早く惚れてよ、怖がりナツ

ぱんなこった。

文字の大きさ
54 / 94
5

突然の異変

しおりを挟む
あれから那月は弁当を何とか食べ終え、教室へと戻った。彩世にメッセージを送ろうかとも考え携帯を開いたが、文字を打って消しての繰り返しで言葉がまとまらない。そうこうしているうちに昼休みは終わり、午後の授業に突入してしまった。

一一一はぁ、一体僕はどうしちゃったんだ…。

「……ん?」

そして教科書とノートを開いている時、ふと斜め前から視線を感じ目線を上げる。

「!!」

視線を感じた方を見るとやはり。那月の斜め前の席にいる相野が頬杖をつきながらこちらを見ていた。目が合った那月はパチパチと瞬きを繰り返し、目線を机に戻す。

一一一な、なんだろう。相野くんめちゃくちゃこっちを見てるような…。僕を見てる訳じゃないのかな。でも今思い切り目が合ったし…。

もう一度ゆっくり顔を上げると、相野はもう前を向いているようだった。

一一一初めて会話をしてから、なぜか相野くんが視界によく入る…。あんな風に話しかけてもらったから、僕も気になってるのかな…。

その時、突然那月の携帯の画面がポケットで振動し始めた。先生がほか事をしている隙に恐る恐る携帯を取り出してみると、彩世からメッセージが届いているようだ。そこには「さっきはごめんね」とだけ書かれている。

一一一先輩…僕が悩んでる間に…。もしかしてずっと心配してくれたのかな。ていうか、どうしよう。さっきの光景を鮮明に思い出しちゃった…先輩にあーんをした時の…。

彩世に卵焼きを食べさせた時のことを思い出し、那月の顔はまた熱く火照る。ドクドクと鼓動も鳴り止まず、少し身震いもある。

一一一あ、あれ?なんかおかしい…。体が…なんだろう。さっきとは違う、明らかに変だ…。

「じゃあこのページを…篠井くん!お願いします」
「……へ」
「ってあれ?篠井くん?大丈夫?」

そして偶然先生に当てられた那月だが、なぜか頭がボーッとして視界もモヤがかかったみたいに見えづらい。ただ単にさっきのことを思い出しただけではないと感じるほどの異変。

「だ、大丈夫です……」
「うわ!顔赤いよ?もしかして熱ある?」
「えっ…」

先生のその言葉を聞いて、那月は自分のおでこに手を当てる。すると想像以上に熱く、頬も同じ体温になっていた。

一一一確かに顔が熱いだけじゃなくて、少し寒さもある…。頭もボーっとするしちょっと痛い。熱なのかな…。

「…す、すみません。あの、ほ、保健室に行っても、いいですか…」
「やっぱり!大丈夫?全然行っておいで。えーっと、じゃあ心配だし誰かに付いてってもらおう。誰か…」

先生がそう言って辺りを見回した時、明衣が即座に手を挙げて声を出そうとした。だがそれは発する前に他の生徒によって抑えられてしまった。

「先生!俺今日、日直だし連れて行きます」
「なっ…」

すぐにそう言って手を挙げたのは相野だ。周りは少しザワつき、接点の無さそうな2人に不思議そうな目を向ける。

「あー相野くん!じゃあお願いしようかな」
「いや、先生!私が…」
「真田さんもありがとね。でも付き添いは1人で大丈夫だから。あんまり多いと騒がしくなるし授業中だからね」
「…っでも」
「それに男の子の方が力あって支えられるし大丈夫よ!じゃあ相野くんお願いね。保健室に連れて行ったらちゃんと戻ってくること」
「はい」

那月は体と顔の熱さ、頭の痛さと寒さで思考が定まっていない。相野の肩に腕を回され体を支えられたが、意識がぼやけているおかげで体がそこまで拒否を示していないようだ。

明衣はそれを見てぐっと堪え、先生に促されるまま席へ腰を下ろした。

「相野って、ああいうの率先してやるんだ」
「俺も初めて見た」
「てか真田ってなんでそんな篠井に必死なわけー?もしかしてデキてんの?お前ら」
「あぁ!?デキてねーわ!那月は大事な友達なの!心配なの!」
「ァ…スイマセン…」
「確かに篠井辛そうだったな、大丈夫かな」

クラスがザワザワとし始めた所で、那月は相野に支えられ教室を出た。まだ歩ける体力はあるものの、やはり支えられないと足元は不安定だ。

那月より少し背の高い相野は、体つきもガッシリしていて那月がもたれかかっても平気な様子。

いくら背の高い明衣でも女子なことに変わりはないから、同年代で背丈が同じ男子が脱力してしまったら上手く支えられなかっただろう。

「篠井くん、大丈夫?」
「…あ、、う、うん、ごめ、んね」
「全然いいよ。すぐ保健室連れて行くね」

だんだん呼吸が荒くなってきた那月を気にかけながら腰を支え、相野は保健室へと歩き進めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

ある日、人気俳優の弟になりました。2

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。 平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

処理中です...