早く惚れてよ、怖がりナツ

ぱんなこった。

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あれ?

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一一一あれ?先輩、固まっちゃった。やっぱり図々しかったかな…。

「あ、あの、先輩………?」
「……!!あっ、ごめん。ボーッとしちゃってた……」
「い、いえ……、あの、すみません。きゅ、急に変なこと言って……」
「えっ」
「先輩が優しいからって、馴れ馴れしいことを……」
「ち、違うよ!違う!馴れ馴れしいとか思ってないし、ただびっくりしただけ……」
「…っえ、ほ、ほんとですか?」
「う、うん…ほんとびっくりした」

彩世は崩れるようにしゃがみ込んで顔を伏せた。那月はそこまで驚かせてしまったのかと思い、慌てて自分も彩世の目線にに合わせてしゃがみ込む。

「あっ、あの!だ、大丈夫ですかっ……?」

少し離れた距離で脱力する彩世に対して狼狽える那月。すると、彩世は伏せていた目元を少し出して那月をじっと見つめる。

「えっ…、あの、彩世先輩……?」

彩世の瞳には、眉を下げて心配そうな顔で見つめてくる那月が映っている。そしてそのまま見つめた後、彩世は嬉しそうに微笑んだ。

「本当、びっくりするくらい変わったね。ナツくん」
「え……」
「あんなに俺を怖がってた子とは思えない。今もこんなに目合わせてくれるし、友達になりたいなんて言ってくれてさ」
「あ…そ、それは、」
「俺のおかげじゃないよ。ナツくんが頑張ったからだよ」
「……っ先輩」

彩世はゆっくり立ち上がり伸びをすると、那月に向かってまた優しく微笑む。

「はぁー、ナツくんのおかげでちょっと元気出たわ」
「え!?ぼ、僕は…何も…」
「てかさ、俺はナツくんのこと前から居合わせるだけの関係なんて思ってないし」
「……えっ」
「友達…っていうか、ゴホンッ、な、仲良い関係って思ってるよ」
「本当ですか……!」
「うん、だから心配しなくても大丈夫だから。あ、よかったら連絡先交換する?」
「!!ええええっ、い、いいんですか…!」
「うん。その方がもっと仲良くなると思う。困ったことあったら全然連絡してきていいし」
「は、はい……!ありがとうございます!」

ーーーま、まさか先輩と連絡先を交換できるなんて……!思わぬことになった…!嬉しい、嬉しいんだけど、まだやっぱり緊張する……!!

「はい、オッケー。これ俺ね」
「……っわ、わぁ。男の人と連絡先交換したの、初めてです…」
「えっマジで?」
「あ、えっと、学校の連絡網とかはあったんですが…、中学の時も僕が男の人を怖がってしまうせいで周りとは馴染めなかったので男友達なんていなくて…個人的に連絡先は交換したことなかったんです」
「そうだったんだ…」
「な、なので、感動というか…嬉しいです!ありがとうございます!」
「ふふ…いえいえ。じゃあ俺先戻るね。また」
「は、はい!で、では…!」

彩世が中庭を出て行った後、しばらく那月は携帯に残っている彩世の名前を見ながらニヤニヤが止まらなかった。

「わぁ…ふふふっ」

どういう気持ちで嬉しいのか本人はまだ分からないまま。

「……はぁ、何これ」

そして一方の彩世は、顔を赤く染めていることに気付かないまま自分の気持ちに戸惑っているようだった。
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