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「さて、群青の処遇を考えないと…大事なお遣いだったんだけどな。残念だよ」
「おそらく群青殿は、わたくしへ気を遣ったのだと思います」
「気を遣う?なんで?」
「わたくしが彼を強く拒絶しましたので」
「ほぉ?」
佳麗な瞳が細まり、この話題に興味を示す。口角が吊り上がり、淫らな感じがあった。
「それはまたどうして?」
「憎くなったからでございます」
並びのいい歯を見せ、群青をうっとりと眺める横顔は師を滅多刺しにする時と重なった。
「ねぇ、群青。潜入先の娼館でも人気なんだってね。腕利きの客がいるとかで。このまま色街に売り飛ばされるか…彩ちゃんの奴隷からやり直すか、選びなよ。今の君は城にとっても危険因子だからなぁ…」
群青は咳ばかりで聞いているのかも怪しかった。
「君みたいな男はどんな風に女性に触れるんだろう?この前彩ちゃんにしたみたいに繊細に?ただ相手が客となったら?真面目だからねぇ…勘違いしちゃう女もいるんだろうなぁ…金で繋がった関係だなんて忘れてさ、気付くこともなくて。この前も淫売男が客の女に刺されたって聞くし…避妊具から勝手に種もらっていっちゃった、なんて話もあったけど君は種無しになったし関係ないね。どう?こういうの、何人生っていうの?竿人生?」
自分で発した下卑た単語にくすくす笑い、美しい瞳が極彩に問う。君はどう、と。
「群青殿の好きなようにしたらよろしいかと存じます」
「ははっ!だってさ」
ぐったりしながら咳のたびに床にのたうつ襤褸雑巾へ貴人は近付いていった。足音が響き、威圧的な雰囲気に巻かれる。
「正直、もう要らないんだ。君は自分の長所を分かってないな。優秀な人材ならもっといるよ。もっと実力行使で効率良い奴等がね。君みたいに最小限の犠牲うんたらとかうるさくないし遠回りなんてしない。でも君は何でも背負い込んでくれるだろ?手段のためなら命を賭して汚れてくれる…こんな人材はないでしょ?それにさ…君のその兄上の血で汚れた両腕と、あんな君に良くしてくれた兄上を進んで斬っても遂げたい野心がオレは愛しいんだよ。でも君がオレに従えないって言うんじゃ、話は別だろう?」
朗らかな声は低かった。
「さぁ、選んで。娼館?奴隷?どっちがいい?考え直して。なんでもかんでもオレに首振れると思ってるのなら困るな」
口の端を切らした顔を鷲掴み、脅迫的に揺らした。首が据わっていないみたいだった。咳をするために天藍から顔を逸らした。
「娼…」
「気が変わりました。わたくしにくださいませ」
「えぇ?」
わざとらしく訊き返される。楽しげな微笑を浮かべていた。
「その襤褸布をわたくしにくださいませ」
「…欲しいの?」
「欲しいです。是非、ください」
二公子は上唇を赤い舌で舐めた。明媚な眸子をとろんとさせ極彩へと流す。
「へぇ?憎いんでしょ?遊び相手にでもする?…羆と戦わせるとかやめてよ?」
「襤褸雑巾なりに使わせていただきます」
「いい心掛けだよ。群青の使い道をよく心得てるな。感心するけど…少し妬けるね」
二公子は極彩に言うと、屈んで群青へ手を差し伸べる。唇の端が破け、赤く腫れて潰れてみえる襤褸布の目が二公子を見上げる。喜びや感謝の色がそこに射していた。
「オレたちは義同胞だよ。まさか本当にオレが群青のコト、捨てると思った?」
差し伸べられた手に流行病の罹患者は応えようとしないため、貴人は自ら助け起こした。
「彩ちゃんには少し重いかも」
青痣に染まった目と腫れた頬骨のある片側が瞬きのたびに引き攣った。天藍はふらふらと足取りの覚束ない群青を投げ捨てるも同然に極彩へ預けた。
「群青をよろしく頼むよ」
極彩は逃れようとする群青の腕を掴んだ。視界の端に入った若い剣士の身骨が気掛かりだったが成す術もなかった。辞すつもりでいたが、用件を思い出した。また呼び出されるのも癪だ。
「お遣いの件はいかがなされます」
二公子はきょとんとしたが直後に意地悪く笑んだ。
「結局こうなるならムダな労力だったんじゃん。あ~あ…藤黄に手紙を届けてほしくてね。結構堅苦しい場所だから城の者たちってより、男女連れのほうが道すがら目立たなくていいかなって思ってさ。藤黄、彩ちゃんのこと気に入ってたし、元気なカオ見せてやってよ」
「わたくしでよろしいのでしょうか」
火葬場で会った。藤黄にとっては孫の仇として見做されてもおかしくない。
「彩ちゃん以外にあのおっさんは自分から声掛けないよ」
隣で群青は乾いた咳をする。接した体温は高かった。熱があるのは判然としていた。
「1泊して帰っておいで。それ以上は…別に構わないけど、叔父上のこととか、あるだろ…?」
