テレビハラスメント

坂本 光陽

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困ったクレーマーさん①

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 テレビというメディアは、困った人たちを惹きつけるフェロモンを発しています。特にタレントや女子アナは、本人の意志とは全く無関係に、彼らの歪んだ愛情もしくは理不尽な恨みに悩まされることになります。

 僕がお世話になっていた制作会社には、ある女性タレントが所属しています。彼女は今でもテレビやラジオで活躍していますが、以前は報道番組でキャスターを務めていました。

 当時、彼女に対するクレーム電話をかけてくる男性がいました。彼は休学中の大学生で、成績は優秀(自己申告)らしいのですが、常識的なマナーに欠けていて、コミュニケーションのとり方が苦手といったタイプです。彼は平日の昼間に連絡してきて、延々とヒステリックにまくしたてました。

 その内容は、女性キャスターのコメントが間違っているとか、彼女は勉強不足だとか、クレームというより難癖そのものでした。こちらとしては、ただ聞いているだけですが、30分以上にも及ぶ話の長さには閉口しました。

 明らかな営業妨害です。そこで、制作会社の弁護士の出番となりました。彼が電話で長々と話す内容を録音して、法的処置に出たのです。おかげ様で、僕は彼のクレーム定期便から解放されました。
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