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「なんか、夜の中庭って雰囲気違うね。涼しいし」
「そっ、そうですね」
「落ち着いたら戻ろっか」
「…は、はい」
言う通り、薄暗くなって夜風が吹いている中庭は普段と全く別物のように思える。電灯の光と遠くから聞こえる祭りの音も相まって、別世界に来たかのように感じる那月。
一一一どうしよう、ドキドキしてるのが治まらない…。いつもと雰囲気が違う学校っていうのもあるけど…、先輩がたった今、恋人になったってことだよ…?実感湧かない…!あ、あれ。ていうか、恋人って何するんだっけ…。
前まであんなに離れて座っていたのが嘘かのように、今は真隣にピッタリとくっついて座っている2人。肩と足が触れて、余計にむず痒く感じてソワソワしてしまう。
「ナツくん?大丈夫?」
「あっ、は…はい!!」
「あー…あのね。付き合うって言っても、無理していきなり突っ走ろうとしなくて大丈夫だからね」
「へ?」
「ナツくんこういうの初めてでしょ?だから、焦らずにゆっくり慣れてこ。俺に慣れた時みたいにさ」
「…っ先輩、」
「とりあえず、俺はナツくんと一緒にいて、連絡取れて、一緒に帰ったり休日に会ったりとかしたいなーって感じ。デートしたりとか」
「デッ!!デート!!?」
「そうそう。ナツくんもやりたい事とか、無理なこととかあったら教えて。これからは遠慮せずに何でも言ってほしい。俺も言うからさ」
一一一先輩…、僕が緊張して意識してるの分かってるんだろうな。だから無理しないでって言ってくれたんだ…。
ぎゅっと膝の上で拳を握りしめていると、彩世はその上に手を置いた。
「手繋いでもいい?」
「…っえっ!は、はい!!」
「こうやって開いて」
「…っ」
言われた通り手を開くと、彩世は指を絡めて那月の手をぎゅっと恋人繋ぎで握った。また鼓動が早くなり、那月の顔は熱を帯びていく。
一一一わ、わぁ!!手繋いでる…!先輩と…、よく駅で見かけるカップルみたいに手繋いでる!!
「あっ、あの…すいません!僕ドキドキして手汗が…」
「そんなの気にしないよ。ていうか、俺もかいてるし」
一一一ドキドキするけど…でも、なんだろう。ホッとするし落ち着く感じもする…先輩といると安心できるんだろうな。不思議だ…。
一一一そ、それに、なんだろう。胸の奥の方が痒いっていうか…ムズムズする気が…。
「涙止まったね」
「あっ、はい!もう大丈夫です…」
「立てそうなら戻ろっか?夏夜行祭、ゆっくり見たいでしょ?」
「えっ…」
彩世は優しく微笑むと、繋いでいた手を離し、立ち上がって伸びをした。てっきりもう少しここに居ると思っていたため、予想外の言葉にポカンとしている那月。
一一一いやいや!!なに呆然としてるんだ!先輩は祭りを見たいだろうって気遣ってくれてるのに、これじゃ僕がまだここにいたいみたいな!欲張りみたいな…!
「……っあ、」
「ナツくん?」
一一一あ、そうか…。これがそういうことなんだ。好きな人と一緒にいたい、触れたいって思うこと…。
「……あ、あの、先輩」
「ん?どうした?」
俯いて口をモゴモゴとさせている那月に気付き、彩世は目の前にしゃがみこんで顔を覗く。那月はその彩世の肩に顔を埋めると、ぎゅっと両手でシャツを掴んだ。
「えっ……」
「あ、あの、ごめんなさい…。もう少し、一緒にいたいです…」
「……っ」
突然のその言葉に、彩世は目を見開いて固まる。そして那月の肩を掴み、慌てて自分から引き離した。
「えっ!!わっ!」
「……ダメだよ」
一一一し、しまった…!つい体が勝手に!!しかも離されたし、恥ずかしすぎる!引かれた!?
「ごっ、ごめんなさい!!僕変なことを…!」
「……無理」
「えっ」
「…っそんなこと言われると、」
顔を逸らしている彩世だが、よく見てみると嫌がっている顔には見えない。暗がりでライトに照らされたその彩世の顔は赤く染まっていて、困ったように唇を噛んでいる。
「余裕持って…、ナツくんをリードできるように年上の対応しようと思ってたのに…、そんなこと言われたら、余裕なくなる…」
「えっ……」
一一一せ、先輩が恥ずかしそうにしてる…。何かを我慢してるような顔して…。初めて見る、こんな表情。どうしよう、ドキドキが…。か、可愛い…って思うのって、こういう感情なのかな。
「さ、さっき…、やりたい事とか無理な事あったら言ってって話してくれましたよね…」
「う、うん…」
「…っじゃ、じゃあ!!僕もっと…先輩に、ふ、触れてみたい…です!!」
「……え、」
「ええっと…、た、確かに僕誰かとお付き合いするの初めてで…分からないことだらけですし…!そ、その、まだ無理なこともあるかもですけど…っ!い、今なんか、もっと先輩にふ、触れてみたくて…」
「で、でも…、ナツくんは男で怖い思いもしてるから…俺怖らがせたり無理はさせたくないし…!」
一一一ああ、目が回ってるみたいで自分がもはや何言ってるのか分からないけど…!
