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「い、彩世先輩…」
「あーー!見つけた!いろ!!」
彩世は中庭に入ってくると、駆け寄ってきた夏希の肩を掴んで那月を隠すように自分が2人の間に入った。
「見つけたじゃないだろ…、なんでここにいるんだよ!どうやって入った!?それに学校は…」
「もー!何怒ってんの?ちょっと抜けてきただけだよ?いろに会いたくて遊びに来ちゃった」
「…っお前、勝手に入ってきて学校の人にバレたら問題だぞ」
「えー?でもいろはチクるなんてことしないでしょ?そこの那月君にも黙っててってお願いしたし。ねー?」
「!!あ、は、はい…」
慌てて返事をした那月を見て、彩世は状況を理解したのか「はぁー」と困ったようにため息をつく。
「お前、ナツくん巻き込むなよ…。とにかく誰かに見つからないうちに早く出ろ」
「ええ!?せっかく来たのに?一緒にサボろうよ」
「バカ言うな。早く学校に戻れ」
「…ちぇー、つまんないな。家来てくれないからわざわざ学校まで会いに来たのに」
夏希は彩世の肩越しから、こちらの様子を伺っている那月をジロっと睨んだ。那月もそれに気付き、ぐっと唇を噛む。
「あの子と名前で呼び合う仲なんだねー?男の人が怖いって言ってたのに、いろは特別なの?それとも注意を引きたいのかな?」
「えっ…」
「夏希!!違う、もういいから早く行け。じゃないと本当に…」
「わーかったって!!また連絡するからね?」
夏希は睨みを効かせたり、彩世に対してはニコニコと可愛い笑顔を見せたりと表情をコロコロ変える。しかし彩世が本気で怒りそうと思ったのか、大人しく言われた通り裏の校門へと歩み出した。
「じゃあねー、那月くん」
那月に向かってひらひらと手を振り、去っていった夏希。でもそれは最初と比べると友好的なものではなく、何となく挑発のようなものに見えた。
「…ナツくん、ごめんね。大丈夫だった?あいつに何かされた?」
彩世は夏希が出ていったことを見届けてから、気まずそうに那月の方を向いた。
「あ、い、いえ…、ただ喋ってただけ、です…」
「ほんと?何言われた?」
「えっと…、せ、先輩は俺のものだから、仲良くしないでって…」
「…っはぁ、なるほどね」
彩世はくしゃくしゃと前髪を掻き上げ、またため息をついた。やっぱり、あの時那月が見た表情と同じ。勘弁してくれと言わんばかりの顔だ。
一一一また先輩、元気なくなってる。夏希さんとやっぱり何かあるのかな。
「あいつ、ちょっと情緒が激しい所があって…俺と小さい頃から付き合いがあるから、結構独占欲があるっていうか…、特に深い意味はないから気にしないで」
「あ、は、はい…」
一一一夏希さんにああ言われた時はびっくりしたけど…、幼なじみだから先輩に対して独占欲があるってことなんだ。そっか、仲良い人を他の人にとられたら嫌だって思うよね…。
一一一あ、でも僕はとる程の関係じゃなくて「居合わせるだけの関係」なんだっけ…。チクチクする…、僕はやっぱり…。
「ナツくん?大丈夫?」
「!は、は、はい!!あっ…あの、先輩」
「ん?」
さっき夏希に言われたことが、那月の頭の中に相当響いている。それにずっと胸が引っかかる。
思い切って那月は言葉を絞り出した。
「…っぼ、僕は居合わせるだけの関係は!ちょっと嫌だって…思いました」
「え…?」
「さ、最初はそうだったけど…先輩にとっては、い、今もそうかもしれないですけど、ど、どうしたら、僕は、その…居合わせるだけの関係以上になれますか、?」
彩世は那月の言葉を聞いて、ポカンと口を開けて驚いている。想定外すぎて言葉を失っているようだ。
「…せ、先輩?」
「ああ!!ご、ごめん…、あの、それはどういう意味で…?」
「え、あっ…、た、たぶん僕は…その…」
「う、うん」
「こうやって先輩と会うようになって…せ、先輩のこと、知るようになって…一緒に過ごして」
「うん…」
「え、えっと…その…」
「う、うん…」
彩世の喉がゴクッと唾を飲み上下に動く。
2人は、きっと全く違う意味で心臓をバクバクと鼓動させているのだろう。
「……っ僕、先輩と」
「…っえ、う、うん」
「も、もっと、仲良くなりたいって…思いました!!」
「…へ?」
「あ、!図々しくてすみません!!その、でもただ居合わせる関係って、なんか嫌で…僕は先輩のこともっと知りたいし、せ、先輩といたら嬉しくなって…だから、その、なんて言うかおこがましいですけど!先輩と、な、仲良く、お、お、お友達になりたいんだって、気付いて…!」
「………」
