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深夜帯に菖蒲がやって来て居間で寝転がっている天晴組の長の姿に妙な顔をした。縁側に座り腰を下ろす中年男に石黄の祖父のことについて、石黄のことであることは伏せて訊ねた。その者は現在、極彩の知っている限りでは山奥に籠っているはずだった。しかしその者の孫はすでに亡くなっている。菖蒲は灰皿へ短くなった煙草を潰す。酒を勧めたが苦笑とともに断られた。
「牛車はそうではないのですが…馬車はまだ法的整備がきちんとなっていないんです、ええ」
菖蒲は腕を組み、春に近付きながらも肌寒い風に吹かれていた。
「これがどういうことかと言いますと…そうですね、万が一、人を轢いた場合、一生慰謝料を払い続けるより、殺してしまったほうが安上がりでして。轢き逃げなんかの場合は他に宛てを失くした被害者やその家族が助けた人に請求するなんて事例もありましたね。息があるなら潰すんです、何度も、死ぬまで。見るからに死んでいても死亡判定をするのは医者の仕事ですからね、生きてちゃ困るので…完全に頭を潰すまでぎたぎたに潰すんですよ。ボクも見たことがあります。藤黄殿の子息もそういう事故だと聞いています。ボクは報告書しか見ていませんけれど。この国は被害者になったら終わりです」
話の内容とは裏腹に彼はいつの間にかもう1本煙草を吸いはじめ深夜の空に煙の輪を作る。
「法改正の声もあったんですが、通りませんでした、ええ。確か群青さんが詳しいですよ。ただの事故死じゃなかったと随分経ってから暴いたの彼なので」
若造の正義感溢れた法整備の声なんて誰の耳にも届きませんでしたけどね。わはは!と両腕を開いて彼は笑った。
「菖蒲殿はあのお人が好きなんですね」
「ええ、大好きですよ。山吹様とは意味合いが異なりますが」
突然山吹を引き合いに出す意味を極彩は分からないでいたが適当に返事をした。
「極彩さんは?」
「これという感情は、特には」
そうですか、残念。菖蒲は煙を噴く。夜の音が静かな住宅地に響いた。
「既婚者になってしまったからですか」
この話題は終わったものかと思ったが彼の中ではまだ続いているらしかった。
「いいえ」
「貴方を長いこと騙していたからです?」
「仕事上のことですから、騙されたとは別に…」
菖蒲はずいと前のめりになって極彩へ迫った。
「全体的に不健康っぽいからですかね?」
「酔っているんですか」
「酒臭い極彩さんに言われたくないですよ」
彼は短くなった煙草を灰皿へ磨り潰す。
「わたしがあのお人を好いていないと何か困ることがある?」
「もう忘れてください。この話は無かったことにしましょう」
怒っているような感じを持ちながら彼は山積みの洗濯物を片付け始める。
もうすぐ死ぬという譫言を聞いた2日後に石黄の訃報が届いた。下回りの者が葬儀のために天晴組の不在を伝えにやって来た。絹毛鼠がからからと滑車を回し、極彩は故人の置いていった酒を硝子杯に注いで卓袱台に供えた。外には天晴組ではない集団が包囲していた。昼前に官吏のひとりが珊瑚の腕を引いて1日預かるように言った。菖蒲のことを訊ねれば彼も葬儀に出席しているらしかった。三公子は額に吸熱剤を貼り、口覆を付けていた。官吏は彼の世話を頼むとそそくさと帰っていく。玄関に2人きりで残され、三公子は極彩を見上げたがその瞬間に顔を逸らして咳をした。
「風邪ですか」
蒼い顔をして三公子は頷く。居間へ通すと彼は卓袱台に置かれた酒を見つめて行儀よく腰を下ろす。
「それ、お酒なので飲まないでくださいね。今お湯を沸かしますので」
珊瑚は反発するように眉を顰める。台所へ向かうと給湯甕に水を汲み、沸騰させる。少しの時間を要するため居間へと戻った。三公子は緊張しているのか背筋を伸ばし、姿勢よく座っている。
「熱はあるんですか」
「ちょっと」
喉は嗄れ、ほとんど息だった。彼はまた卓袱台の上の硝子杯を見つめる。
「喉が渇いているんですか」
「…誰か死んだのか」
掠れきった声で彼は訊ねる。咳を繰り返し、溜息を吐く。
「天晴組の人が亡くなったと聞いています。わたしの家ではないので寛いでくださいというのもおかしな話ですが、楽にしたらいかがです」
珊瑚は咳払いをして礼を言うと脚を崩した。
「布団を敷きます。食欲は」
「さっき食べさせてもらった」
洗朱風邪とも花労咳とも違う咳の音だった。湯が沸くまで居間の隅に布団を敷く。隣室は荒れ果てていた。
「なぁ」
「なんです」
「空巣でも入ったのか」
「いいえ」
珊瑚は床を這うようにして壁際によるとそこへ背を凭れさせた。給湯甕が沸騰を告げる。
「葛湯とお茶、どちらがいいですか」