頭が痛くなる言葉だった。大判の封を渡される。口は閉じられていなかった。旅費と手紙が入っていると説明された。隣の風邪っぴきはほぼ聞いていないようだった。詳細を説明されると二公子の前を辞し、熱い身体を引き摺った。咳を繰り返し、腕に胴がぶつかる。
「貴方を医者に預ける。遣いはわたしが1人で行くから」
呼吸の音が低く漏れていた。群青は首を振りながら咳と共に何か喚いた。発熱によってか、彼は珍しく冷静さを欠いていた。嫌がっている旨だけは伝わったが、何を言っているのかは聞き取れなかった。
「そんな病状で山道歩けるの」
歩行も困難といったところだった。山にある民宿に泊まるよう説明を受けたが、そこに辿り着くまでの牛車の移動さえ厳しそうな容態だ。暴行により顔面も一部腫れている。首が揺れるたびに目蓋が攣る。嘔吐くような咳き込みに紛れて何か言ったが、やはり聞き取ることは難しかった。
「とりあえず牛車を拾って、その中で手当てをするから」
返事は情けないものだった。本物の襤褸雑巾のようで同情が微かに湧いた。どこまで擦り切れていくのだろう。
「群青殿」
「すみ…っま、せ…」
彼はまた謝る。責めるつもりはない。口を開けば罵倒しか出ない女だとでも思われているのだ。壁に凭せかけるが座り込んでいく。
「牛車を呼ぶからここで待っていて」
置いていこうとしたが腕を引かれた。しかし弱く、宙を掻いて落ちた。待ってください。立ち上がる体力もない。待ってください。待って…。犬を捨てた心地だった。
「すぐ戻って来るからおとなしくしていて」
群青は言うことをきかなかった。壁を頼りに立ち上がり、不安定に歩く。与えられた体温が消えた頃に、再び半身に纏わりつき、背中に圧し掛かっている。
「群青殿…ふざけているの。貴方は今病人なの。理解して、お人形らしく」
「置いて…行かないで、ください…」
置いていかないでください、待ってくださいと彼は傷とは違う赤さを頬に湛えていた。呼吸と外れ、空気が漏れていく低い喘鳴が苛々させる。
「群青殿。いい加減にして」
うんざりしているところに洗濯物を運んでいる紫暗が通った。円い目が驚く。畳んで積まれた乾布を落としかねない勢いで駆け寄った。
「大丈夫ですか…?」
群青が背に身を預けているため極彩は潰されかけている。小柄な少女は手伝おうとするものの、どうしていいか分からないようで屈んで極彩の肩を支えようとしたり、上から群青を剥がそうとしたり試みていたがどれも叶わなかった。
「おそらく群青殿は、わたくしへ気を遣ったのだと思います」
「気を遣う?なんで?」
「わたくしが彼を強く拒絶しましたので」
「ほぉ?」
佳麗な瞳が細まり、この話題に興味を示す。口角が吊り上がり、淫らな感じがあった。
「それはまたどうして?」
「憎くなったからでございます」
並びのいい歯を見せ、群青をうっとりと眺める横顔は師を滅多刺しにする時と重なった。
「ねぇ、群青。潜入先の娼館でも人気なんだってね。腕利きの客がいるとかで。このまま色街に売り飛ばされるか…彩ちゃんの奴隷からやり直すか、選びなよ。今の君は城にとっても危険因子だからなぁ…」
群青は咳ばかりで聞いているのかも怪しかった。
「君みたいな男はどんな風に女性に触れるんだろう?この前彩ちゃんにしたみたいに繊細に?ただ相手が客となったら?真面目だからねぇ…勘違いしちゃう女もいるんだろうなぁ…金で繋がった関係だなんて忘れてさ、気付くこともなくて。この前も淫売男が客の女に刺されたって聞くし…避妊具から勝手に種もらっていっちゃった、なんて話もあったけど君は種無しになったし関係ないね。どう?こういうの、何人生っていうの?竿人生?」
自分で発した下卑た単語にくすくす笑い、美しい瞳が極彩に問う。君はどう、と。
「群青殿の好きなようにしたらよろしいかと存じます」
「ははっ!だってさ」
ぐったりしながら咳のたびに床にのたうつ襤褸雑巾へ貴人は近付いていった。足音が響き、威圧的な雰囲気に巻かれる。
「正直、もう要らないんだ。君は自分の長所を分かってないな。優秀な人材ならもっといるよ。もっと実力行使で効率良い奴等がね。君みたいに最小限の犠牲うんたらとかうるさくないし遠回りなんてしない。でも君は何でも背負い込んでくれるだろ?手段のためなら命を賭して汚れてくれる…こんな人材はないでしょ?それにさ…君のその兄上の血で汚れた両腕と、あんな君に良くしてくれた兄上を進んで斬っても遂げたい野心がオレは愛しいんだよ。でも君がオレに従えないって言うんじゃ、話は別だろう?」
朗らかな声は低かった。
「さぁ、選んで。娼館?奴隷?どっちがいい?考え直して。なんでもかんでもオレに首振れると思ってるのなら困るな」
口の端を切らした顔を鷲掴み、脅迫的に揺らした。首が据わっていないみたいだった。咳をするために天藍から顔を逸らした。
