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襲撃と監禁
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もう何日も寝ずにいる彼は、この部屋唯一の扉の前で舟を漕いでいる。
彼の目の下には濃いクマができていた。
「あのー…」
「…!なに…?」
半分寝かけているような状態なのに、彼はすぐさまこちらに顔を向けた。
「あの、見張りは交代しないの?」
鋭い目付きで「あ?」などと低い声で聞き返す彼だが、これは別に怒っているわけではないことはすでに知っていた。
全てはただ眠いから。なんせ彼はもうずっと僕の監視役だからだ。
彼はそのまま黙って、手のひらのジャックナイフを弄ぶ。刃の部分をうまく交わしながら、くるくる回されているのが不思議と見ていて楽しかった。
「見張りは…あー、別に見張りはいらねぇだろ」
「え?君は見張りじゃなかった?」
「そうだよ。俺が居たいからここに居てやってんだよ」
「そ、そうなんだね」
ナイフを手慰みするのを止めた彼がおもむろに笑うと、刃の出たナイフを見せ付けながら近付いてきた。
「なぁ、またなんか話せよ」
隣に腰を下ろして、右側に寄りかかってくる。
僕は彼の機嫌を損ねないように口を開いた。
今日話すのは、日本人なら大抵知ってる昔ばなしの桃太郎。
むかしむかしとおきまりの文句を語る間も、彼は楽しげに待っている。
僕の勤める銀行を"彼等"が襲ったのはもう五日も前の話だった。
のどかに忙しい受付を一発の発砲音が切り裂いた。
彼等は集団で銀行を襲う強盗団だ。
行員である僕はいの一番に囚われ、大人しく金を受け渡しした。
受付で警察に通報しようとしていた同僚が見つかり、連れていかれて帰ってこないのを見たら、抵抗する気なんて一ミリもおこらなかった。
警察が来たときにはもう金は彼らの手に渡り、僕は僕以外の数人の人質とともに彼らの車に乗っていた。
警察の到着が遅かったとかそういうことではない。きっと彼等が慣れすぎていたんだ。
目隠しに手錠姿でどこかに着いたあと、おそらく僕はどこかの個室に詰め込まれて、あとはこうして今までずっと彼に見張られていた。
食事や水も彼が持ってくるし、なんなら体まで拭いてくれる。
汗やら何やらで臭いからと服を頼めば快く持ってきてくれたりもした。
「……めでたし、めでたし」
つまらない話をいつものように回想で埋めていると、彼もいつものように拍手で答えてくれた。
「この話は知ってたかな」
「知らないよ。俺がそう言うの知らないって知ってるクセに」
「ふふ…。僕もそろそろストック尽きそうなんだ」
彼は驚いたように目を開いた。
何日もこうして一緒に居続ければ友人よりも癖が掴めてくるもので、彼のこの顔を翻訳するとすれば、それは寂しいということだ。
「あのさ、文字とかは書けるの?」
折角監視に親しまれ出してきているのだ。僕も彼を手なづけておきたかった。
彼にそう言うと、彼は心外そうに眉を潜めた。
「バカにするなよ。俺はなぁ、こう見えて頭はいいんだからな」
「ってことはそういった本とかよく読むのかな?」
「そりゃあ、一人で勉強はできないからな。本くらいいくらでもあるさ」
「へぇ…。じゃあさ、僕も話すことが無くなったら、今度は二人で勉強しようか」
彼は笑った。
「はは、いい事言うじゃん。絶対だぞ、約束だからな」
「ああ、勿論」
手錠された腕で小指を差し出した。
「お前、嘘ついたらその指切るからな」
面白そうに笑いながら、彼は小指を絡めた。
指を切るの時点で更に冷や汗が吹き出してきていた。
彼をどうにか懐柔できなければ、待っているのは考えたくもない用済みのお荷物の行く末だ。
彼自体の立場がどれ程かもわからないが、とりあえず彼は僕を気に入ってはくれているらしい…。
おくびにも出してはいないつもりだが、当然だけど死ぬほど恐ろしかった。
気が狂いそうだ。
もう1ヶ月、1ヶ月もここにいる。
この無機質なコンクリートで固められた小さな部屋に。彼と二人で。風呂とトイレとベッドで構成された部屋に娯楽品など一つもない。
あの後、宣言通り話のストックが尽くやいなや、彼は本を沢山持ってきた。
どこかから拾ってきたみたいな読み古されたぼろっちい本は、どうやら彼自身が言うように"頭の良い"本のようだ。
人心の把握だとか、どちらかと言えば実用書の類いで、娯楽になんてちっともならない。
1ヶ月は長いだろ。
勉強をやる気も完全に失くなっていた。
警察の来るような気配も、もはや完全に無い。
彼の信頼を得る毎に伸びていった鎖のおかげで、風呂も食事も1人でできるようにはなったけど、それはなんの慰めにもならない。
朝から出掛けていた彼が帰ってきた。
「喜べ。お前を俺らの仲間にすることにしたんだ」
「……えっ、仲間…?」
「だから、お前は人質じゃなくなったってこと。これからは俺がお前の上司だぞ」
嬉しそうに話してくる彼に呆けていたら、彼は更に受け入れがたいことを言ってくる。
なんで人質の僕がお前の部下になることになってるんだよ!