「お茶」
卓袱台の上の硝子杯を回収し、茶を淹れる。幼い男児に付けられ消えないままの肩の傷が痛んだ。居間にも茶を持っていくと珊瑚は目を閉じて眠っているようだったが、人の気配にあっさりと目を開いた。
「ひとつ思い出したんだけどさ」
聞いているだけで自身の喉も傷みそうなほど掠れている。
「診療所で、ありがとな」
「夢の話をされても分かりません」
「あんた…俺のこと嫌いなのか」
問いには答えず、衣類や布団が散乱した隣室を片付ける。
「あんたがずっと傍に居てくれた気がした」
「気の所為ですね」
布団を押し入れにしまい、衣類は畳んで箪笥に入れる。珊瑚の渋い面の前を横切り、洗濯物の山に手を付ける。
「手伝おうか」
「いいえ、休んでいてください」
口覆に殆ど隠れた蒼い顔が畳まれていく洗濯物を眺めていたがそこに下着が混ざってくると慌てて目を逸らす。
「変なつもりじゃなかった」
「何の話ですか」
兄弟に似ていない目が泳ぎ、嗄れた声で弁明する。しかし極彩は熱病患者の譫言と決めてかかって突き放した。
「布団敷いてあるので寝てくださいね」
「うん…悪り」
咳をしながら珊瑚は布団へ身体を引き摺るように移動した。
「着替えますか」
「何かあるのか」
「はい」
菖蒲によって綺麗に畳まれた弟の寝間着を三公子へ渡す。彼は妙な眼差しで寝間着と極彩を見遣った。
「もしかしてさっきの硝子杯…」
「いいえ、全然違います」
何か言いかけた三公子の重苦しげな目はすぐにその考えを露わにしていた。
「誰かと住んでたのか?あの捨て猫?」
「いいえ」
「じゃあ他に誰がいるんだよ」
「誰だっていいでしょう」
病熱に潤んだ目で睨みつけられる。またいくらか目の合う位置が変わっている気がした。弟の痩せた肉体を思い出し、極彩は眉を顰める。
「群青?」
「…彼はもう既婚者ですから、あまり誤解を招くような発言は控えることです」
吸熱剤と口覆に挟まれた吊り目が真っ直ぐ極彩を射抜いた。朽葉にも天藍にも山吹にも似ていない。
「結婚したのか、あいつ…」
「ええ」
極彩の髪を目の前の少年の体温が炙る。髪を撫でる生温い手を剥がして振り落とす。
「なんです」
「いや…色々と、複雑だなって、思ってよ」
「これといって複雑なことはありません」
三公子は苦笑した。弟よりも1つか2つ若いはずだが表情のひとつひとつに発育が窺えた。
「やっぱ何かあったろ。前より分かりやすい、あんた」
珊瑚の着替えに背を向け、残りの洗濯物を畳んだ。間を置かず彼は眠った。冷蔵庫の中の菖蒲にすべて管理を任せていた食材で炒蕎麦を作り、書置きを添えて女豹倶楽部へ出掛けた。
「牛車はそうではないのですが…馬車はまだ法的整備がきちんとなっていないんです、ええ」
菖蒲は腕を組み、春に近付きながらも肌寒い風に吹かれていた。
「これがどういうことかと言いますと…そうですね、万が一、人を轢いた場合、一生慰謝料を払い続けるより、殺してしまったほうが安上がりでして。轢き逃げなんかの場合は他に宛てを失くした被害者やその家族が助けた人に請求するなんて事例もありましたね。息があるなら潰すんです、何度も、死ぬまで。見るからに死んでいても死亡判定をするのは医者の仕事ですからね、生きてちゃ困るので…完全に頭を潰すまでぎたぎたに潰すんですよ。ボクも見たことがあります。藤黄殿の子息もそういう事故だと聞いています。ボクは報告書しか見ていませんけれど。この国は被害者になったら終わりです」
話の内容とは裏腹に彼はいつの間にかもう1本煙草を吸いはじめ深夜の空に煙の輪を作る。
「法改正の声もあったんですが、通りませんでした、ええ。確か群青さんが詳しいですよ。ただの事故死じゃなかったと随分経ってから暴いたの彼なので」
若造の正義感溢れた法整備の声なんて誰の耳にも届きませんでしたけどね。わはは!と両腕を開いて彼は笑った。
「菖蒲殿はあのお人が好きなんですね」
「ええ、大好きですよ。山吹様とは意味合いが異なりますが」
突然山吹を引き合いに出す意味を極彩は分からないでいたが適当に返事をした。
「極彩さんは?」
「これという感情は、特には」
そうですか、残念。菖蒲は煙を噴く。夜の音が静かな住宅地に響いた。
「既婚者になってしまったからですか」
この話題は終わったものかと思ったが彼の中ではまだ続いているらしかった。
「いいえ」
「貴方を長いこと騙していたからです?」
「仕事上のことですから、騙されたとは別に…」
菖蒲はずいと前のめりになって極彩へ迫った。
「全体的に不健康っぽいからですかね?」
「酔っているんですか」
「酒臭い極彩さんに言われたくないですよ」
彼は短くなった煙草を灰皿へ磨り潰す。
