早く惚れてよ、怖がりナツ

ぱんなこった。

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支え

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浜野と市早と遭遇した2人は自然と会話に溶け込まれていくが、相野だけは少し気まずそうに笑いながら相槌を打つ。那月以外はそのことに気付いていないようだ。

「相野と篠井は電車通学なのー?」
「あっ、う、うん!」
「俺は篠井くんと逆方向だけどね」
「そうなんだ!俺ら基本チャリ通~!今日は間に合わさそうでバス乗ったけどな!」
「浜野が寝坊したからだろ」
「へぇ…!ふ、2人は一緒に登校してるんだね!仲良いね!」
「まあ小学校から一緒だから!ねー?市早!」
「はいはい」

同級生と放課後に何気ない会話をして笑い合う、こんな些細なことが那月はとても嬉しかった。小学2年生ぶりに感じる友達と過ごす時間。

ただ、相野との話の途中だったせいか少し気がかりなことが残っている。それに相野の笑顔にも力がない。

「あ、電車来るみたいだから俺先行くね」
「おー!相野、また明日!」
「おつかれー」
「うん。バイバイ」
「あっ…」

そして相野は3人にそう告げて素早く改札へと入って行ってしまった。那月はその様子を気にしつつも、言葉が出てこなかった。

一一一蓮くん…。なんでそう呼んだ途端に、あの時のことを思い出すんだろう…。今まで気にしてなかったのに…いや、そんなはずないよな。そんな偶然あるわけ…。蓮なんて名前の人、たくさんいるだろうし。

「篠井!篠井ー?」
「…っわ!ご、ごめん!浜野くん、何?」
「なんかボーッとしてたけど大丈夫ー?準備疲れたか?」
「あ!う、ううん!大丈夫だよ!」
「そっかぁ。てか夏夜行祭もうすぐで楽しみだな!」
「そ、そうだね!なんかドキドキするね」
「ん?篠井もあの噂聞いたの?」
「うわさって…?」
「夏夜行祭で好きな人に告白すると結ばれるって噂」
「ぅえっっ!!!?ほ、ほんと!?」

あまりにタイムリーすぎる噂に、思わず変な声を上げた那月。その反応を見た浜野と市早は興味津々に那月の顔を覗き込む。

「おおー?もしかして、篠井狙ってる人いんの??」
「意外だな…俺と同じでそういうのに興味ないかと…」
「市早と一緒にすんなよー!お前はまじで恋愛に興味なさすぎ!」
「俺は今ワープロ部の活動で忙しいんだよ!でも篠井は…?」
「いや!!え、あ!!あの、そ、そんな狙ってるとか…ではないけど…!」

慌てて手をバタつかせて動揺する那月を見て、2人は思わず吹き出した。

「あっははは!!動揺しすぎ!やっぱり篠井、ピュアピュアで可愛いなー」
「純粋の極みだな」
「え、あっ、そ、そう、かな?」
「でもいいじゃん!気になってる人がいるならこの機会にアタックしちゃいなよー!ちょうどいい行事があるんだしさ!俺応援してる!」
「浜野くん…」
「そうだな。せっかく高校生になったんだしそういうのも大事。俺はワープロに力注いでるけど。今しか出来ないこともあるし、頑張れよ」
「市早くん…、あ、ありがとう。2人とも」

そんな2人の言葉を噛み締めて自然と笑みが零れていく。そして駅から何度目かの電車の通過音が聞こえてきた時。また到着した電車から降りてきた人達が改札を出てきたようで談笑する3人の前を通っていく。

その中にはサラリーマンやOL、私服の人、他校の制服姿の高校生も多く見える。

「あ、人結構出てきたね。帰宅ラッシュだからか」
「そうだな。篠井、引き止めちゃってたけど電車の時間大丈夫?」
「あ!う、うん!大丈夫!次のがあと8分くらいで来るみたいだから…」
「そっか」

一一一あれ?あそこ歩いてる他校の人…。あの緑のネクタイってもしかして…。

ふと周りに目を向けた時、視界に入ったのは他校の制服を着た男子生徒達だった。少人数だがチラホラとその制服の生徒が駅から出て歩いていく。

「あ、やっぱ西高校の奴多いね」
「まーうちの高校と近いし、ここが最寄りの生徒も多いらしいからな」

一一一そうだ、西校…。夏希さんが通ってる所だ。この駅使う人多いんだ…。金髪の人は見当たらないから今ここにはいないみたいだけど…。この前みたいにまた先輩に会いにくるのかな。

「篠井、電車来そうじゃない?」
「あっ…!本当だ、僕行くね!」
「おー!また明日!」
「篠井バイバイ~」
「うん!2人ともまた明日!気をつけてね!」

浜野と市早に手を振って改札へと走り向かった那月。

まさかその様子を視界の外から夏希に見られていたとは知らぬまま、手を振る2人に見送られて帰路へとついていった。
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