェクトだわキラキラのエフェクト!
目の幻。心の中であの人の顔と声を思い浮かべて「どんだけ~☆」で打ち消す。

見とれてしまった。アブナイアブナイ。


「君はどうしてこちらに?」

殿下が私に向き直って問いかける。


「はい、私アセリアルージュ城を一目見たかったのです。
私の憧れなんです。お城が憧れなんて変だと言われますが私はいつかこのお城のように何事も動じないよう、そんな人物になりたい。
だからこのお城を見に来ました。」

「....なるほど。そのような考えはなかった」

目をぱちくりさせる殿下。

まぁ、そうでしょうね。どうせ
「大物になりたいのか」、とか「城のようにデフになるなよ」って笑ってからかわれて終わりよ。


「なれるかどうかは君次第だな、微力ながら応援させてくれ」


そうでしょう。そうでしょう。

ってえぇぇえっ!この人笑わなかった。


「ありがとうございます、殿下」


「......!あ、ああ......./////.....。」


私はつい、嬉しくて満面な笑みで笑った。










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
【3月中ーー完結!!】 私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 二十年の裏切りの果て、その事実だけを抱え、離縁状を置いて家を出た。 そこで待っていたのは、凍てつく絶望――。 けれど同時に、それは残酷な運命の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と縋られても、 死の淵を彷徨った私には、裏切ったあなたを許す力など残っていない。 「でも、子供たちの心だけは、 必ず取り戻す」 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔い、歪な愛でもいいと手を伸ばした彼女が辿り着いた先。 それは、「歪で、完全な幸福」か、それとも――。 これは、"石"に翻弄された者たちの、狂おしい物語。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

結婚式をボイコットした王女

椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。 しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。 ※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※ 1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。 1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)

愛はリンゴと同じ

turarin
恋愛
学園時代の同級生と結婚し、子供にも恵まれ幸せいっぱいの公爵夫人ナタリー。ところが、ある日夫が平民の少女をつれてきて、別邸に囲うと言う。 夫のナタリーへの愛は減らない。妾の少女メイリンへの愛が、一つ増えるだけだと言う。夫の愛は、まるでリンゴのように幾つもあって、皆に与えられるものなのだそうだ。 ナタリーのことは妻として大切にしてくれる夫。貴族の妻としては当然受け入れるべき。だが、辛くて仕方がない。ナタリーのリンゴは一つだけ。 幾つもあるなど考えられない。

処理中です...