「わたしがあのお人を好いていないと何か困ることがある?」
「もう忘れてください。この話は無かったことにしましょう」
怒っているような感じを持ちながら彼は山積みの洗濯物を片付け始める。
もうすぐ死ぬという譫言を聞いた2日後に石黄の訃報が届いた。下回りの者が葬儀のために天晴組の不在を伝えにやって来た。絹毛鼠がからからと滑車を回し、極彩は故人の置いていった酒を硝子杯に注いで卓袱台に供えた。外には天晴組ではない集団が包囲していた。昼前に官吏のひとりが珊瑚の腕を引いて1日預かるように言った。菖蒲のことを訊ねれば彼も葬儀に出席しているらしかった。三公子は額に吸熱剤を貼り、口覆を付けていた。官吏は彼の世話を頼むとそそくさと帰っていく。玄関に2人きりで残され、三公子は極彩を見上げたがその瞬間に顔を逸らして咳をした。
「風邪ですか」
蒼い顔をして三公子は頷く。居間へ通すと彼は卓袱台に置かれた酒を見つめて行儀よく腰を下ろす。
「それ、お酒なので飲まないでくださいね。今お湯を沸かしますので」
珊瑚は反発するように眉を顰める。台所へ向かうと給湯甕に水を汲み、沸騰させる。少しの時間を要するため居間へと戻った。三公子は緊張しているのか背筋を伸ばし、姿勢よく座っている。
「熱はあるんですか」
「ちょっと」
喉は嗄れ、ほとんど息だった。彼はまた卓袱台の上の硝子杯を見つめる。
「喉が渇いているんですか」
「…誰か死んだのか」
掠れきった声で彼は訊ねる。咳を繰り返し、溜息を吐く。
「天晴組の人が亡くなったと聞いています。わたしの家ではないので寛いでくださいというのもおかしな話ですが、楽にしたらいかがです」
珊瑚は咳払いをして礼を言うと脚を崩した。
「布団を敷きます。食欲は」
「さっき食べさせてもらった」
洗朱風邪とも花労咳とも違う咳の音だった。湯が沸くまで居間の隅に布団を敷く。隣室は荒れ果てていた。
「なぁ」
「なんです」
「空巣でも入ったのか」
「いいえ」
珊瑚は床を這うようにして壁際によるとそこへ背を凭れさせた。給湯甕が沸騰を告げる。
「葛湯とお茶、どちらがいいですか」
「お茶」
卓袱台の上の硝子杯を回収し、茶を淹れる。幼い男児に付けられ消えないままの肩の傷が痛んだ。居間にも茶を持っていくと珊瑚は目を閉じて眠っているようだったが、人の気配にあっさりと目を開いた。
「ひとつ思い出したんだけどさ」
聞いているだけで自身の喉も傷みそうなほど掠れている。
「診療所で、ありがとな」
「夢の話をされても分かりません」
「あんた…俺のこと嫌いなのか」
問いには答えず、衣類や布団が散乱した隣室を片付ける。
「あんたがずっと傍に居てくれた気がした」
「気の所為ですね」
布団を押し入れにしまい、衣類は畳んで箪笥に入れる。珊瑚の渋い面の前を横切り、洗濯物の山に手を付ける。
「手伝おうか」
「いいえ、休んでいてください」
口覆に殆ど隠れた蒼い顔が畳まれていく洗濯物を眺めていたがそこに下着が混ざってくると慌てて目を逸らす。
「変なつもりじゃなかった」
「何の話ですか」
兄弟に似ていない目が泳ぎ、嗄れた声で弁明する。しかし極彩は熱病患者の譫言と決めてかかって突き放した。
「布団敷いてあるので寝てくださいね」
「うん…悪り」
咳をしながら珊瑚は布団へ身体を引き摺るように移動した。
「着替えますか」
「何かあるのか」
「はい」
菖蒲によって綺麗に畳まれた弟の寝間着を三公子へ渡す。彼は妙な眼差しで寝間着と極彩を見遣った。
「もしかしてさっきの硝子杯…」
「いいえ、全然違います」
何か言いかけた三公子の重苦しげな目はすぐにその考えを露わにしていた。
「誰かと住んでたのか?あの捨て猫?」
「いいえ」
「じゃあ他に誰がいるんだよ」
「誰だっていいでしょう」
病熱に潤んだ目で睨みつけられる。またいくらか目の合う位置が変わっている気がした。弟の痩せた肉体を思い出し、極彩は眉を顰める。
「群青?」
「…彼はもう既婚者ですから、あまり誤解を招くような発言は控えることです」
吸熱剤と口覆に挟まれた吊り目が真っ直ぐ極彩を射抜いた。朽葉にも天藍にも山吹にも似ていない。
「結婚したのか、あいつ…」
「ええ」
極彩の髪を目の前の少年の体温が炙る。髪を撫でる生温い手を剥がして振り落とす。
「なんです」
「いや…色々と、複雑だなって、思ってよ」
「これといって複雑なことはありません」
三公子は苦笑した。弟よりも1つか2つ若いはずだが表情のひとつひとつに発育が窺えた。
「やっぱ何かあったろ。前より分かりやすい、あんた」
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