47 / 94
4
不思議
しおりを挟む
その日の夜、那月は1人ベットの上で寝転がりながら携帯を見つめていた。画面に映る彩世の名前を見て、ニコニコと笑みがこぼれ続ける。
「…すごい、まさか先輩と連絡先を交換するなんて」
一一一今日、夏希さんと会ったり先輩にあんなこと言ったり…色々あったな。今までの自分だったら、男の人とこんなに関わってるの考えられなかった。本当に恐怖心が減ってきてるのかも。
一一一彩世先輩は僕が頑張ったからだって言ってくれたけど、でもやっぱり…
「あ…」
“いろは俺のだから”
“あんまり仲良くしないでくれる?”
今日のことを思い返した時、あの夏希に言われたことが頭に浮かんだ。なんせ人生で初めて言われた言葉で、あの時は意味もよく分からなかった。今思えば彩世が言っていた通り仲のいい幼なじみを盗られたくない独占欲の現れというのは間違いないだろう。
でも、那月は考えれば考えるほどそれだけではない気がしてきている。
彩世は気にしなくていいと言っていたが、那月はあの言葉と夏希の強い目線が忘れられず、何となく思い出してはモヤモヤしていた。
「んー…考えすぎかな。でもそういえば、初めて見た時も先輩と手握ってた…よな。恋人みたいに…あれは一体…」
一一一あれ?なんか、今また胸がチクッてしたような…。
ヴーヴー
「!!わっ、びっくりした…。メッセージ?明衣かな…」
突然振動した携帯の画面を開くと、明衣ではなく彩世からメッセージが届いていた。
「ち、違う!先輩からだ…!!」
慌てて中身を見てみると、そこには一言「今日はありがとう。おやすみ」と書かれている。
「…ふふ。なんだろう、会ってないのに今も先輩と一緒にいるような感じがするな」
嬉しそうにそのメッセージに「こちらこそ感謝致します。おやすみなさい。良い夢を」と返信した那月。満足気な顔で布団の中に潜り込み、その日はすんなり目を閉じることができた。
一方、その頃。
同時刻。彩世も部屋で1人、ベッドに座り携帯を開いていた。那月からすぐに送られてきた返信を見て、思わず吹き出している。
「ぶはっ…!なにこの丁寧すぎる文…。しかも良い夢をって!初めて言われた」
肩を揺らして細かく笑い、そのメッセージを見ながらベッドに寝転ぶ。
「はー…、ナツくんらしいな。ほんと面白い」
ヴーーヴーー
「…っ!」
その時、鳴り出した音と共にそのメッセージ画面は消え着信画面へと変わった。【夏希】と表示されている名前を見て彩世の表情は一気に険しいものになる。
「…はい、もしもし」
「あ!出てくれた~、起きてる?」
「うん。なに?用件は」
「いや、あのねー今日は急に会いに行ってごめんって謝りたくて」
「ああ…、いいけどもうやめろよ。学校にバレても問題になるし、お前も抜け出してきたら叱られ…」
「それでさ!今日中庭で会った…那月くんだっけ?あの子とどういう関係なの?」
「は?なんだよ急に…」
「那月くん、男が苦手で怖いって言ってたのに彩世には違ったから~特別な関係なのかなって思ってさ」
「…そんなんじゃない。ただの先輩後輩ってだけ」
「ふーん…それだけだよね?俺の方が大事だよね?」
「お前、わざわざそんなこと聞きに電話したのか?またからかってるなら切る…」
「…っは!?そんなことじゃない!大事なことだよ!!いろが誰かに盗られたら…いろが俺のものじゃなくなったら、また俺は1人になるんだよ!?誰にも理解されずに、苦しいだけの毎日になるんだから!!」
「おい、なつ…!」
「友達にも、先生にも、親にも気持ち悪がられて…!煙たがられて!本当に俺を理解してくれる人なんて他にいない!!俺には、いろしかいない…」
「……っ」
「いろがいないと、生きていけないよ…っ、だから俺だけのものでいて…。他の子のことなんか考えないでよ…」
「なつ…」
その電話はものの数分だったが、彩世には何時間も経っているように感じた。泣いてしまった夏希を何とかなだめ眠るように促す。泣き疲れたのか、夏希は電話の向こうですぐに眠りについたようだった。
「はぁ…」
どうしようも出来ない、行き場のない焦燥感が彩世を襲う。通話を切ってからしばらく眠ることが出来なかった。
「このままじゃダメだよな…、なんで俺は…」
“彩世君って誰にでも優しいじゃん”
“その優しさって残酷だよね”
“実は優しすぎてつまんなかったの。だから浮気しただけ”
「寝れねー…」
「…すごい、まさか先輩と連絡先を交換するなんて」
一一一今日、夏希さんと会ったり先輩にあんなこと言ったり…色々あったな。今までの自分だったら、男の人とこんなに関わってるの考えられなかった。本当に恐怖心が減ってきてるのかも。
一一一彩世先輩は僕が頑張ったからだって言ってくれたけど、でもやっぱり…
「あ…」
“いろは俺のだから”
“あんまり仲良くしないでくれる?”
