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推理ゲーム⑤
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「桐野さんはどのあたりで、リオナさんの役が千葉さなだって、わかったんですか?」
「小皿にのった くろ玉を見た時でしょうか。リオナさんはお墓参りの後、甲府の駅前で買ったんですよね?」
トップ女優は笑顔で頷く。
「店名は確か、澤田屋さんですね。5年前の今頃、常連客の方からお土産でもらったことがあります」
「えっ、ちょっと待ってください。5年前にもらったお菓子を思い出しただけで、ただそれだけで、千葉さなとつながったんですか?」
「黒くてユニークなお菓子だし、黒い包装紙も印象的だったでしょう」
「確かに、そうですけど……。桐野さん、記憶力がいいですね。以前、私が頼んだカクテルのことも完璧に覚えていたし」
「大したことじゃないです。バーテンダーなら、誰にだってできますよ」
いやいや、そうは思えない。
「リオナさんはどう思いますか? 桐野さんの記憶力」
「ミノリちゃん、その言い方は少し違うかな」
あ、ミノリさんから、ミノリちゃんになった。親しみがわいた気がして、ちょっとうれしい。
「記憶力がいいだけなら、山手線の駅名をスラスラ言えたり、円周率を延々と言えたりするのと変わらないでしょ。それはそれで、すごいと思うけど、桐野くんのスキルは一味違うのよ」
リオナさんは説明を続ける。
「桐野くんはね、一見無関係に見える点と点を直感的につないで、その背後に潜んだ意味や真実を見出すの。例えば、くろ玉と千葉さなをつなげるみたいにね。二つの間にあるはずの、5年前のお土産や、黒い包装紙、澤田屋、甲府駅、清運寺を一気に飛び越えちゃう」
なるほど、単なる記憶力ではないわけだ。
「とても頭の回転がいい、ということですか?」
「ベタな言い方をすれば、そういうことね。桐野くんって、昔から、断片的な情報から、隠された真相を推理するのが得意なんだよ。ちょっとした名探偵だよね」
そう言って、リオナさんは微笑んだ。女性の私でも、とろけてしまいそうな素敵な笑顔。もし、リオナさんのファンが見たら卒倒してしまうかも。
でも、桐野さんは苦笑を浮かべていた。
「僕はただのバーテンダーですし、ごくありふれた人間ですよ」
「何よ、桐野くん、私が珍しく褒めてあげたのに」
「ありがとうございます。でも、これって、誰もがもっているスキルだと思いますよ」
いやいや、そうは思えない。現に、私はもっていないし。
桐野さんのスキルは、何千何万という情報の大海原の中から、任意の情報とそれと関連する情報を瞬時に結びつけるらしい。つまり、人並外れて、直感力,洞察力,照合力に秀でているわけだ。
この能力は、【雪村カクテル】の謎を解明してレシピを読み解くには、うってつけといえる。
「小皿にのった くろ玉を見た時でしょうか。リオナさんはお墓参りの後、甲府の駅前で買ったんですよね?」
トップ女優は笑顔で頷く。
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「えっ、ちょっと待ってください。5年前にもらったお菓子を思い出しただけで、ただそれだけで、千葉さなとつながったんですか?」
「黒くてユニークなお菓子だし、黒い包装紙も印象的だったでしょう」
「確かに、そうですけど……。桐野さん、記憶力がいいですね。以前、私が頼んだカクテルのことも完璧に覚えていたし」
「大したことじゃないです。バーテンダーなら、誰にだってできますよ」
いやいや、そうは思えない。
「リオナさんはどう思いますか? 桐野さんの記憶力」
「ミノリちゃん、その言い方は少し違うかな」
あ、ミノリさんから、ミノリちゃんになった。親しみがわいた気がして、ちょっとうれしい。
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リオナさんは説明を続ける。
「桐野くんはね、一見無関係に見える点と点を直感的につないで、その背後に潜んだ意味や真実を見出すの。例えば、くろ玉と千葉さなをつなげるみたいにね。二つの間にあるはずの、5年前のお土産や、黒い包装紙、澤田屋、甲府駅、清運寺を一気に飛び越えちゃう」
なるほど、単なる記憶力ではないわけだ。
「とても頭の回転がいい、ということですか?」
「ベタな言い方をすれば、そういうことね。桐野くんって、昔から、断片的な情報から、隠された真相を推理するのが得意なんだよ。ちょっとした名探偵だよね」
そう言って、リオナさんは微笑んだ。女性の私でも、とろけてしまいそうな素敵な笑顔。もし、リオナさんのファンが見たら卒倒してしまうかも。
でも、桐野さんは苦笑を浮かべていた。
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「何よ、桐野くん、私が珍しく褒めてあげたのに」
「ありがとうございます。でも、これって、誰もがもっているスキルだと思いますよ」
いやいや、そうは思えない。現に、私はもっていないし。
桐野さんのスキルは、何千何万という情報の大海原の中から、任意の情報とそれと関連する情報を瞬時に結びつけるらしい。つまり、人並外れて、直感力,洞察力,照合力に秀でているわけだ。
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