「せ、先輩??」
「あーー!見つけた!いろ!!」
彩世は中庭に入ってくると、駆け寄ってきた夏希の肩を掴んで那月を隠すように自分が2人の間に入った。
「見つけたじゃないだろ…、なんでここにいるんだよ!どうやって入った!?それに学校は…」
「もー!何怒ってんの?ちょっと抜けてきただけだよ?いろに会いたくて遊びに来ちゃった」
「…っお前、勝手に入ってきて学校の人にバレたら問題だぞ」
「えー?でもいろはチクるなんてことしないでしょ?そこの那月君にも黙っててってお願いしたし。ねー?」
「!!あ、は、はい…」
慌てて返事をした那月を見て、彩世は状況を理解したのか「はぁー」と困ったようにため息をつく。
「お前、ナツくん巻き込むなよ…。とにかく誰かに見つからないうちに早く出ろ」
「ええ!?せっかく来たのに?一緒にサボろうよ」
「バカ言うな。早く学校に戻れ」
「…ちぇー、つまんないな。家来てくれないからわざわざ学校まで会いに来たのに」
夏希は彩世の肩越しから、こちらの様子を伺っている那月をジロっと睨んだ。那月もそれに気付き、ぐっと唇を噛む。
「あの子と名前で呼び合う仲なんだねー?男の人が怖いって言ってたのに、いろは特別なの?それとも注意を引きたいのかな?」
「えっ…」
「夏希!!違う、もういいから早く行け。じゃないと本当に…」
「わーかったって!!また連絡するからね?」
夏希は睨みを効かせたり、彩世に対してはニコニコと可愛い笑顔を見せたりと表情をコロコロ変える。しかし彩世が本気で怒りそうと思ったのか、大人しく言われた通り裏の校門へと歩み出した。
「じゃあねー、那月くん」
那月に向かってひらひらと手を振り、去っていった夏希。でもそれは最初と比べると友好的なものではなく、何となく挑発のようなものに見えた。
「…ナツくん、ごめんね。大丈夫だった?あいつに何かされた?」
彩世は夏希が出ていったことを見届けてから、気まずそうに那月の方を向いた。
「あ、い、いえ…、ただ喋ってただけ、です…」
「ほんと?何言われた?」
「えっと…、せ、先輩は俺のものだから、仲良くしないでって…」
「…っはぁ、なるほどね」
彩世はくしゃくしゃと前髪を掻き上げ、またため息をついた。やっぱり、あの時那月が見た表情と同じ。勘弁してくれと言わんばかりの顔だ。
一一一また先輩、元気なくなってる。夏希さんとやっぱり何かあるのかな。
「あいつ、ちょっと情緒が激しい所があって…俺と小さい頃から付き合いがあるから、結構独占欲があるっていうか…、特に深い意味はないから気にしないで」
「あ、は、はい…」
一一一夏希さんにああ言われた時はびっくりしたけど…、幼なじみだから先輩に対して独占欲があるってことなんだ。そっか、仲良い人を他の人にとられたら嫌だって思うよね…。
一一一あ、でも僕はとる程の関係じゃなくて「居合わせるだけの関係」なんだっけ…。チクチクする…、僕はやっぱり…。
「ナツくん?大丈夫?」
「!は、は、はい!!あっ…あの、先輩」
「ん?」
さっき夏希に言われたことが、那月の頭の中に相当響いている。それにずっと胸が引っかかる。
思い切って那月は言葉を絞り出した。
「…っぼ、僕は居合わせるだけの関係は!ちょっと嫌だって…思いました」
「え…?」
「さ、最初はそうだったけど…先輩にとっては、い、今もそうかもしれないですけど、ど、どうしたら、僕は、その…居合わせるだけの関係以上になれますか、?」
彩世は那月の言葉を聞いて、ポカンと口を開けて驚いている。想定外すぎて言葉を失っているようだ。
「…せ、先輩?」
「ああ!!ご、ごめん…、あの、それはどういう意味で…?」
「え、あっ…、た、たぶん僕は…その…」
「う、うん」
「こうやって先輩と会うようになって…せ、先輩のこと、知るようになって…一緒に過ごして」
「うん…」
「え、えっと…その…」
「う、うん…」
彩世の喉がゴクッと唾を飲み上下に動く。
2人は、きっと全く違う意味で心臓をバクバクと鼓動させているのだろう。
「……っ僕、先輩と」
「…っえ、う、うん」
「も、もっと、仲良くなりたいって…思いました!!」
「…へ?」
「あ、!図々しくてすみません!!その、でもただ居合わせる関係って、なんか嫌で…僕は先輩のこともっと知りたいし、せ、先輩といたら嬉しくなって…だから、その、なんて言うかおこがましいですけど!先輩と、な、仲良く、お、お、お友達になりたいんだって、気付いて…!」
「………」
「せ、先輩??」
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