今日のことを思い返した時、あの夏希に言われたことが頭に浮かんだ。なんせ人生で初めて言われた言葉で、あの時は意味もよく分からなかった。今思えば彩世が言っていた通り仲のいい幼なじみを盗られたくない独占欲の現れというのは間違いないだろう。
でも、那月は考えれば考えるほどそれだけではない気がしてきている。
彩世は気にしなくていいと言っていたが、那月はあの言葉と夏希の強い目線が忘れられず、何となく思い出してはモヤモヤしていた。
「んー…考えすぎかな。でもそういえば、初めて見た時も先輩と手握ってた…よな。恋人みたいに…あれは一体…」
一一一あれ?なんか、今また胸がチクッてしたような…。
ヴーヴー
「!!わっ、びっくりした…。メッセージ?明衣かな…」
突然振動した携帯の画面を開くと、明衣ではなく彩世からメッセージが届いていた。
「ち、違う!先輩からだ…!!」
慌てて中身を見てみると、そこには一言「今日はありがとう。おやすみ」と書かれている。
「…ふふ。なんだろう、会ってないのに今も先輩と一緒にいるような感じがするな」
嬉しそうにそのメッセージに「こちらこそ感謝致します。おやすみなさい。良い夢を」と返信した那月。満足気な顔で布団の中に潜り込み、その日はすんなり目を閉じることができた。
一方、その頃。
同時刻。彩世も部屋で1人、ベッドに座り携帯を開いていた。那月からすぐに送られてきた返信を見て、思わず吹き出している。
「ぶはっ…!なにこの丁寧すぎる文…。しかも良い夢をって!初めて言われた」
肩を揺らして細かく笑い、そのメッセージを見ながらベッドに寝転ぶ。
「はー…、ナツくんらしいな。ほんと面白い」
ヴーーヴーー
「…っ!」
その時、鳴り出した音と共にそのメッセージ画面は消え着信画面へと変わった。【夏希】と表示されている名前を見て彩世の表情は一気に険しいものになる。
「…はい、もしもし」
「あ!出てくれた~、起きてる?」
「うん。なに?用件は」
「いや、あのねー今日は急に会いに行ってごめんって謝りたくて」
「ああ…、いいけどもうやめろよ。学校にバレても問題になるし、お前も抜け出してきたら叱られ…」
「それでさ!今日中庭で会った…那月くんだっけ?あの子とどういう関係なの?」
「は?なんだよ急に…」
「那月くん、男が苦手で怖いって言ってたのに彩世には違ったから~特別な関係なのかなって思ってさ」
「…そんなんじゃない。ただの先輩後輩ってだけ」
「ふーん…それだけだよね?俺の方が大事だよね?」
「お前、わざわざそんなこと聞きに電話したのか?またからかってるなら切る…」
「…っは!?そんなことじゃない!大事なことだよ!!いろが誰かに盗られたら…いろが俺のものじゃなくなったら、また俺は1人になるんだよ!?誰にも理解されずに、苦しいだけの毎日になるんだから!!」
「おい、なつ…!」
「友達にも、先生にも、親にも気持ち悪がられて…!煙たがられて!本当に俺を理解してくれる人なんて他にいない!!俺には、いろしかいない…」
「……っ」
「いろがいないと、生きていけないよ…っ、だから俺だけのものでいて…。他の子のことなんか考えないでよ…」
「なつ…」
その電話はものの数分だったが、彩世には何時間も経っているように感じた。泣いてしまった夏希を何とかなだめ眠るように促す。泣き疲れたのか、夏希は電話の向こうですぐに眠りについたようだった。
「はぁ…」
どうしようも出来ない、行き場のない焦燥感が彩世を襲う。通話を切ってからしばらく眠ることが出来なかった。
「このままじゃダメだよな…、なんで俺は…」
“彩世君って誰にでも優しいじゃん”
“その優しさって残酷だよね”
“実は優しすぎてつまんなかったの。だから浮気しただけ”
「寝れねー…」
0
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
ある日、人気俳優の弟になりました。2
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。
平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる