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理由
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保健室へ辿り着き、相野は那月を支えながらベッドへ寝かせる。中には誰もいないらしく、扉の札を見ると「先生不在。すぐ戻ります」と書いてあった。
「篠井くん、保健の先生いないみたいだから戻ってくるまで待っててね」
「…うん、あ、りがと」
「先生待ってる間に先に熱測っちゃおうか…、あと冷えピタもおでこに貼っておこう」
相野は冷蔵庫を漁り冷えピタを出し、体温計を持って那月に近付く。
「相野くん、あ、あとは、自分でやるから…だ、いじょうぶ…」
「大丈夫じゃないでしょ。いいから」
真っ赤な顔をしている那月の額に冷えピタを優しく貼り、体温計をくわえさせる相野。額がひんやりしたおかげで、少し那月の頭痛が和らいでいく。
一一一ああ、これ完全に熱だ…。でも喉も痛くないし鼻水も出ないのに…風邪じゃないのかな。最近色々あったからもしかして知恵熱ってやつ…?
「うーんと、38.2度。結構高いね。今日は帰った方がいいかもよ」
「……ん、」
「荷物持ってこようか?先生にも伝えてくるよ」
一一一相野くん優しいな…。なんで僕にこんな…。
「…相野くん、は、僕を変に…思わない、の?」
「え?変って?」
「だっ、て…。僕、男の人と、普通に、できないし…」
「男の人…?人見知りだから?」
普段ならこんなことを話そうとはしないはずだが、熱のせいもあり那月は思考を朦朧とさせながら思ったことをぽそぽそと呟く。相野はベッドの横で椅子に座り、そんな那月の顔を覗き込んだ。
「…人見知り、もだけど、僕は…、お、男の人が、怖くて…ずっと普通に、話せなくて…」
「え…」
「小学生、の時に…ちょっと色々あって…それで、トラウマ…男の人を怖がっちゃって、う、まく…話せな…」
「そうなの…?だから真田さん以外の人と話す時は、ビクビクしてたの?俺と話した時も…」
「う、ん…。だから、なんで相野くん、は…こんな僕に、優しく話しかけて、くれたのかな…って、」
相野は那月の掠れた声を聞きながら、神妙な面持ちで俯いた。薄れてく視界の中で那月はそれを見ていたが、なんでそんな顔をしているかは聞けなかった。
「…俺は、篠井くんとずっと話してみたくてさ。何となく、人見知りなのかなって思ってたけど…行動とか見てたらきっといい子なんだろうって思ったから、気になってたんだ」
「…え、」
「だから、変だとか思ってないよ。男が怖いのは知らなかったけど…だったら余計に今までビクついてたのも理由が分かるしさ。それ関係なく仲良くしたいよ」
「…相野、くん」
「それに慣れるまで怖がられても気にしないし、俺でよかったら頼って。せっかくクラスメイトになれたんだからさ」
相野はそう言って元気のいい笑顔を見せる。那月はそれが嬉しくなり、ホッとして潤んだ目で微笑んだ。
「…あり、がとう」
「……うん」
そして那月は安心したことで緊張が切れ、重たかった瞼を閉じ眠ってしまった。今までの緊張や環境の変化で疲れが溜まっていたのだろう。
「……篠井くん」
そんな那月の寝顔を見た相野はごくりと喉を鳴らす。長いまつ毛と薄く開いた唇をじっと見つめ、その赤い頬にゆっくり手を伸ばした。
ガラッ
「!!」
しかし、タイミングよく扉の開く音が聞こえビクッと体を揺らし手を引っ込める。保健の先生が戻ってきたようだ。
「あ!あれー?君達どうかした?」
「…っ先生!えっと、1年2組の相野です。クラスメイトが熱あるみたいで連れてきて…38度あったんで帰った方がよさそうです」
「あらら!ほんと!ありがとねー、本当だ。寝てるけど顔も真っ赤で呼吸も荒いね。君担任の先生に伝えてきてもらえる?」
「あ、はい。ついでに篠井くんの荷物も持ってきます」
「ありがとね~」
先生にそう告げると、相野は保健室を出て走り出した。静かな廊下に響く足音と自分の鼓動を抑えながら、何かを振り切るように。
「…っは、はぁ、くそ、」
「篠井くん、保健の先生いないみたいだから戻ってくるまで待っててね」
「…うん、あ、りがと」
「先生待ってる間に先に熱測っちゃおうか…、あと冷えピタもおでこに貼っておこう」
相野は冷蔵庫を漁り冷えピタを出し、体温計を持って那月に近付く。
「相野くん、あ、あとは、自分でやるから…だ、いじょうぶ…」
「大丈夫じゃないでしょ。いいから」
真っ赤な顔をしている那月の額に冷えピタを優しく貼り、体温計をくわえさせる相野。額がひんやりしたおかげで、少し那月の頭痛が和らいでいく。
一一一ああ、これ完全に熱だ…。でも喉も痛くないし鼻水も出ないのに…風邪じゃないのかな。最近色々あったからもしかして知恵熱ってやつ…?
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「……ん、」
「荷物持ってこようか?先生にも伝えてくるよ」
一一一相野くん優しいな…。なんで僕にこんな…。
「…相野くん、は、僕を変に…思わない、の?」
「え?変って?」
「だっ、て…。僕、男の人と、普通に、できないし…」
「男の人…?人見知りだから?」
普段ならこんなことを話そうとはしないはずだが、熱のせいもあり那月は思考を朦朧とさせながら思ったことをぽそぽそと呟く。相野はベッドの横で椅子に座り、そんな那月の顔を覗き込んだ。
「…人見知り、もだけど、僕は…、お、男の人が、怖くて…ずっと普通に、話せなくて…」
「え…」
「小学生、の時に…ちょっと色々あって…それで、トラウマ…男の人を怖がっちゃって、う、まく…話せな…」
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相野は那月の掠れた声を聞きながら、神妙な面持ちで俯いた。薄れてく視界の中で那月はそれを見ていたが、なんでそんな顔をしているかは聞けなかった。
「…俺は、篠井くんとずっと話してみたくてさ。何となく、人見知りなのかなって思ってたけど…行動とか見てたらきっといい子なんだろうって思ったから、気になってたんだ」
「…え、」
「だから、変だとか思ってないよ。男が怖いのは知らなかったけど…だったら余計に今までビクついてたのも理由が分かるしさ。それ関係なく仲良くしたいよ」
「…相野、くん」
「それに慣れるまで怖がられても気にしないし、俺でよかったら頼って。せっかくクラスメイトになれたんだからさ」
相野はそう言って元気のいい笑顔を見せる。那月はそれが嬉しくなり、ホッとして潤んだ目で微笑んだ。
「…あり、がとう」
「……うん」
そして那月は安心したことで緊張が切れ、重たかった瞼を閉じ眠ってしまった。今までの緊張や環境の変化で疲れが溜まっていたのだろう。
「……篠井くん」
そんな那月の寝顔を見た相野はごくりと喉を鳴らす。長いまつ毛と薄く開いた唇をじっと見つめ、その赤い頬にゆっくり手を伸ばした。
ガラッ
「!!」
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