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直球
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一一一先輩の手が、自分の手に触れてる…。こんな風に触るのも久しぶりな感じ…。あ、あれ?
「だ、大丈夫、です」
「…あっごめん。触っちゃって」
「え!?」
「これは俺が運んでくから、ナツくんはこの発泡スチロール持って行ってくれる?」
一一一やっぱり…先輩、僕に触らないようにしてるんだ。中庭に来なかったのもそのため?もしかして、また僕を怖がらせると思ったから…?
「…っせ、先輩!待って!」
那月は背を向けてダンボールを持ち上げようとした彩世の制服をギュッとつまむ。それに驚いた彩世はしゃがんだまま那月の方を振り返った。
「ナツくん…?」
「僕、あのっ…大丈夫ですから!!」
「え?」
「この前のことも…、びっくりしたけど…こ、怖いとかじゃないし、今も、先輩に触れられるの嫌じゃないです…!」
一一一咄嗟に掴んじゃった…、先輩の顔見れないけど…でも伝えないと誤解されたままだ。
「だ、だから…今のままは嫌です…!中庭で先輩に会えなくて、さ、寂しかったです!僕は大丈夫だから…、もう避けないでください!」
一一一今、先輩と手が触れてドキドキした。しばらく会えなくて寂しかったし、首にキスされたことを思い出すと顔から火が出そう。独占欲のマークをつけた夏希さんの言葉はチクチクする。1つ1つ気持ちがはっきりしてくる…。
「ごめん。俺のせいで悩ませた…」
「っぼ、僕に遠慮して遠ざけるんじゃなくて…、話してほしいです!先輩の思ったこと全部…なんていうか、ぶつけてほしいです…!」
「……ナツくん」
目を固く閉じてそう必死に伝えた那月の頭を、彩世は優しく撫でた。ゆっくり目を開けて見上げると、彩世は切なそうに微笑んでいる。
「ありがとう…。俺も頭冷やすとか言って、遠ざけててごめん。変なことしちゃって気まずいままは確かに嫌だな」
「変なこと…、い、いや。きっと何か事情があったんですよね?」
「事情っていうか…私情?ナツくんが他の男の子と打ち解けて嬉しいはずなのに、嫉妬しちゃったんだ。俺だけじゃなくなるのかって」
「え!?し、嫉妬!?先輩が、僕に…?」
「つい…って言ったら失礼かもしれないけど、あの時気持ちが爆発しちゃったんだと思う」
一一一独占欲とか嫉妬とか…僕に?なんで先輩は…。
「そっか…遠ざけるんじゃなくて、ぶつけてみるのもいいかもね」
「え…」
那月の方から見えた、髪の毛と襟の隙間から覗く彩世の首元。あの色濃くついていた痕はだいぶ薄くなっていた。目を凝らさないと分からない程度だ。
それでも、また那月の胸はチクチクと痛みを感じる。
「おーい!そこの人達大丈夫ー?もう運び終わったら飾り付け始めるよー!」
「…っ!あ!!はい!!」
その時、遠くから2人に呼びかける女の先輩の声が聞こえてきた。ハッと我に返った那月は慌てて発砲スチロールを持ち立ち上がった。
「今は準備しないとだから行こっか。手大丈夫?」
「はい…!大丈夫です!あっ、その箱すみません…」
「全然、余裕だよ。ナツくんのおかげで、気持ちもスッキリしたから力湧いてきそう」
彩世は箱を持つ前に、また那月の頭にポンッと手を置いた。
「…っ!」
「あのさ、夏夜行祭…途中からでもいいから一緒に過ごさない?」
「えっ…!!い、いいんですか…?」
「過ごすって言っても、一緒に踊りとか演奏見るくらいだけど…」
「お!!お願いします!ちょっとだけでも、先輩と過ごしたいです!」
顔を赤らめて全力で張り上げた那月の声を聞いて、彩世は嬉しそうに吹き出す。その笑顔は、前よりも心なしか何か吹っ切れたようなものに思える。
「よかった。じゃあ、とりあえず準備頑張ろっか」
「はっはい!!」
一一一嬉しい…!仲直り…?ではないけど、元に戻れたし夏夜行祭も会えることになった!よかった…!
「…はぁ、くるしい、」
一一一でも、あんなの聞いちゃったら…また1つ気持ちがハッキリしてきたよ。僕、先輩にだったら…独占欲のマーク、つけられてもいいって…思ってしまった。先輩にだったら独占されたいって…。
「篠井く…、あ、」
「1年の相野くんー?お友達いたー?」
「あ、はい。こっちに向かって来てるみたいです」
「おーよかったよかった!じゃあ確認したとこ悪いけど、相野くんは最初だけこっちで風紀委員の準備手伝ってくれないかな?終わったら1年の準備戻ってくれていいから!」
「…あー、分かりました」
「だ、大丈夫、です」
「…あっごめん。触っちゃって」
「え!?」
「これは俺が運んでくから、ナツくんはこの発泡スチロール持って行ってくれる?」
一一一やっぱり…先輩、僕に触らないようにしてるんだ。中庭に来なかったのもそのため?もしかして、また僕を怖がらせると思ったから…?
「…っせ、先輩!待って!」
那月は背を向けてダンボールを持ち上げようとした彩世の制服をギュッとつまむ。それに驚いた彩世はしゃがんだまま那月の方を振り返った。
「ナツくん…?」
「僕、あのっ…大丈夫ですから!!」
「え?」
「この前のことも…、びっくりしたけど…こ、怖いとかじゃないし、今も、先輩に触れられるの嫌じゃないです…!」
一一一咄嗟に掴んじゃった…、先輩の顔見れないけど…でも伝えないと誤解されたままだ。
「だ、だから…今のままは嫌です…!中庭で先輩に会えなくて、さ、寂しかったです!僕は大丈夫だから…、もう避けないでください!」
一一一今、先輩と手が触れてドキドキした。しばらく会えなくて寂しかったし、首にキスされたことを思い出すと顔から火が出そう。独占欲のマークをつけた夏希さんの言葉はチクチクする。1つ1つ気持ちがはっきりしてくる…。
「ごめん。俺のせいで悩ませた…」
「っぼ、僕に遠慮して遠ざけるんじゃなくて…、話してほしいです!先輩の思ったこと全部…なんていうか、ぶつけてほしいです…!」
「……ナツくん」
目を固く閉じてそう必死に伝えた那月の頭を、彩世は優しく撫でた。ゆっくり目を開けて見上げると、彩世は切なそうに微笑んでいる。
「ありがとう…。俺も頭冷やすとか言って、遠ざけててごめん。変なことしちゃって気まずいままは確かに嫌だな」
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「そっか…遠ざけるんじゃなくて、ぶつけてみるのもいいかもね」
「え…」
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それでも、また那月の胸はチクチクと痛みを感じる。
「おーい!そこの人達大丈夫ー?もう運び終わったら飾り付け始めるよー!」
「…っ!あ!!はい!!」
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「今は準備しないとだから行こっか。手大丈夫?」
「はい…!大丈夫です!あっ、その箱すみません…」
「全然、余裕だよ。ナツくんのおかげで、気持ちもスッキリしたから力湧いてきそう」
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「…っ!」
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「過ごすって言っても、一緒に踊りとか演奏見るくらいだけど…」
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