早く惚れてよ、怖がりナツ

ぱんなこった。

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バチバチ

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那月達がグラウンドへ行くと、大量のダンボールが運び込まれており、生徒達も各々作業をしていた。彩世は「じゃあ、またね」と目配せをして風紀委員の集まりの元へと去っていく。

那月も嬉し恥ずかしそうに背中を見届けてから、1年の集まっている方へと向かった。

「じゃあ1年の助っ人の皆には、ここをやってもらいまーす!この立ててあるポールに沿って飾り付けしていってくださーい」

そして委員会ごとと学年ごとに別れて運び込んだカラフルなライトや装飾を付け始めることになった。イベントならではの備品に囲まれ、那月はより夏夜行祭に胸を弾ませた。

一一一先輩と過ごせるっていうのもあるし、友達もできて…こういうのなんかいいな。あんなに怖くて苦手だった学校の行事が楽しみになる日が来るなんて…。夢みたいだ。

「あれ、そういえば相野くんは…」

1年の管轄で委員会の指示通りに那月が箱から物を取り出していると、まさに今名前を出した人物が後ろからやって来た。

「篠井くん、おつかれ」
「あっ!相野くん!太鼓…大丈夫だった?」
「うん。もう運び終わったんだけど、今から風紀委員の方手伝うことになってさ。ちょっとだけ行ってくるね」
「え!そうなんだ…分かった!が、頑張ってね」
「ありがと。終わったら戻ってくるよ」

そして1年の場所から離れた所で作業している風紀委員の元へ走り去って行った相野。彩世がいることを気にしつつも、仲直り出来たことと行事の準備で浮かれ気味な那月は目の前の作業に取り掛かった。

一一一相野くんは、彩世先輩とのこと知ってるけど…あれだけ人がいるし話すことはまずないかな。それに相野くんは言いふらすような人じゃない。

「よし…!戻ってくるまでに飾り付けたくさん進めよう!」

一方、風紀委員の元へ合流した相野は先輩から指示を受けて太鼓の設置と和奏部の演奏スペースの装飾に取り掛かった。力仕事で男子生徒のみで行う作業なので、もちろんその中には彩世の姿もあった。

「じゃあ、これはあの演奏スペースまで運びます。せーの!」

次々と設置が進んでいき、いつもの姿を変え本格的に夏夜行祭仕様になってきたグラウンド。生徒達もその雰囲気に、汗を流しながらもウキウキとした表情を浮かべている。

だが、相野だけがその中で唯一浮かない顔をしている。

「あ、君は…」
「どうも。この前保健室で会いましたね。あと、その前に中庭の所でも」

設置が終わり、少人数で分かれ作業をすることになった時。どういうタイミングの良さか、彩世の任された場所を相野が手伝うとになった。しっかり言葉を交わすのは那月が熱を出した時以来だ。

「そうだね、覚えてるよ。手伝い来てくれてありがとう、この場所今からやっていくからお願いできる?」
「…はい」

お互い無言のまま始められた作業。周りのガヤガヤとした声がやけに大きく聞こえるようだ。

しかし、手を動かしながら先に相野がその沈黙を破った。

「彩世先輩って言うんですね。篠井くんから聞きました」
「…え?あ、うん。そうだよ」
「この前は、篠井くんに付き添ってくれてありがとうございます」
「ああ、いいよ。そんなの」

あの保健室で会った時のように、笑ってはいるものの2人の間には何かヒリヒリとした空気が線を張っている。装飾をしながら、目を合わせることなく、相野は彩世に少し意識させるように言葉を放った。

「…篠井くんって、可愛いですよね」
「えっ?」
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