裸のプリンスⅣ【Ｒ１８】

悦楽のアクトレス④

　たちまち、勢いを取り戻したそれは、鋼の硬さで屹立してしまう。僕はスマホを裏返しにして、シーツの上においた。

「メイさん、まずいですよ。聞かれてもいいんですか？」
「いいよ。むしろ、聞かせてやろうよ。私たちがどれだけ楽しんでいるか」

　そう言って、尖らせた舌先で、バナナの先端を刺激する。あまり気乗りはしないが、メイさんはお客様だ。できるだけ御希望には沿わなければならない。

　メイさんが意識的に、オーラルセックスの音を立て始めた。僕はスマホを引っ繰り返した。もちろん、ピチャピチャという濡れた音を聞かせるために。背徳的な快感も相まって、僕も息を弾ませる。

「てめぇら、正気かよ！この淫乱が！ぜってぇ、ぶっ殺してやる」

　口汚くののしる声がスマホから上がった。ドラマの主役を張っていても、ボキャブリーの貧困さは相当深刻だ。

「それは無理だと思うな。Ｎさんのフニャ××じゃ、かよわい女の子も殺せない」

　メイさんはケタケタと笑った。

「メイさん、キツイですね。男心は傷つきやすいものですよ」

　僕はたしなめたけど、そんな口添えは逆に、Ｎさんの傷口に塩をねりこんだかも。意味不明の怒号が、１５００キロ以上離れた東京から飛んできた。

　Ｎさんが地団駄を踏んでいる場面が眼に浮かぶが、後ろめたさは少しも感じない。

　僕のお客様は、目の前にいるメイさんだ。彼女の意向に沿うことが僕の務めである。Ｎさんの怒鳴り声は続いていたが、僕はメイさんを抱き起こし、情熱的に唇を交わす。

　ベッドの上に倒れ込み、メイさんの身体を大胆に開いた。窓から差し込む陽光で、ザクロの潤みが艶やかに輝いている。

　前戯は不要だろう。僕は右手を軽く添えて、位置と角度を定める。もちろん、リップサービスで力強く屹立したバナナにことだ。

「ねぇ、うんとエネルギッシュに、お願い」

　メイさんが下から、僕の身体にしがみついてきた。熱い吐息が、僕の耳孔じこうをくすぐる。

「わかりました」

　僕はゆっくりと静かに腰を沈めていく。反り返ったバナナで、潤み切ったザクロをえぐる。素早く引いて、今度は奥底まで貫く。

「ああああっ」

　メイさんが甲高い悲鳴を放った。僕はＮさんの耳を意識しながら、腰を力強く使い始める。

　二度目のセックスのせいで、バナナとザクロはよく馴染んでいる。エネルギッシュという御要望なのだから、手加減や遠慮はいらない。