冗談じゃない!流石に理不尽すぎるだろそれは!
噛みつきたいことは多々あるが、逆上させるのはまずい。
それに、これはある種のチャンスではないだろうか?
返答がないのに不安そうな彼に微笑んでみせる。
「僕を仲間にするのは大変だったろう。ありがとうね」
礼をすればパッと喜んだ顔にかわる。
その顔のまま、彼は更に驚きの言葉を告げた。
「そうなんだよ。どうしても駄目って言うから殺しちゃって。俺が新しいボスになったんだ。全部お前の為だからな。絶対裏切るなよ」
ニヤつくその目は、底冷えするほど冷静だった。
僕は、思い違いをしていたかもしれない。
彼は童話さえ知らない無教養な少年なんではなくて、童話を教えられず、ただひたすら教育を行われていたんではないか。
あのボロボロの本はどこかから拾ってきたんじゃなくて、彼が読んでいたのか。
「俺の横に控えてればいいから。ほら、行こうぜ。お前はもう自由の身だよ」
手錠は既に外されている。
自由になった腕を引かれて、僕は扉の外に出ることができた。
いや、しかし、しかしまだ、考えようによっては随分ラッキーだろう。
部下にはされたけど、それでも解放されたんだから逃げようだってあるはずだ。
「あのさ、返してほしいものがあるんだけど」
「なんだよ?」
「僕のカバンだよ。ここに来たときに君が取りあげたあれ」
彼は数秒立ち止まってから、こちらを振り向いた。
「あるよ。ほら」
「あ、ありがとう」
ニヤニヤする彼の手からカバンを受け取り、スマホを取り出した。何故か充電されているようで、電源がすぐに点く。
腕を掴む力が強まる。
「それで、なにを検索するんだ?誰かに連絡をとるのか?」
「…検索するんだよ。ずっと気になってた事」
見られていても構わなかった。彼はどうやら黙って見ているだけらしいからだ。
僕が検索するのは、場所。ここの場所だ。
ネットには繋がっている。
ブラウザを起動して、現在の位地情報を検索する。
すると、マップに住所が浮かんだ。
「…これはっ!?」
「ヒャハ!驚いたかよ、なぁ!そう、ここはお前の前の職場だよ!」
そう、この場所は僕の勤めていた銀行の名前だった。
「な、なんで、こんなところ銀行のどこにあったんだ?パトカーの音だって聞こえなかったのに」
「ここは銀行にあった地下室なんだ。でも防音じゃねぇぜ。それなのにパトカーの音も聞こえなかったんだよなぁ」
「………」
警察と強盗組織の繋がりがあったとでも言うのか。
それを示唆する彼の言葉に思わず背筋が凍る。
「下っぱの奴ら何人か捕まえさせてよぉ、お前らは連れ去られたことにしたんだ。元気そうなら誰でもいいのさ。売れそうな奴選んでさぁ」
嫌な汗が流れる。
心臓が不整脈でも起こしそうなほど疼いている。
「あのさ、お前運良かったんだよ?俺が監視で、俺が気に入ったから」
「………」
なんにも言えない。
ただ、心の底から足元が崩れていくような感じがしていた。
だって一瞬前まで普通に逃げることができると思っていたのに。
いくら彼が犯罪組織の頭とは言え、隙をついて警察にさえ駆け込んでしまえばこちらのもんだろうと。
それは認識が甘かったと言う他ない……。
彼があっさりと僕にスマホ(充電済み)を返した時点で詰んでいたんだ。
どぎまぎして彼を見つめる。
「……殺さないでくれ」
乞い願えば、彼は初めて優しく笑った。
「殺さないさ。……逃がしはしないけどな」
彼の目の下には濃いクマができていた。
「あのー…」
「…!なに…?」
半分寝かけているような状態なのに、彼はすぐさまこちらに顔を向けた。
「あの、見張りは交代しないの?」
鋭い目付きで「あ?」などと低い声で聞き返す彼だが、これは別に怒っているわけではないことはすでに知っていた。
全てはただ眠いから。なんせ彼はもうずっと僕の監視役だからだ。
彼はそのまま黙って、手のひらのジャックナイフを弄ぶ。刃の部分をうまく交わしながら、くるくる回されているのが不思議と見ていて楽しかった。
「見張りは…あー、別に見張りはいらねぇだろ」
「え?君は見張りじゃなかった?」