「…っじゃ、じゃあ!怖くなったら無理になったら、言うので…!そ、その…、できる所まで触ってみてくれませんか…!!」
「そっ、そうですね」
「落ち着いたら戻ろっか」
「…は、はい」
言う通り、薄暗くなって夜風が吹いている中庭は普段と全く別物のように思える。電灯の光と遠くから聞こえる祭りの音も相まって、別世界に来たかのように感じる那月。
一一一どうしよう、ドキドキしてるのが治まらない…。いつもと雰囲気が違う学校っていうのもあるけど…、先輩がたった今、恋人になったってことだよ…?実感湧かない…!あ、あれ。ていうか、恋人って何するんだっけ…。
前まであんなに離れて座っていたのが嘘かのように、今は真隣にピッタリとくっついて座っている2人。肩と足が触れて、余計にむず痒く感じてソワソワしてしまう。
「ナツくん?大丈夫?」
「あっ、は…はい!!」
「あー…あのね。付き合うって言っても、無理していきなり突っ走ろうとしなくて大丈夫だからね」
「へ?」
「ナツくんこういうの初めてでしょ?だから、焦らずにゆっくり慣れてこ。俺に慣れた時みたいにさ」
「…っ先輩、」
「とりあえず、俺はナツくんと一緒にいて、連絡取れて、一緒に帰ったり休日に会ったりとかしたいなーって感じ。デートしたりとか」
「デッ!!デート!!?」
「そうそう。ナツくんもやりたい事とか、無理なこととかあったら教えて。これからは遠慮せずに何でも言ってほしい。俺も言うからさ」
一一一先輩…、僕が緊張して意識してるの分かってるんだろうな。だから無理しないでって言ってくれたんだ…。
ぎゅっと膝の上で拳を握りしめていると、彩世はその上に手を置いた。
「手繋いでもいい?」
「…っえっ!は、はい!!」
「こうやって開いて」
「…っ」
言われた通り手を開くと、彩世は指を絡めて那月の手をぎゅっと恋人繋ぎで握った。また鼓動が早くなり、那月の顔は熱を帯びていく。
一一一わ、わぁ!!手繋いでる…!先輩と…、よく駅で見かけるカップルみたいに手繋いでる!!
「あっ、あの…すいません!僕ドキドキして手汗が…」
「そんなの気にしないよ。ていうか、俺もかいてるし」
一一一ドキドキするけど…でも、なんだろう。ホッとするし落ち着く感じもする…先輩といると安心できるんだろうな。不思議だ…。
一一一そ、それに、なんだろう。胸の奥の方が痒いっていうか…ムズムズする気が…。
「涙止まったね」
「あっ、はい!もう大丈夫です…」
「立てそうなら戻ろっか?夏夜行祭、ゆっくり見たいでしょ?」
「えっ…」
彩世は優しく微笑むと、繋いでいた手を離し、立ち上がって伸びをした。てっきりもう少しここに居ると思っていたため、予想外の言葉にポカンとしている那月。
一一一いやいや!!なに呆然としてるんだ!先輩は祭りを見たいだろうって気遣ってくれてるのに、これじゃ僕がまだここにいたいみたいな!欲張りみたいな…!
「……っあ、」
「ナツくん?」
一一一あ、そうか…。これがそういうことなんだ。好きな人と一緒にいたい、触れたいって思うこと…。
「……あ、あの、先輩」
「ん?どうした?」
俯いて口をモゴモゴとさせている那月に気付き、彩世は目の前にしゃがみこんで顔を覗く。那月はその彩世の肩に顔を埋めると、ぎゅっと両手でシャツを掴んだ。
「えっ……」
「あ、あの、ごめんなさい…。もう少し、一緒にいたいです…」
「……っ」
突然のその言葉に、彩世は目を見開いて固まる。そして那月の肩を掴み、慌てて自分から引き離した。
「えっ!!わっ!」
「……ダメだよ」
一一一し、しまった…!つい体が勝手に!!しかも離されたし、恥ずかしすぎる!引かれた!?
「ごっ、ごめんなさい!!僕変なことを…!」
「……無理」
「えっ」
「…っそんなこと言われると、」
顔を逸らしている彩世だが、よく見てみると嫌がっている顔には見えない。暗がりでライトに照らされたその彩世の顔は赤く染まっていて、困ったように唇を噛んでいる。
「余裕持って…、ナツくんをリードできるように年上の対応しようと思ってたのに…、そんなこと言われたら、余裕なくなる…」
「えっ……」
一一一せ、先輩が恥ずかしそうにしてる…。何かを我慢してるような顔して…。初めて見る、こんな表情。どうしよう、ドキドキが…。か、可愛い…って思うのって、こういう感情なのかな。
「さ、さっき…、やりたい事とか無理な事あったら言ってって話してくれましたよね…」
「う、うん…」
「…っじゃ、じゃあ!!僕もっと…先輩に、ふ、触れてみたい…です!!」
「……え、」
「ええっと…、た、確かに僕誰かとお付き合いするの初めてで…分からないことだらけですし…!そ、その、まだ無理なこともあるかもですけど…っ!い、今なんか、もっと先輩にふ、触れてみたくて…」
「で、でも…、ナツくんは男で怖い思いもしてるから…俺怖らがせたり無理はさせたくないし…!」
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