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濡れるレッスン②

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「静かですね。皆さん、お出かけ中でしょうか?」
「ええ、今は私たちだけ。でなきゃ、楽しめないでしょ」衣湖さんは悪戯っぽく微笑む。

 部屋のドアを開けて、中に入るやいなや、彼女はキスを迫ってきた。もちろん、情熱的に応える。互いの身体をまさぐりながら、舌をからめる。

 初めて訪れた部屋の玄関口で事に及ぶのは、いかにも刺激的な展開である。いくら身体が熱くなっても、頭の中は冷静だ。僕は靴を脱ぎ捨てる前に、後ろ手でドアノブの鍵をロックした。

 もつれ合うように、上がりがまち横のダイニングキッチンに上がる。

 そういえば、キッチンテーブルの上で女性を押し倒す映画があったな。記憶の奥を探ってみる。『郵便配達は二度ベルを鳴らす』だったっけ。

 僕は小柄な衣湖さんを抱え上げ、キッチンテーブルの上に乗せる。ワンピースがふわりとめくれて、真っ白なショーツが露になった。

 開いた両脚の間に身体を入れて抱き合うと、ちょうど目線が同じ高さになる。ワンピースの上から水蜜桃を愛撫しながら、僕たちは唇を交わす。

 キスがお好きなことは、事前の聞き取り調査で承知している。彼女の体温が上がり、甘い体臭が香る。

 広い襟ぐりからブラの内側に右手を差し入れると、硬くなったチェリーが指先に触れた。キスをしながら、指先で摘んだり、こねたりしてみる。

 衣湖さんが悲鳴を上げて、僕の腕にしがみついてくる。弾みでキッチンテーブルがきしんだ。ヒヤリとした。古いテーブルではなさそうだけど、強度には不安がありそうだ。

「衣湖さん、万一、テーブルを壊してしまっては大変です。場所を移しましょうか」

 何と言っても、ここは彼女の友人の部屋なのだから。僕はお姫様だっこで衣湖さんを抱え上げ、隣のリビングルームに移る。

 目の前のソファは、ベッド代わりにするには小さすぎるようだ。ラブホテルと違って生活空間なのだから仕方がない。お姫様だっこのまま、他の部屋を見て回ったが、やはり、寝室でプレイをするのが無難だろう。

 遮光カーテンを閉め切った六畳の和室には、すでに敷き布団が敷かれていた。枕元にはティッシュボックスとタオル。すでに準備は整っている。

 僕は衣湖さんを畳の上に下ろし、改めて強く抱きしめる。キスをしながら、背中のファスナーをゆっくり下ろす。ワンピースの肩を抜いて足元に落とすと、衣湖さんの素肌が露になった。

 薄暗い部屋の中に、青白い肌が浮かび上がる。小柄で童顔の彼女には、純白のブラとショーツがよく似合う。僕は膝をついて、彼女の身体を見つめる。

「衣湖さん、とてもきれいです」

 そう言うと、恥じらって、胸を覆い隠してしまう。

 僕は素早くシャツと綿パンツを脱ぎ捨てた。ボクサーショーツの前はすでにふくらみかけている。
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