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不安と好き
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あの騒動から1週間後……。
僕の怪我も治ってきた頃、日下部とは学校でもよく一緒にいるようになった。
前までは練習のためだったけど、今は何も気にせず一緒に過ごせるのが嬉しいというか…まだ現実味が湧かないかも。
ていうより……
「なぁなぁ風音、さっきの数学のさ、ここんとこなんだっけ?」
「え?えーっと…ここは…」
「ここはx=5だよ」
「わっ!!日下部…」
前よりも確実に、クラスでも日下部が絡んでくることが増えた気がする。あと距離も近い。
「ありがとー!零くん!」
「ううん、分かんないとこあったら教えるよ」
「ちょ、く、日下部近いって…」
「なんで?別にいいでしょ」
日下部が僕の肩に手を置いて密着してくるから、顔の距離も近い…。変に動揺してしまう…!
「んー…」
「ん?どうした?玉木」
「なーんか前より仲良くなってるね?零くんと風音」
「えええ!?そ、そうかな!?」
「それに、零くんも前より表情が柔らかくなった気がする」
玉木、意外と目ざとい…!
それは僕も思ってた…付き合い始めてから、日下部はより一層雰囲気が柔らかくなったって。
それはよかったんだけど…
「うん、僕もそう思う」
そう言って微笑む日下部は、前のように無理して壁を作ってないように見える。
「それはイケメンにより磨きがかかってるてー!」
「う、うるさい玉木!」
「お前に言ってないわ!てかなんで風音が赤くなんの?」
「いや、ここ暑いから!!」
なんだか、日下部の僕の肩を掴んで引き寄せてくる感じが…「僕のだよ」って言われてるような感じがして…。
確かに、日下部はすぐ好きな人で頭いっぱいになるとは言ってたけど、こんなにとは…未だに落ち着かない。
「風音くん、今日バイト?」
「あっ、いや今日はないけど…」
「じゃあ一緒に帰ろ」
「う、うん…!」
ポンポンと頭を撫でてから去っていく日下部。
これは…バレるのも時間の問題かもしれない…。
「なぁ、お前零くんと何かあったの?」
「は!?なんで!?」
「いーや、明らかに前より距離近いし、お前の妬んでた感じもなくなったし…なんていうか女子みたいな反応してるから」
じょ、女子!?僕の反応が!!?
「嘘でしょ…!?」
「いや、まじで。まさか恋のライバルがそんな仲良くなるとは思わなかったわー。零くんが彼女と別れたって聞いた途端、風音も雪菜さんじゃない人好きになったって言うしさー。ほんと何が起こるか分かんねーな」
「あー…そ、そうだね…」
そうなんだよな…。元々日下部と雪菜さんはモテるし、目立ってたから…別れたとなったらそれもすぐ噂で広まった。
だから、前より日下部を狙う女子が増えたような…。
あいつは気にしてないっぽいけど、周りの女子がすごい見てるもん。
それも気になって落ち着かない…!!
「あ、そういや隣のクラスの田中さんが零くんのこと好きらしいぞ。バスケ部のやつに聞いた」
「え!?田中さんって誰!?」
「あの可愛いボブの女の子。ありゃ告るのも時間の問題だなー。零くんフリーだし?」
「へえー…そうなんだ」
フリーじゃない…僕と付き合ってるんだよって…すごく言いたいし、周りの女子にも牽制したいけど…
雪菜さんと別れてすぐに知られたら、日下部がどんなこと言われるか分からない…。
前の僕みたいに、男子からあんな仕打ちに遭わないとも言えないし…。
噂が落ち着くまでは…それまで我慢しないと…!!
