テレビハラスメント

坂本 光陽

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男と女の事情②

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 ドラマ制作は常に、過密スケジュールで進行しています。そのため、主演俳優が急病になった場合など、突発的なトラブルが発生して、深夜に急遽きゅうきょ呼び出されることがあるのです。

 女性脚本家はDから、トラブル発生の連絡を受けて、すぐにタクシーを呼んで飛び乗りました。俳優の出演シーンをカットするアイデアなどを考えながら、深夜の会議室に駆けつけたのです。

 しかし、会議室にD以外のスタッフの姿はありません。トラブル回避のアイデアを求められると思っていたのに、求められていたのは彼女自身の身体だった、というわけです。

 もし拒否すれば、そのドラマの仕事を失うかもありません。新人であれば、まず断れない状況でしょう。しかし、彼女は笑顔で軽くあしらうと、毅然きぜんと席を立ちました。

「スケベ野郎から逃げるのは、ホステスの頃から慣れているしさ。ただ、自慢の脚をなでられたんだよね。お触り代をとれなかったのがちょっと悔しい」

 彼女はその後、ヒット作を連発し、今でも業界で奮闘しています。

 でも、Dの誘いを拒否できない脚本家の卵たちがいることは、容易に想像がつきます。彼女たちの納得づくの関係であり、ギブ・アンド・テイクの形になるならばまだしも、許せないのは「次の仕事を回すから」といった空手形からてがたを使われることです。そんなものが支払われた話を、僕は聞いたことがありません。

 業界には、恥知らずが数多く生息しています。モラルにルーズな業界であることをいいことに、立場的なうまみを得ることだけは熱心なのです。
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