「そうだよ。俺が居たいからここに居てやってんだよ」
「そ、そうなんだね」
ナイフを手慰みするのを止めた彼がおもむろに笑うと、刃の出たナイフを見せ付けながら近付いてきた。
「なぁ、またなんか話せよ」
隣に腰を下ろして、右側に寄りかかってくる。
僕は彼の機嫌を損ねないように口を開いた。
今日話すのは、日本人なら大抵知ってる昔ばなしの桃太郎。
むかしむかしとおきまりの文句を語る間も、彼は楽しげに待っている。
僕の勤める銀行を"彼等"が襲ったのはもう五日も前の話だった。
のどかに忙しい受付を一発の発砲音が切り裂いた。
彼等は集団で銀行を襲う強盗団だ。
行員である僕はいの一番に囚われ、大人しく金を受け渡しした。
受付で警察に通報しようとしていた同僚が見つかり、連れていかれて帰ってこないのを見たら、抵抗する気なんて一ミリもおこらなかった。
警察が来たときにはもう金は彼らの手に渡り、僕は僕以外の数人の人質とともに彼らの車に乗っていた。
警察の到着が遅かったとかそういうことではない。きっと彼等が慣れすぎていたんだ。
目隠しに手錠姿でどこかに着いたあと、おそらく僕はどこかの個室に詰め込まれて、あとはこうして今までずっと彼に見張られていた。
食事や水も彼が持ってくるし、なんなら体まで拭いてくれる。
汗やら何やらで臭いからと服を頼めば快く持ってきてくれたりもした。
「……めでたし、めでたし」
つまらない話をいつものように回想で埋めていると、彼もいつものように拍手で答えてくれた。
「この話は知ってたかな」
「知らないよ。俺がそう言うの知らないって知ってるクセに」
「ふふ…。僕もそろそろストック尽きそうなんだ」
彼は驚いたように目を開いた。
何日もこうして一緒に居続ければ友人よりも癖が掴めてくるもので、彼のこの顔を翻訳するとすれば、それは寂しいということだ。
「あのさ、文字とかは書けるの?」
折角監視に親しまれ出してきているのだ。僕も彼を手なづけておきたかった。
彼にそう言うと、彼は心外そうに眉を潜めた。
「バカにするなよ。俺はなぁ、こう見えて頭はいいんだからな」
「ってことはそういった本とかよく読むのかな?」
「そりゃあ、一人で勉強はできないからな。本くらいいくらでもあるさ」
「へぇ…。じゃあさ、僕も話すことが無くなったら、今度は二人で勉強しようか」
彼は笑った。
「はは、いい事言うじゃん。絶対だぞ、約束だからな」
「ああ、勿論」
手錠された腕で小指を差し出した。
「お前、嘘ついたらその指切るからな」
面白そうに笑いながら、彼は小指を絡めた。
指を切るの時点で更に冷や汗が吹き出してきていた。
彼をどうにか懐柔できなければ、待っているのは考えたくもない用済みのお荷物の行く末だ。
彼自体の立場がどれ程かもわからないが、とりあえず彼は僕を気に入ってはくれているらしい…。
おくびにも出してはいないつもりだが、当然だけど死ぬほど恐ろしかった。
気が狂いそうだ。
もう1ヶ月、1ヶ月もここにいる。
この無機質なコンクリートで固められた小さな部屋に。彼と二人で。風呂とトイレとベッドで構成された部屋に娯楽品など一つもない。
あの後、宣言通り話のストックが尽くやいなや、彼は本を沢山持ってきた。
どこかから拾ってきたみたいな読み古されたぼろっちい本は、どうやら彼自身が言うように"頭の良い"本のようだ。
人心の把握だとか、どちらかと言えば実用書の類いで、娯楽になんてちっともならない。
1ヶ月は長いだろ。
勉強をやる気も完全に失くなっていた。
警察の来るような気配も、もはや完全に無い。
彼の信頼を得る毎に伸びていった鎖のおかげで、風呂も食事も1人でできるようにはなったけど、それはなんの慰めにもならない。
朝から出掛けていた彼が帰ってきた。
「喜べ。お前を俺らの仲間にすることにしたんだ」
「……えっ、仲間…?」
「だから、お前は人質じゃなくなったってこと。これからは俺がお前の上司だぞ」
嬉しそうに話してくる彼に呆けていたら、彼は更に受け入れがたいことを言ってくる。
なんで人質の僕がお前の部下になることになってるんだよ!
