夢みる乙女の5K仕事  ~ミルコのテレビ日記~

坂本 光陽

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エピローグ②

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 私の作業はこれでひと段落。あとの作業は水島Dに託した。
 カバさん宅の取材とスタジオ収録は無事完了し、『マニアの王様』のオンエア日になった。私は真希さんと並んでカップ麺をすすりながら、事務所のモニターで鑑賞した。

 レポーターの若手お笑いタレントが、カバさん宅を訪問する。庭付きの一軒屋なのだが、これが丸ごとコレクションの館。どの部屋を覗いても缶であふれている。トイレも風呂場も屋根裏部屋も缶、缶、缶の山だ。
 カバさんのとぼけたキャラクター。お笑いタレントの鋭いつっこみ。コレクション紹介はテンポよく進んでいく。

 続いて再現ドラマになった。カバさん似の俳優が、珍しい缶を求めて全国行脚を行い、しまいには外国にまで足を伸ばす。その徹底したこだわりをコミカルに見せていく。
 そしていよいよクライマックス。カバさんが帰国すると妻子が消えており、速達で送りつけられた離婚届け。後に残されたのは空き缶屋敷というわけさ。

 画面がスタジオに切り替わると、司会者とパネラーたちは大笑いだった。
 いつもは辛口の真希さんも笑いながら、
「最近マンネリ気味だったけど、いつもより数段面白かったよ」
 これで自信がついた。私もやっと一人前かな。

「おいリサーチ、誰か手伝ってくれっ!」
 野太い声に振り向くと、毒島Dが巨体をゆすりながらやってくる。

「はい、何ですか!」と、元気よく手を上げる私。
 毒島Dは一瞬、こいつに任せて大丈夫か、といった表情をつくったが、
「サラリーマンの人出しだ。20代のサラリーマンで、自分の仕事に自信満々なのに、上司から認められず、強い不平不満を抱いている奴」

 ふんふん、いるよね、そんな奴。
「しかも、誰も俺を評価しないと飲み屋で愚痴をこぼし、先に出世した同僚の悪口をいうわ、ケンカをふっかけるわ、なのに気が小さいので、叱られたり注意されたりすると無断欠勤を繰り返す、といったダメ社員」

 ちょっと待った。面白そうだけど、どうやって捜す、そんな奴。
「至急、そんな奴を捜してくれ。今週中に五人以上。じゃ頼んだぜ」
 言うだけ言うと、さっさと立ち去る毒島D。

 その大きな背中を見ながら青くなる私。ちょっと待った。お手上げだ。頭を抱えて、真希さんを振り向く。あの、どうしましょうか。
 首を振って、大きくため息をつく先輩。

 すいません。私はまだまだ半人前でしたね。


                   了
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