でも周りはそれを知らないから、フリーだと思ってアタックするよな…。
「お、5限始まるな。席戻るわ」
「うん…」
でも、付き合ってすぐにこんな不安ばっか感じてたら日下部も面倒くさいかな…。
あんまり感じさせないようにしないと…だよな。
「…!!!」
つい不安を消すようにチラッと前の方を見ると、日下部も頬杖をつきながらこっちをじーっと見ていた。
僕と目が合うと、ニコッと目を細めて笑う。
……好き。
こんなに、態度で言葉で好きって言われてるって感じるんだから、不安に思わなくていいはずなのに…
好きと不安って…セットなのかな。
僕の怪我も治ってきた頃、日下部とは学校でもよく一緒にいるようになった。
前までは練習のためだったけど、今は何も気にせず一緒に過ごせるのが嬉しいというか…まだ現実味が湧かないかも。
ていうより……
「なぁなぁ風音、さっきの数学のさ、ここんとこなんだっけ?」
「え?えーっと…ここは…」
「ここはx=5だよ」
「わっ!!日下部…」
前よりも確実に、クラスでも日下部が絡んでくることが増えた気がする。あと距離も近い。
「ありがとー!零くん!」
「ううん、分かんないとこあったら教えるよ」
「ちょ、く、日下部近いって…」
「なんで?別にいいでしょ」
日下部が僕の肩に手を置いて密着してくるから、顔の距離も近い…。変に動揺してしまう…!
「んー…」
「ん?どうした?玉木」
「なーんか前より仲良くなってるね?零くんと風音」
「えええ!?そ、そうかな!?」
「それに、零くんも前より表情が柔らかくなった気がする」
玉木、意外と目ざとい…!
それは僕も思ってた…付き合い始めてから、日下部はより一層雰囲気が柔らかくなったって。
それはよかったんだけど…
「うん、僕もそう思う」
そう言って微笑む日下部は、前のように無理して壁を作ってないように見える。
「それはイケメンにより磨きがかかってるてー!」
「う、うるさい玉木!」
「お前に言ってないわ!てかなんで風音が赤くなんの?」
「いや、ここ暑いから!!」
なんだか、日下部の僕の肩を掴んで引き寄せてくる感じが…「僕のだよ」って言われてるような感じがして…。
確かに、日下部はすぐ好きな人で頭いっぱいになるとは言ってたけど、こんなにとは…未だに落ち着かない。
「風音くん、今日バイト?」
「あっ、いや今日はないけど…」
「じゃあ一緒に帰ろ」
「う、うん…!」
ポンポンと頭を撫でてから去っていく日下部。
これは…バレるのも時間の問題かもしれない…。
「なぁ、お前零くんと何かあったの?」
「は!?なんで!?」
「いーや、明らかに前より距離近いし、お前の妬んでた感じもなくなったし…なんていうか女子みたいな反応してるから」
じょ、女子!?僕の反応が!!?
「嘘でしょ…!?」
「いや、まじで。まさか恋のライバルがそんな仲良くなるとは思わなかったわー。零くんが彼女と別れたって聞いた途端、風音も雪菜さんじゃない人好きになったって言うしさー。ほんと何が起こるか分かんねーな」
「あー…そ、そうだね…」
そうなんだよな…。元々日下部と雪菜さんはモテるし、目立ってたから…別れたとなったらそれもすぐ噂で広まった。
だから、前より日下部を狙う女子が増えたような…。
あいつは気にしてないっぽいけど、周りの女子がすごい見てるもん。
それも気になって落ち着かない…!!
「あ、そういや隣のクラスの田中さんが零くんのこと好きらしいぞ。バスケ部のやつに聞いた」
「え!?田中さんって誰!?」
「あの可愛いボブの女の子。ありゃ告るのも時間の問題だなー。零くんフリーだし?」
「へえー…そうなんだ」
フリーじゃない…僕と付き合ってるんだよって…すごく言いたいし、周りの女子にも牽制したいけど…
雪菜さんと別れてすぐに知られたら、日下部がどんなこと言われるか分からない…。
前の僕みたいに、男子からあんな仕打ちに遭わないとも言えないし…。
噂が落ち着くまでは…それまで我慢しないと…!!
でも周りはそれを知らないから、フリーだと思ってアタックするよな…。
「お、5限始まるな。席戻るわ」
「うん…」
でも、付き合ってすぐにこんな不安ばっか感じてたら日下部も面倒くさいかな…。
あんまり感じさせないようにしないと…だよな。
「…!!!」
つい不安を消すようにチラッと前の方を見ると、日下部も頬杖をつきながらこっちをじーっと見ていた。
僕と目が合うと、ニコッと目を細めて笑う。
……好き。
こんなに、態度で言葉で好きって言われてるって感じるんだから、不安に思わなくていいはずなのに…
好きと不安って…セットなのかな。
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