冗談じゃない!流石に理不尽すぎるだろそれは!
噛みつきたいことは多々あるが、逆上させるのはまずい。
それに、これはある種のチャンスではないだろうか?
返答がないのに不安そうな彼に微笑んでみせる。
「僕を仲間にするのは大変だったろう。ありがとうね」
礼をすればパッと喜んだ顔にかわる。
その顔のまま、彼は更に驚きの言葉を告げた。
「そうなんだよ。どうしても駄目って言うから殺しちゃって。俺が新しいボスになったんだ。全部お前の為だからな。絶対裏切るなよ」
ニヤつくその目は、底冷えするほど冷静だった。
僕は、思い違いをしていたかもしれない。
彼は童話さえ知らない無教養な少年なんではなくて、童話を教えられず、ただひたすら教育を行われていたんではないか。
あのボロボロの本はどこかから拾ってきたんじゃなくて、彼が読んでいたのか。
「俺の横に控えてればいいから。ほら、行こうぜ。お前はもう自由の身だよ」
手錠は既に外されている。
自由になった腕を引かれて、僕は扉の外に出ることができた。
いや、しかし、しかしまだ、考えようによっては随分ラッキーだろう。
部下にはされたけど、それでも解放されたんだから逃げようだってあるはずだ。
「あのさ、返してほしいものがあるんだけど」
「なんだよ?」
「僕のカバンだよ。ここに来たときに君が取りあげたあれ」
彼は数秒立ち止まってから、こちらを振り向いた。
「あるよ。ほら」
「あ、ありがとう」
ニヤニヤする彼の手からカバンを受け取り、スマホを取り出した。何故か充電されているようで、電源がすぐに点く。
腕を掴む力が強まる。
「それで、なにを検索するんだ?誰かに連絡をとるのか?」
「…検索するんだよ。ずっと気になってた事」
見られていても構わなかった。彼はどうやら黙って見ているだけらしいからだ。
僕が検索するのは、場所。ここの場所だ。
ネットには繋がっている。
ブラウザを起動して、現在の位地情報を検索する。
すると、マップに住所が浮かんだ。
「…これはっ!?」
「ヒャハ!驚いたかよ、なぁ!そう、ここはお前の前の職場だよ!」
そう、この場所は僕の勤めていた銀行の名前だった。
「な、なんで、こんなところ銀行のどこにあったんだ?パトカーの音だって聞こえなかったのに」
「ここは銀行にあった地下室なんだ。でも防音じゃねぇぜ。それなのにパトカーの音も聞こえなかったんだよなぁ」
「………」
警察と強盗組織の繋がりがあったとでも言うのか。
それを示唆する彼の言葉に思わず背筋が凍る。
「下っぱの奴ら何人か捕まえさせてよぉ、お前らは連れ去られたことにしたんだ。元気そうなら誰でもいいのさ。売れそうな奴選んでさぁ」
嫌な汗が流れる。
心臓が不整脈でも起こしそうなほど疼いている。
「あのさ、お前運良かったんだよ?俺が監視で、俺が気に入ったから」
「………」
なんにも言えない。
ただ、心の底から足元が崩れていくような感じがしていた。
だって一瞬前まで普通に逃げることができると思っていたのに。
いくら彼が犯罪組織の頭とは言え、隙をついて警察にさえ駆け込んでしまえばこちらのもんだろうと。
それは認識が甘かったと言う他ない……。
彼があっさりと僕にスマホ(充電済み)を返した時点で詰んでいたんだ。
どぎまぎして彼を見つめる。
「……殺さないでくれ」
乞い願えば、彼は初めて優しく笑った。
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