「娼…」
「気が変わりました。わたくしにくださいませ」
「えぇ?」
わざとらしく訊き返される。楽しげな微笑を浮かべていた。
「その襤褸布をわたくしにくださいませ」
「…欲しいの?」
「欲しいです。是非、ください」
二公子は上唇を赤い舌で舐めた。明媚な眸子をとろんとさせ極彩へと流す。
「へぇ?憎いんでしょ?遊び相手にでもする?…羆と戦わせるとかやめてよ?」
「襤褸雑巾なりに使わせていただきます」
「いい心掛けだよ。群青の使い道をよく心得てるな。感心するけど…少し妬けるね」
二公子は極彩に言うと、屈んで群青へ手を差し伸べる。唇の端が破け、赤く腫れて潰れてみえる襤褸布の目が二公子を見上げる。喜びや感謝の色がそこに射していた。
「オレたちは義同胞だよ。まさか本当にオレが群青のコト、捨てると思った?」
差し伸べられた手に流行病の罹患者は応えようとしないため、貴人は自ら助け起こした。
「彩ちゃんには少し重いかも」
青痣に染まった目と腫れた頬骨のある片側が瞬きのたびに引き攣った。天藍はふらふらと足取りの覚束ない群青を投げ捨てるも同然に極彩へ預けた。
「群青をよろしく頼むよ」
極彩は逃れようとする群青の腕を掴んだ。視界の端に入った若い剣士の身骨が気掛かりだったが成す術もなかった。辞すつもりでいたが、用件を思い出した。また呼び出されるのも癪だ。
「お遣いの件はいかがなされます」
二公子はきょとんとしたが直後に意地悪く笑んだ。
「結局こうなるならムダな労力だったんじゃん。あ~あ…藤黄に手紙を届けてほしくてね。結構堅苦しい場所だから城の者たちってより、男女連れのほうが道すがら目立たなくていいかなって思ってさ。藤黄、彩ちゃんのこと気に入ってたし、元気なカオ見せてやってよ」
「わたくしでよろしいのでしょうか」
火葬場で会った。藤黄にとっては孫の仇として見做されてもおかしくない。
「彩ちゃん以外にあのおっさんは自分から声掛けないよ」
隣で群青は乾いた咳をする。接した体温は高かった。熱があるのは判然としていた。
「1泊して帰っておいで。それ以上は…別に構わないけど、叔父上のこととか、あるだろ…?」
頭が痛くなる言葉だった。大判の封を渡される。口は閉じられていなかった。旅費と手紙が入っていると説明された。隣の風邪っぴきはほぼ聞いていないようだった。詳細を説明されると二公子の前を辞し、熱い身体を引き摺った。咳を繰り返し、腕に胴がぶつかる。
「貴方を医者に預ける。遣いはわたしが1人で行くから」
呼吸の音が低く漏れていた。群青は首を振りながら咳と共に何か喚いた。発熱によってか、彼は珍しく冷静さを欠いていた。嫌がっている旨だけは伝わったが、何を言っているのかは聞き取れなかった。
「そんな病状で山道歩けるの」
歩行も困難といったところだった。山にある民宿に泊まるよう説明を受けたが、そこに辿り着くまでの牛車の移動さえ厳しそうな容態だ。暴行により顔面も一部腫れている。首が揺れるたびに目蓋が攣る。嘔吐くような咳き込みに紛れて何か言ったが、やはり聞き取ることは難しかった。
「とりあえず牛車を拾って、その中で手当てをするから」
返事は情けないものだった。本物の襤褸雑巾のようで同情が微かに湧いた。どこまで擦り切れていくのだろう。
「群青殿」
「すみ…っま、せ…」
彼はまた謝る。責めるつもりはない。口を開けば罵倒しか出ない女だとでも思われているのだ。壁に凭せかけるが座り込んでいく。
「牛車を呼ぶからここで待っていて」
置いていこうとしたが腕を引かれた。しかし弱く、宙を掻いて落ちた。待ってください。立ち上がる体力もない。待ってください。待って…。犬を捨てた心地だった。
「すぐ戻って来るからおとなしくしていて」
群青は言うことをきかなかった。壁を頼りに立ち上がり、不安定に歩く。与えられた体温が消えた頃に、再び半身に纏わりつき、背中に圧し掛かっている。
「群青殿…ふざけているの。貴方は今病人なの。理解して、お人形らしく」
「置いて…行かないで、ください…」
置いていかないでください、待ってくださいと彼は傷とは違う赤さを頬に湛えていた。呼吸と外れ、空気が漏れていく低い喘鳴が苛々させる。
「群青殿。いい加減にして」
うんざりしているところに洗濯物を運んでいる紫暗が通った。円い目が驚く。畳んで積まれた乾布を落としかねない勢いで駆け寄った。
「大丈夫ですか…?」
群青が背に身を預けているため極彩は潰されかけている。小柄な少女は手伝おうとするものの、どうしていいか分からないようで屈んで極彩の肩を支えようとしたり、上から群青を剥がそうとしたり試みていたがどれも叶わなかった。
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